時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立近代美術館

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というわけで所蔵作品展。


1室「ハイライト」。
まずは狩野芳崖「桜下勇駒図(おうかゆうくず)」。桜の花がとても美しい、けど、馬と乗馬する男の人がなんともユーモラス。ユーモラスなのに、なんだか凄く綺麗なんだけど…。
川合玉堂も、個人的には割と好きな絵が限定されることが多いけど、「二日月」はとても美しい。全体的に朦朧体で、柔らかい月の光を表しているんだろうか。
山川秀峰「序の舞」、こちらもとても美しい美人画
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山川秀峰は先日、川瀬巴水と親交深かった話が出ていたなあ…。

2室「和洋がなじむまで」。洋画と、それまで日本になかった彫刻と。
まず目を惹くのが朝倉文夫「墓守」。存在感が凄い。
和田英作「おうな」もなんとも素敵。媼の存在感と、淡い光で描かれている夕暮れ。

3室「ほとばしるフライハイト ―『白樺』と青年たち」。
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つまり、1つ前に記載した、特別展とのコラボ。フライハイトは高村光太郎の「僕は芸術界の絶対の自由(フライハイト)を求めている」の言葉から。
岸田劉生「B.L.の肖像」。B.L.=バーナード・リーチ
で、バーナード・リーチ「男の肖像」、岸田劉生御本人が描く自画像とよく似ていて、解説見なくても岸田劉生だ、と分かる一品。
柳敬助「白シャツの男」に描かれているのは富本憲吉だったり、梅原龍三郎静物」に描かれている壺は、バーナード・リーチの作成した壺だったり。
4室も「「 生」を刻む― 近代日本の木版画から」で、山本鼎棟方志功が出てくるので、こちらも展覧会絡みだね。

5室「パリの空の下」。パリに渡った日本人作家が主に。
佐分真「午後」の女性の雰囲気がなんか好きだなあ。

6室「激動の時代を生きる」。
この部屋は戦中の絵が多いのだけど、北脇昇「クォ・ヴァディス」は戦後。
北脇昇はシュルレアリスムの画家なんだけど、戦後の、行く末を悩んでる感が明快に出ていて、これは嫌いじゃないんだよね。

7室・8室は小特集「純粋美術と宣伝美術」
「純粋美術」は「芸術的価値の追求、鑑賞を目的とした美術」、それと対になるのが「応用美術」で、そのうちの1つが「商業美術」、要は商業が目的とした制作で、更にその中の演劇やダンスといった公演のチラシやポスターを「宣伝美術」と呼ぶそうで。日用品の宣伝ポスターは宣伝美術とは呼ばないみたい。
工芸関係の展示もあるので、少し特別展と絡んでいる感じはする。
で、この中にあって驚いたのは小磯良平「オルレアン毛織」「神戸博」のポスター。神戸博(19050年の日本貿易産業博覧会のこと)のポスター作成はまあ分かるけど、「オルレアン毛織」は普通に衣料品の広告だよね…。とてもモダンで素敵だけど。小磯良平、こういうのも手がけてるんだ…。
宣伝美術としては、大智浩のコンサートのポスターが結構気になったり。

10室「音はみえるか、きこえるか」。音がテーマ。
いきなりカンディンスキーがあったりするのだけど、似た作風のハンス・リヒター「色のオーケストレーション」は黒地で、規則正しいのか無秩序なのかいまいち判断しかねる色の違う四角が並んでて、こっちが結構好き。
更に染色作家の伊砂利彦がドビュッシー作曲「前奏曲II」のイメージから作成した型染作品が展示されていて、「枯葉」は割と好きかな。
日本の新版画では、笠松紫浪「春の雪 浅草鳥越神社」や川瀬巴水「相州前川の雨」は、雪や雨の音、なのかな。
純粋なやまと絵の屏風、大坪正義「管弦」もとても美しい。山水も美しいし、管弦で遊んでいる雅やかな方々の衣装も。
染織作家・小倉建亮の美しい着物「縮緬地絞り染縞文訪問着 虫の音」や、人形作家・平田郷陽の木彫「虫の音」もあったり、多彩で1つ1つ美しい。

そうそう、ちょっと話は逸れるが、8室にチャールズ・イームズ&レイ・イームズの「合板ラウンジチェア」が飾られていた。
特別展も椅子の話出ていたなあ、と思ったら、10室の椅子・剣持勇「ラタンスツール」の宣伝がそこにあったりして。
あと、4階の「眺めのよい部屋」にも置かれている金物の椅子はハリー・ベルトイアの作品で、3階エレベータホールで小特集「ハリー・ベルトイアの彫刻」の映像が流れていたりした。


この日はまだまだ終わらない。

柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年@東京国立近代美術館

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今年2度目の「民藝」系展覧会(前回は下記)。
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今回、日本民藝館はかなり協力して展示作品を出しているのだけど。


…というか、なんですかね、このリスト(遠い目)450超の作品数とは。
というわけで、結構覚悟して、勿論リストも印刷して、おはようございます。
ちなみに前後期制だけど、そこまで入れ替えは多くない。いや十分な展示数だけども…。



第1章「「民藝」前夜―あつめる、つなぐ」。
1910年~1920年初頭、「民藝」の言葉が出る前の話。
全く意識がなかったんだけど、柳宗悦って「白樺」同人だったんだね。「白樺」同人は学習院関係者が多いのだけど、柳宗悦学習院。文芸雑誌で?と思ったら、元々、宗教哲学の文章を書いていた模様。で、その後、西洋近代美術の文章も書き始めたようで(「白樺」は西洋近代美術を紹介する美術雑誌の性格も帯びたようで。書き手の趣味が生かされるというのは「同人」雑誌なんだなあ、とは)。
ちなみに、柳宗悦は結婚して我孫子に住んで、そこに「白樺」同人が次々集まってきて、今でも我孫子には「白樺文学館」があるのだけど、柳宗悦我孫子に住んだ理由が「母方の叔父が我孫子に別荘を持っていたから」で、その叔父が嘉納治五郎という…。意外な名前出てきた…。
ちなみにバーナード・リーチも「白樺」と繋がって仲良くなって、我孫子に窯を開いて、そこに濱田庄司もやってきて、と繋がっていく。

第1章の1は「「白樺」:東と西が出会う場所」。
「白樺」が主に取り上げた西洋美術と、それを見に来た浅川伯教(朝鮮王朝美術の好きが高じて朝鮮に渡ったりしていた。ちなみに1910年から朝鮮は所謂「日本統治時代」)が手土産に持ってきた陶器「染付秋草文面取壺」で出逢った朝鮮陶磁の話。
「染付秋草文面取壺」は今回展示されているんだけど、非常に品が良い感じの絵が描かれた白磁でいいんだよねえ…。
個人的には、「白樺」はロダンと書簡で交流して、ロダンから彫刻3点を送られて(今回全て展示)騒ぎになってた話とか、なんか…同人雑誌っぽくていいなあ、と。同好の士的な。
あと、この章にはポール・セザンヌ「風景」が(大原美術館蔵)。もしかしたらあまりセザンヌっぽくないかもしれないけど、個人的には嫌いじゃないなあ。

第1章の2は「富本とリーチ」。
富本=富本憲吉。富本憲吉は「民藝」に一時期関わってるので、先日の日本民藝館にも展示は出ていたね。
青磁急須」と「彫絵蓋壺」は個人的に結構好み。
バーナード・リーチの写生画もいくつか。写生画、嫌いじゃないなあ。

第1章の3は「「陶磁器の美」と初期コレクション」。
初期は中国とか朝鮮の陶磁器。
「鉄砂草文瓶」が素敵、というか鉄砂釉の色がそもそも好きだというのもあるんだけど。


第2章「移動する身体―「民藝」の発見」。1910年後半~1920年

第2章の1は「朝鮮の友へ」。
朝鮮の友は浅川伯教と、その弟の浅川巧のこと。「朝鮮民族美術館」を設立してる(今は韓国国立民俗博物館が継承しているそうで)。最初は日本じゃなくて朝鮮の「民藝」なの、面白いよね…。
展示は暫く朝鮮の陶磁器が続く。「染付花文小瓶」がシンプルで好きかな。
あ、そうだ、この辺りは朝鮮の箪笥をモティーフに作成した、日本民藝館の棚に陳列している。

第2章の2は「日本蒐集紀行」。
浅川巧と共に朝鮮陶磁器を見るために、甲府(浅川兄弟は山梨の出)の旧家に行ったら、たまたま木喰仏に出逢ってハマってしまったそうで、全国行脚(柳宗悦、所謂ヲタ気質だよなあ…(あ))。
丁度この頃、全国に鉄道が出来て、全国行脚もしやすくなったんだね(なので、当時の地図とか、旅行クーポン券とかも展示されてる)。
で、日本全国の民藝に出逢って更に深みに。
「鉄絵菊に蝶文行灯皿」の絵の美しさとか、「白掛黒流蝋燭徳利」の流し釉が綺麗さとか、「東こぎん肩布」の刺繍の美しさとか。
そうそう、「丹波布夜具地」も出てきた。普通に一般の格子柄だけど、この後も色々出てくる。

第2章の3は「西欧蒐集紀行」。
ドイツとイギリスへ(バーナード・リーチ濱田庄司がイギリスにいた縁もあるのかな)。
イギリスの椅子に、ここで出てきたスリップウェア。あと、マフラーの布地もとても良い色だった。


第3章「「民」なる趣味―都市/郷土」。1920年~1930年。

第3章の1は「民家・民俗学と民藝」。
民俗学柳田國男。ただ、ちょっと民藝とは違うので、話はしたけど交わらなかった感じ。
あとは民家。基本的には書籍なのだけど、ここでいきなり存じ上げてる名前が出てきた。ブルーノ・タウト
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東西の家屋の類似について書いてた書籍。ここで絡むのか。

第3章の2は「フォーク・アート」。
大津絵・絵馬・三春人形。大津絵は何も解説書かれてないけど、表具に丹波布がしれっと使われてる。

第3章の3は「山本鼎と農民美術運動」。
山本鼎は美術館では結構拝見するお名前。一番作品を拝見したのはこちらかな。版画を。
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ただ、ここでは教育家というか、農民美術運動というのを始める話。農閑期に芸術で生きがいを持たせて、更に作品を売って生活の糧にしよう、という、なかなか考えている話ではあるんだけど。
山本鼎が教える芸術、その地方の特色を出すようなものではなかったので、柳宗悦の民藝とはちょっと反りが合わなかったみたい。

第3章の4は「用途の転換」。
江戸時代は使っていた燭台とか、囲炉裏の上で吊るすための自在掛とか、明治になると使わなくなってきた道具を、そのままなくすのは惜しいという風にかき集めてた。自動的に古物を保存する形になったたんだなあ。

第3章の5は「発掘と地図」。
初期は割と有名な産地の陶磁器が多い。唐津だったり志野だったり。
所謂「絵唐津」は朝鮮の鉄砂が伝わって作られたのではないかという鋭い指摘や、個人的に志野好きなので目の保養ではあったりしたんだけど。

第3章の6は「新しい民藝をつくる」。
蒐集から創作に。実は関東大震災を機に、柳宗悦は京都に移住していて、共鳴した黒田辰秋・青田五良らで「上加茂民藝協團」を結成した際の作品。
黒田辰秋は朝鮮の箪笥を手本にした「拭漆欅真鍮金具三段棚」や、組み子状の飾りがモダンな「黒漆灯火器」を作成し、染織家の青田五良は不揃いさが素朴で素敵な「裂織敷物」を作成。青田五良は資料の写真にある作品も素敵だったんだけど、作成してから数年後に結核で早逝されていた。
柳宗悦とは濱田庄司を通して知り合った、河井寛次郎作品もあるよ。濱田庄司作品も勿論、展示されてる。
ちなみに、大礼記念国産振興東京博覧会という博覧会で民藝の各種作品を展示して、そのうち民藝館を朝日麦酒(現在のアサヒビール)創設者の実業家・山本為三郎の邸宅に作品ごと大阪に移築して(!)、それを三国荘というのだそうで。
そこの現在作品はアサヒビール大山崎山荘美術館所蔵になっていて、ここでの展示はアサヒビール大山崎山荘美術館所蔵のものが多い。
元々、一度行ってみたい美術館ではあるのだけど。


4章「民藝は「編集」する」。
1930年~1940年。柳宗悦が民藝を紹介する際の「編集者」としての役割の話。編集者というか、アート・ライターというか、アート・ディレクターというか。

第4章の1は「出版とネットワーク」。
とりあえず雑誌「工藝」が並ぶ。芹沢銈介や鈴木繁男の装幀が美しい。
鈴木繁男は柳宗悦の書生だったそう(鈴木繁男は静岡の生まれで、恐らく、日本民藝館が最初に浜松に開館して(すぐ閉館したらしいのだけど)その縁と思われる)だけど、芹沢銈介は?と思ったら、「上加茂民藝協團」ができた頃ぐらいに柳宗悦の民藝の論文を読んで、それからの縁みたい。
で、こちらには書斎風展示コーナーがあって。

ここだけ写真OK。ただし、個々の展示品のズームアップ写真はNGだそうで。
…本の装幀の詳細が撮りたかった…。

第4章の2は「歩くメディア―民藝と衣装」。
民藝関係者、皆がいいと思った格好を揃えて着て、それがしかもちょっと変わってる服が多くて、それで何人かで一緒に民藝を探して歩くから、かなり目だったそうで…。職質されたりもしたらしいし(そりゃあそうだろう…)。
柳宗悦が着用していた「茶地縞ジャケット」も毛織物ベースで、まあお洒落。
あと、黒田辰秋「根来鉄金具手箱」は河井寛次郎がネクタイ入れに使用していて、そのネクタイが手織りのものが結構入っていたり。解説に「志村ふくみの作も」と書いてあってびっくりする。

第4章の3は「民藝フォント」。
民藝に使われている独特な文字の特集。
個人的には文字はそこまで詳しくないんだけど、気になったのは「酢徳利」。これは鳥取の牛ノ戸焼(ここは民藝と関わりが深い)なんだけど、「北海道」と文字が。鳥取は北海道の移住を積極的に勧めた土地だったそうで、そのせいだとか。
…結構生活が困難だったとか、あるのかな…。この辺は少々歴史を学んでみたいかも。

第4章の4は「トリミングの技術」。
トリミングと言うと謎なんだけど、前の展示で出てきた丹波布やこぎん刺繍をどう紹介するか、ということで、結局書籍に衣装の一部を美しく切り張りして紹介してた。
これは本当に上手く「トリミング」されていて、紹介記事が美しい。焼き物も一部の模様を紹介したりしてたし。

第4章の5は「流し掛けと渦巻―自然・平易・自由」。
流し釉の陶器と本での紹介。信楽の「焼締黒流茶壷」が渋くて格好良かった…。

第4章の6は「「展示」する技術」。
となってるけど、日本民藝館の設計スケッチと、陳列ケースのスケッチ。まあ、美術館の設計はともかく、陳列ケースまで柳宗悦の拘りがあったと。

第4章の7は「デザイナー柳宗悦」。
大津絵を丹波布と、濱田庄司に作ってもらった軸で表装してたのは、前述の日本民藝館でも教えてもらった。
後はデザインした便箋セットとか、松江の金工職人の金田勝造へ製造を依頼した砂糖挟み(シュガートング)のデザインと実物とか。

第4章の8は「生産から流通まで―たくみ工藝店」。
こちらは新作の民藝を「ショップ展開しよう」という試み。
「たくみ工藝店」は鳥取民藝運動をしていた吉田璋也が設立。ちなみに「鳥取民藝美術館」を設立した方でもある。
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この方は医者が本業だけど、民藝デザイナーでもあった。
民藝に共鳴した方の出身地だったり、民藝で「発見」された焼き物があったりで、鳥取・島根は民藝とかなり縁が深い(あと、岡山も。岡山は外村吉之介や、大原家(所謂クラボウクラレの創業一家)が共鳴したこともあって盛ん)。
吉田璋也着用の一式が展示されてたけど、ツイードスーツに手編みのネクタイ、懐中時計の下げ紐に、持ってるカバンが竹製でなんともお洒落。
デザインで面白かったのは、セピア(イカスミ)インク。元々バーナード・リーチがイギリスから持ち込んだのを、吉田璋也が日本で作ったのが国産としては最初のようで。バーナード・リーチがセピアインクで吉田璋也の肖像を描いていたけど、色が綺麗で、バーナード・リーチのタッチにも非常にあっていて。
あと、「手編みのネクタイ」は前述の河井寛次郎のネクタイ入にも入っていたと思う。正式名は「ににぐりネクタイ」。「ににぐり」は繭から絹糸を紡いだ時に、二番目に取れる製品にならない糸のことだそうで。…ということは、真綿の元になる糸かな?銘仙とかもそういうので作ったりするけど、ここではネクタイに転用したのね。これが非常に色合いも素敵でね。可愛い。


5章「ローカル/ナショナル/インターナショナル」。1930年~1940年。
この年代は…そりゃあナショナリズムは…ねえ…。

第5章の1は「「日本」の民藝地図」。
いきなり大きな日本地図がどーん。芹沢銈介「日本民藝地図」。そのまま、日本地図に各地の民藝を書き入れている。
なお、ここでは沖縄は入れているけれど、北海道は入れていない。当時の認識で、北海道は開拓地のイメージがあったのもあるみたい(ただ、日本民藝館が扱う「北海道のもの」はちゃんとあるんだけどね。後述)。
沖縄(琉球)も別の文化のような気もするけど、まあ細かいことは置いておく。
とりあえず書き手の地元のものはあるかな、と思って見たら、「箪笥」と「だるま」が。春日部桐箪笥と越谷だるま!
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実は書き手も知ったのは埼玉県立歴史と民俗の博物館で、ではあったんだけど。後は小川和紙とか。確か小川和紙も知ったのはNHK「イッピン」だったかと…。あ、勿論、岩槻人形も載ってた。
この地図は地元の都道府県で何があるか、という観点を入れると楽しい。
個人的には島根の湯町窯も見付けてた(日本民藝館で気になったからねえ)。あとは石州和紙とか。
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島根のアンテナショップで気にしてたんだよね、石州和紙。石見神楽の面は石州和紙で出来てるのもあって。なんか色々雑念が(多分気のせいじゃない)
で、地図だけじゃなくて、各地の民藝作品が同時に展示されている。
気になったのは、鮮やかな橙色をした佐賀・白石(白石焼なのかな)の「鉛釉青飴流土鍋」、ふっくらしている形が可愛い香川・丸亀の「手箒」(あちらでは「すべ箒」と言うらしい)、富山・高岡からやはり出てきた高岡銅器「瓶掛」、非常に素敵な深い紺色をした山形・新庄の新庄東山焼「海鼠釉土鍋」、模様が美しい岩手・鳥越竹細工(鳥越は一戸町の地名なのだそう)の「竹行李」。

第5章の2は「境界:沖縄」。
衣装としては前期展示は紅型が展示されていたけど(この辺りは芹沢銈介が関わっていくことになるけど)、後期は琉球絣が出てくるみたい。民藝の目だと絣もかなり気にしていたみたいで。
琉球絣は以前も拝見しているし、東京国立博物館でもよく拝見するけど。
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後は壺屋の陶器。金城次郎もあれば、影響を受けた濱田庄司河井寛次郎作品も。濱田庄司「白掛藍糖黍文花瓶」はサトウキビモティーフで、いかにも沖縄でいいなあ、と。
で、変わった展示は「垢取り」。サバニという、沖縄や奄美で使用されていた船があるのだけど、船にたまった水をかき出す木桶のこと。そんなものまで…。
なお、サバニについては、こちらの記事で挙げた本で知ってた。
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第5章の3は「日本文化の対外発信」。
博覧会やら、外国の雑誌に紹介された日本の民藝の記事等。

第5章の4は「東北の民藝と「経世済民」」。
東北はどうしても雪深くて冬に産業ができなくて、その代わりに民藝を収入減にできないか、という試み。
目を惹くのは、藁沓や雪兜、蓑(伊達げら)や背中当(ばんどり)等の、東北の冬に必需品の数々。藁沓は編みがきっちりしてるし、雪兜や背中当は結構色が綺麗。蓑はなんだか格好良かったり。

第5章の5は「境界:アイヌ」。
今回は木綿衣・小刀(マキリ)・箆(イクパスイ)・刀掛け帯と、割と代表的なアイヌの品々。

第5章の6は「境界:朝鮮」。
「敷輪」というものがあるんだけど、これ何に使うんだろう…。コースター的な?鍋的な?真ん中に穴が開いてるんだよね。

第5章の7は「境界:中国・華北」。
吉田璋也が軍医として中国北方に応召されていて、その間に中国の工芸の研究をしていたそうで。
で、その研究を鳥取に持ち帰って技術指導して、鳥取で椅子を作り始めたそうで。
今回展示されていた「技術指導をした」椅子は辰巳木工という会社のもので、そこはもう廃業されてるそうだけれども。
中国の椅子は剣持勇が記事を書いたものも展示されていた。ここも繋がるか。

第5章の8は「境界:台湾」。
台湾も日本統治時代。台湾原住民の衣装は原色で可愛い。
また、河井寛次郎が台湾の竹製椅子に興味を持って、自身でデザインをしている。椅子のデザインもするんだ…(そういえば大工の家の生まれなんだよね)。

第5章の9は「民藝と戦争」。
民藝って国産の産業でもあるので、戦争には利用しやすいよね…。
民藝専門の雑誌がそういう表紙になっている展示の数々。

第5章の10は「終戦と「美の法門」」。
「美の法門」は柳宗悦が戦後に刊行した論考集だそうで。宗教と民藝との思想的な本みたいだけれど。


6章「戦後をデザインする―衣食住から景観保存まで」。
戦後の民藝。1950年~70年。

第6章の1は「国際社会の中のMINGEI」。
世界に民藝が紹介されたりしている…が、1950年代はなかなか立ち直るには難しい時期で。
芹沢銈介が沖縄の紅型の研究を始めたのが戦前だったのだけど、紅型の技法を使った、とても明るく可愛らしいグリーティングカードを作成していた。確かこの頃、紅型の技法でカレンダーも作ってた認識(今回は展示ないけど、日本民藝館や旧国立近代美術館工芸館で拝見している)。

第6章の2は「民藝と「プリミティブ」」。
ちょっと原始に返って、縄文時代のものも集め出したのがこの頃みたい。
土器や「岩偶」が出ていた。朝鮮の少し前の時代の民画も出ていた。

第6章の3は「国立近代美術館を批判する」。
実は東京国立近代美術館が出来た時に、柳宗悦にかなり批判を受けたようで。まあ…確かに近代の美術と言われると、民藝は対極にあるものではあるけど。
こんなコーナーを作る東京国立近代美術館もなかなかアレではある。

第6章の4は「民藝とインダストリアル・デザイン」。
この時代になると、産業とか工芸に変わってきちゃう、ってことなんだろうね。実際、柳宗悦の長男の柳宗理はインダストリアル・デザイナーになるわけだし。
なので、ここの展示のデザイン指導は、柳宗理が行っているものも出てくる。
最初に出てきたのは、河井寛次郎がデザイン、第4章の7で出てきた金田勝造が作成した金属製キセル
それから吉田璋也デザインの数々。鳥取の牛ノ戸焼のものが多かったかな。緑と黒の釉薬で色分け(このデザインがモダン)するのが特徴の焼き物。
更に同じ牛ノ戸焼だけど、柳宗理がデザインのものが数々。
あ、そうそう、この頃、北欧デザインとの関わりもあったりする。

第6章の5は「柳宗悦の死と民藝ブーム」。
ここは柳宗悦の亡くなった後の文献等の展示。

で、ここで1階の展示室は終了。
今回は2階に展示室を続けている。いつも「ギャラリー4(13室)」となっている部屋。
第6章の6は「衣食住のデザイン」。
実は吉田璋也、従軍後に中国から日本に引き揚げてきた時に、中国の羊肉を火鍋のお湯で加熱して食べる料理を紹介していて、それを日本人の口に合うように牛肉にして、これが民藝運動家に伝わって、そのうちの一人の三宅忠一が永楽町スエヒロで「しゃぶしゃぶ」として売り出した、のだそうで。
民藝運動、しゃぶしゃぶに繋がった…!
ちなみに鳥取民藝美術館には「たくみ割烹店」って食事処があって、そこでも「すすぎ鍋」という名前でしゃぶしゃぶが食べられるそうな。
当時に作成された日本料理紹介のポスターが展示されていたんだけど、「たくみ割烹店」の名前もあって、芹沢銈介がポスター描いていたり。吉田璋也デザインの皿や椀も展示。
一方、京都の鍵善良房という和菓子屋さんの店主が民藝に興味があって、黒田辰秋と懇意にして、色々デザインしてもらっている。今回はくずきり容器とおかもちが展示されていた。
ちなみに鍵善良房さん、今年に入って美術館もオープンされている。
zenbi.kagizen.com
開館記念の展覧会が黒田辰秋だった。
あとは、「ざくろ」という銀座の和食店。こちらは芹沢銈介が色々デザインをしている。「新・美の巨人たち」で芹沢銈介が紹介された時、ちょっと店内が映ってた記憶があるなあ…。


展覧会の最後には、特設ショップが開かれているのだけど。
全国の民藝を取り扱っているお店が入っているので、もしかしたらお財布を用意した方がいいかもしれない。好きな人は嵌りそうだし。


10時入場だったんだけど、2時間半ぐらいどっぷりだった。
幅が広くて盛り沢山で、それでもそれぞれ「さわりだけ」なのだろうなあ…という展覧会。
それぞれ深堀りしてみたいと思ってしまったら、成功の展覧会なのかな。


続く。

H ZETTRIOのモーツァルトに会いたくて2021!「Magic Hourな夜」@かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール


というわけで行ってきた。
青砥は近年(別趣味も含めて)お世話になる駅なのだが、まさかひっさびさのLiveで来ることになるとは…。
書き手は生涯数える程しかLiveに行ったことないけど、多分その前に行ったのは友人に誘われたゴスペラーズだと思う…。

こちらのLive、最近の制限解除でチケットが追加発売になったLiveで、一週間前ぐらいに「そういえば売れちゃってるのかな」と思って見てみたら、なんか残っててね。
ナニカの勢いで。はい。

そういう取り方なので、席は2階の一番後ろだったんだけど、作り的にステージが結構見やすい。
音もばっちり。演者の方々も音が良くて気に入っているような話をMCでされてましたしね。

なんかもう、めちゃくちゃ楽しかった。
H ZETTRIOの曲が弾みたくなるというか、そういう曲が多いせいなのかな。お陰で帰りにちょっとだけお酒引っ掛けて帰った(ただの飲んだくれという話はr)。
右腕もぶんぶん振りましたとも。要は振る曲が結構あったってことですな(セトリはちゃんと把握してないので出せないけど)。
聴きたかった曲も生で結構聴けてしまった。曲というか声というか、も(ぼそ)

→追記。オフィシャルレポートがオトトイに出てた。セトリもそちらでどうぞ。
ototoy.jp
最近割と定番的になってるのでひょっとしたら、と思ったら聴けましたよ、照れの入った「イッヒッヒ」(ぼそ)
→でもって更に半年後に追記。
www.youtube.com
公式からLive映像出ましたよ(3つ抜けてるけど)。こちらを拝見するたびに思い出すのだろうか。

また機会があったら行きたいなあ。
次の東京開催のオーチャードホールは、平日なんでちょっと無理なんだけど。

イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン@三菱一号館美術館



イスラエル博物館所蔵の、印象派中心の展覧会。初来日の絵が結構多いそうな。
まあ、個人的には印象派と言われたら訪れるのだけど。


入り口は3階から。
第一章「水の風景と反映」。川や海モティーフの絵画を。
…ええと、最初の部屋から、ジャン=バティスト・カミーユ・コローとシャルル=フランソワ・ドービニーがどどんとあるわけで…。いかん、書き手、最初から大好物だ(あ)ちなみにカール・ピエール・ドービニー (シャルル=フランソワ・ドービニーの息子さん)の絵もあるよ。
あと、存じ上げなかった画家が一人。ヨハン・バルトルト・ヨンキント。クロード・モネに影響を与えた画家のひとりで、印象派の先駆者。「日没の運河、風車、ボート」は小品だけど、これも素敵。
最初からこんなに好みの部屋…。

そして次の部屋には、ギュスターヴ・クールベにウジェーヌ・ブーダン
ブーダンはその次の部屋にもあるけれど、そちらにはアルフレッド・シスレーがどどんと…。
…なんだろうこの展覧会、書き手を狙い撃ちでもしてるの…?(落ち着いて)どこを見ても好みの絵があるのって、ちょっと凄い。

その次の部屋は大部屋(展示の都合で仕切りがあるけど)。
この部屋だけ、撮影OK。
とはいえ、今までの部屋が個人的にツボ過ぎたしな…と思っていたのだが、いきなり最初に拝見した絵におお…?と。
タッチ的には印象派とちょっと違う感じ。なんだろう、「パキッ」とした感じを受ける絵。
レッサー・ユリィ「風景」。
そもそもレッサー・ユリィという画家を存じ上げなかったのだが、ユダヤ系のドイツ人画家なのだそうで。
どうも今回の展覧会の評判を聞く限り、レッサー・ユリィはかなり好印象なようで。うん、分かる。
で、第一章の最後はクロード・モネ。今回の展覧会のポスターにもなっている「睡蓮の池」。いやあ、ポスターになるでしょう、この絵は。光の差し方が秀逸。


で、大部屋自体は続くのだけど、展覧会の章が変わる。
第二章「自然と人のいる風景」。水から離れた、もう少し大きく捉えた自然の風景画。
ギュスターヴ・クールベは初期の頃の聳える岩壁の多い風景画(下記展覧会も参照)、「森の流れ」「岩のある風景」。
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ジャン=バティスト・カミーユ・コローは川から離れて、開けた土地の「モルトフォンテーヌ、小さな柵へと続く道」、森の中の「樹々の間に差す陽光」。
シャルル=フランソワ・ドービニーの「水と完全に離れてる」絵は珍しいと思うが、「花咲くリンゴの木」、いいなあ…。
そしてこの部屋には、カミーユピサロが3点どーん。「豊作」「エラニーの日没」「朝、陽光の効果、エラニー」どれも好み…。
あと、この部屋にはフィンセント・ファン・ゴッホの絵も。「麦畑とポピー」はポピーの鮮やかな赤が素敵で。

大部屋はそこまでだけど、第二章は続く。
次の小部屋のメインはポール・ゴーガン。ゴーガンは好き嫌いあるけど、とても平穏な昼下がり描いた「マルティニークの村」と、炎に迫力というか、生命力のようなものを感じる「ウパ ウパ(炎の踊り)」が非常に印象に残る。
その次の小部屋はポール・セザンヌ。個人的にセザンヌが得意でないので触れられないけど。


その次の部屋は第三章「都市の情景」。
カミーユピサロが2点。自然と工場を対比して描いた「ポントワーズの工場」と整然と整備された区画の昼下がり「テュイルリー宮庭園、午後の陽光」。今回、ピサロは好みの絵が多いなあ…。
そして次の部屋には、レッサー・ユリィが2点。とても都市的で、お洒落で素敵な「ベルリンの冬」、明かりが道に反射した色彩が凄い「夜のポツダム広場」。非常に洗練された感じを受ける。


ここから1つ下って2階へ。
最初の部屋は特別展示その1、クロード・モネ「睡蓮:水の風景連作」。
こちらはイスラエル美術館からではなく、DIC川村記念美術館和泉市久保惣記念美術館、そして実はこの日はまだ展示してなかった東京富士美術館の「睡蓮」を並べる企画。東京富士美術館のは11/30から展示予定とのこと。
まあ、個人的にはそこまで目当てで来ているわけではないので。美しいのはその通りだけど。
でもって次の部屋が特別展示その2、以前も拝見したオディロン・ルドン「グラン・ブーケ」。折に触れて展示するよね、こちら。


次の部屋からは最後の第四章「人物と静物」。
印象派で人物ということで、ここからピエール=オーギュスト・ルノワールの人物画3点。
「花で飾られた帽子の女」はいかにもルノワールっぽい絵で素敵だけど、「レストランゲの肖像」はなんだかとても明るくて好き(描かれているレストランゲ氏が、ルノワールの御友人なのもあるのかも)。
あと、カミーユピサロの人物画がここに。ピサロの人物画、初めて拝見したかも。「ジャンヌの肖像」。これが凄く良い表情で、可愛い女性で。ジャンヌはピサロの娘さんだからかも。

次の部屋は静物画。
ここもルノワールが3点。個人的には「静物」が好きかな。リンゴと…ビワかな。柔らかい色彩で。
ギュスターヴ・クールベ「リンゴの静物」はリンゴが酷く歪んでいた。これ、もしかして森の地面に落ちてるリンゴを写生しているのだろうか。徹底的に写実主義クールベらしい。
ポール・ゴーガン「静物」も結構好き(ゴーガンの静物画が好み)。

最後の部屋は人物画。
ピエール・ボナールにポール・セリュジエにエドゥアール・ヴュイヤールと、ナビ派主体。
個人的にはヴュイヤールの絵は結構好みで、「長椅子に座るミシア」の落ち着いた生活の感じや、「窓辺の女」「エセル夫人、ナポリ通り」の都市と生活がそこにある感じ、というのがいいなあ、と。
そして最後の部屋にもレッサー・ユリィ「赤い絨毯」が。こちらは裁縫をしている女性の絵。ユリィのお母様が夫と別れて女手ひとつで、裁縫仕事でユリィを育てているそうで、その原風景の絵、なのだそう。
この絵、ハマスホイ(ハンマースホイ)を思い出した。
morina0321-2.hatenablog.com
後ろからの視点、というのもあるけど、静かな生活を感じとったのかもしれない。


王道の印象派に加えて、レッサー・ユリィの絵も楽しめるという、かなりいい展覧会だった。
下の写真は三菱一号館美術館の前で咲いていた薔薇。いい時期。


いい展覧会だったので。

遅めのお昼でまた呑んでたりする。美味しいよ、常陸野ブルーイングのペールエール…。

【開館55周年記念特別展】速水御舟と吉田善彦―師弟による超絶技巧の競演―@山種美術館

www.yamatane-museum.jp

半年振りに訪問。

今回は速水御舟と、御舟の弟子(御舟が早世されたので6年だけ)で姻戚(御舟の妻といとこ)の吉田善彦の特集。
山種美術館所蔵の御舟の絵は何度も拝見しているけれど、吉田善彦は初めて拝見する。他でも拝見したことがあったかどうか…。

第1章は「速水御舟日本画の挑戦者-」、第2章は「吉田善彦-御舟に薫陶を受けた画家-」と、章立てが分かりやすい。
ちなみに第1室はお二人、暗い小部屋の第2室は御舟のみ。

第1章。
山種美術館所蔵の御舟の絵は何度も拝見しているので、初めて拝見する絵はないのでは…?となるのだが。それでも、実物を何度でも拝見したい。
今回、「昆虫二題」の「葉蔭魔手」「粧蛾舞戯」が写真OKだったのだけど、写真では良さが伝わらないなあ…となることが多くて(写真を撮る人間の腕が悪いともいうのだが)。「葉蔭魔手」の蜘蛛の糸の繊細さとか、「粧蛾舞戯」の蛾の羽の具合とか、光の具合とか。
今回は「翠苔緑芝」「名樹散椿」「炎舞」と特に名画の数々も出ているし。
あと、今回は音声ガイドがないのだけど、実は随所に吉田善彦の御舟の技法解説がある。
「翠苔緑芝」だと、普通の緑青ではなく敢えて安価だけど青が強い花緑青を使用しているとか、この絵で花緑青が流行って一時期画材家から花緑青が消えたとか、苔の部分は砂子使ってるとか。
「名樹散椿」は背景の金を砂子をたっぷりと振り替えて塗るという「撒きつぶし」という技法を使ってるとか。
なんだか凄く勉強になる。面白いなあ。
「炎舞」は第2室に。この絵は第2室に置きたくなる、というより、第2室は「炎舞」のためにあるのでは…と思ってしまう。


第2章。
吉田善彦は御舟が亡くなった後、小林古径に師事して、更に法隆寺金堂壁画模写事業で安田靫彦の元で作業をしている。
そんな経緯だからか、「塔」(法隆寺五重塔)はとてもしっかりした絵で。
若い頃は少し幻想的な絵を書いていて、その中では「寒林」が好きかも。裸の木が密集していて、ちょっとデザイン的で。
で、「桂垣」で「一度彩色で描いた上に金箔でヴェールを被せ、その上にもう一度色を置き再度描き起こす」という技法を確立させる。この金箔のヴェールというか、紗のかかった感じが、絵に対して更に幻想を増すような。
「大仏殿春雪」はしっかりした構図に紗をかけていて、個人的にかなり好み。
自然の風景画であれば「尾瀬三種」が一番好きかも。
あと、法隆寺金堂壁画模写事業に関わったので、奈良の絵もかなり書かれてる。「藤咲く春日野」とか、個人的な趣味のモティーフを全て使われてる感じだし。奈良(春日)・鹿・藤…。

知識的な興味深さと美しい絵と。眼福な展覧会。

で、恒例、ミュージアムカフェで和菓子タイム。

吉田善彦「桂垣」モティーフの「竹しずか」と、(写真で分からないかもだが)金粉入り緑茶「煌めき」。この展覧会で多用されている金箔や砂子を思い起こすような選択にしてみた。
まあ、御舟モティーフの「ほの穂」「散椿」「まさり草」は頂いたことあったというのもあり…。


続く。

素敵に配信Live

うっかりLive時間を逃して、後日アーカイブで拝見することになってしまった。

伊澤一葉さんと松下マサナオさんのセッション。ぼちぼち恒例って書いていいのかな。以前も拝見しておりますね。
morina0321-2.hatenablog.com
morina0321-2.hatenablog.com
で、実はこのセッションの前回にもゲストにいらしていたChloe Kibbleさん(以下、クロエさんと記載)が、今回Live名にもお名前を飾る形で参加。
クロエさんはソロシンガーとして活動されてて、別所和洋さん(ex.Yasei Collective。つまり元々松下マサナオさんとは同じバンドの方)のソロプロジェクト「パジャマで海なんかいかない」にも参加されてる方。
そう、クロエさんはボーカリスト。…この奇想天外なセッションにボーカリスト…。
あまり想像つかないままにLiveを拝見。


このお二方のセッションだと、かなり音楽として予想不能な方向に行ってしまうのだけど、クロエさんのボーカルが入ることで、びっくりするほど落ち着くというか、1本通るというか。
素敵だ…。
というか、どうやって歌詞とか合わせてるんだろう。適当にできるものなのだろうか…。
アーカイブで拝見になったけれど、拝見して良かった…。



ちなみにこちら、一番最初に挙げたtwitterでお分かりかもだけど、振替公演だったりする。振替になった理由は…MCで何やら嘯かれてたけど(あ)
いや本当に、お元気そうで何よりでした…。

東京国立博物館

6月以来の東京国立博物館(下記は前回)。
morina0321-2.hatenablog.com
特別展2つやってるけど、総合文化展(常設展)のみ。展示、全部変わってても不思議じゃないよね、というわけで全体ぐるっと。
朝10時過ぎに入場、退場は17時少し前だった(遠い目)どれだけいたの…。


まずは本館2階から。


1室。
「日本美術のあけぼの」に奇妙な形の土器が2つ。「香炉形土器」と「瓢形土器」。何に使ったんだろうなあ…。祭祀用かもしれないけど。


3室。
「仏教の美術」にいきなり鎮座する「蘭溪道隆(大覚禅師)坐像」。いやあ、これ凄いな…。なんでこんなに生き生きとしてるんだろう。鎌倉時代の木彫だよね…。あと、「金銅透彫光背」が光背だけ展示されていたんだけど、これがまた細かい細工で。
で、「禅と水墨画」。如水宗淵「叭々鳥・鶺鴒図」がとても繊細で素敵。如水宗淵は雪舟の弟子にあたるのね。雲渓永怡「花籠図」も細密で美しい。水墨画のコーナーで好みの絵ってあまり出ないのだけど、今回は好みだったなあ…。


4室「茶の美術」。
まあ相変わらず好みなものが並んでいるのだけれど、蟹が支えててユーモラスな「笹蟹蓋置」と、渡辺喜三郎の漆塗の盆と椀のセットが素敵でねえ…。


5室・6室「武士の装い」。
刀はあまり得意ではないのだけど、「山銅魚々子地桐目結文腰刀」の柄の魚の飾りは可愛かった。
あとは陣羽織が2枚。羅紗(毛織物)やヨーロッパ更紗を使ったものと、赤い毛織物とを使ったもので、どちらも舶来品で作っている。後者は「猩々緋羅沙」と。猩々は元々中国の妖精で、日本では赤い装束の酒の妖精、という扱い(本家の中国だと違う解釈もあるそうなのでこんな書き方)。


8室。
「暮らしの調度」の衣装は相変わらず美しいのだけれど、「小袖 浅葱綾地浪花丸模様」は、まず布地が綾地で、染め残しで波の模様にしているとか非常に手が込んでる。刺繍も美しいし。仙台藩伊達家の藩主(12代・伊達斉邦)の正室(綏姫)の衣装と伝わってるそうで。そりゃあいいものに決まってるよねえ。しかも調べたら、正室が前藩主のご息女で、藩主が婿養子なのだそうで。そりゃあ…ねえ…。
あと気になったのは「四種盤」。組香(香道でルールに沿って楽しむもの)のうち四種類(源平香、競馬香、矢数香、名所香)楽しめるセットになっていて。

これ、恐らく競馬香の駒なんだけど、結構細かく作られてていいなあ、って。
後は秋らしい紅葉飾簪とか、鹿の水滴3種とか、秋らしい絵付の焼き物とか。
「書画の展開」。江戸時代の書ってあまり好みでない…というか綺麗な紙の書があまりないからなんだけど、中院通村の短冊は美しかった。紙の趣味といい公家っぽいなあ、と思って調べたら、細川幽斎の養女が妻になるので、細川忠興と義兄弟になるようで。
あと、明らかに光悦風の作品がある、と思ったら、弟子の小島宗真「和歌巻」だった。
絵の方は、何度も拝見しているけど酒井抱一「夏秋草図屏風」、本阿弥光悦の義孫(光悦の養子の子)の本阿弥光甫「藤・牡丹・楓図」、俵屋宗達の後継者の俵屋宗雪「秋草図屏風」、住吉如慶が絵を描いている「伊勢物語絵巻 巻第五」と、琳派もやまと絵も美しく。


9室「能と歌舞伎」。
能「猩々」。そう、5室・6室で拝見した陣羽織の「猩々緋」の元はこちら。酒売りの常連客が海中に住む猩々で、酒売りが夜中に酒持って川辺で待ってて、出てきた猩々と共に酒を酌み交わして舞を舞い踊る、みたいな筋。楽しそうな酔っ払いの話だなあ(もう少しまともな認識をしろ)。
酒売りが男性なので、能の衣装にしてはそこまで派手な感じではなく、能面もなんだか楽し気で、個人的には嫌いじゃなかった。


10室。
「衣装(江戸)」は相変わらずどれも美しい。「小袖 納戸繻子地牡丹菊扇面網目藤模様」は色が綺麗だけど重そうだなあ、と思ったら、やはり女性物にしては重々しいので、能の縫箔か男性用の小袖かもしれないらしい。
「浮世絵」はいつもの通り鈴木春信や歌川広重辺りを。広重「名所江戸百景・紀の国坂赤坂溜池遠景」の武士の行列の表情が、なんか面白い。



さて、一旦外に出て早めにお昼(混雑避け)。
いつもキッチンカーを利用しているのだけど、いつの間にか東京国立博物館のサイトに「ネオ屋台村」として書かれていた。当日何が来ているかも、ここからリンク飛んで拝見できる。便利になったなあ。
www.tnm.jp
この日は以前頂いたしらす丼を出していたキッチンカーで、この日は十勝豚丼を。



再び本館。今度は1階。

11室の「彫刻」というか仏像、今回は天台宗が多い。
www.tnm.jp
特別展がこちらなので、関連展示。ちなみに特別展をスルーしているのは、この辺詳しくないから…。


さて。
特別3室で、こんなイベント?やってた。
www.tnm.jp
初心者向けなのかなー、と思いながらもちょっと覗いてみる。
意外と面白かったのが「たのしむ」。これ、自分が所定の場所に立つと、映像が浮かぶようになってて、更に色々指示がでて、その通りにすると映像が動いたりする。身体を動かして見るのも、それはそれで楽しい。
「かんじる」コーナーでは複製品を、ガラスケースなしでじっくり拝見できる。おお、「孔雀明王像」がはっきり拝める…(何か別のものを見ているようなr)


12室の「漆工」は秋モティーフで。秋モティーフは好みなのが多い。眼福。


13室。「陶磁」は見たことあるものが多かったけれど、眼福。
あ、青木木米「白泥月梅文涼炉」は初めてかも。茶一色で梅を描いていて、月は大きく開いた穴で表していて。


14室は特集「浅草寺のみほとけ」。
浅草寺天台宗なので特別展絡み。
まずは小さな厨子がついた、鮮やかな衣を纏った「聖天(しょうてん)坐像」。聖天(歓喜天とも)はガネーシャのことなのだそうで。象以外にも童士の姿でも表されるようで。東洋館11室の書き手の大好きなガネーシャ坐像の擬人化みたいなものか(違)厨子がついているのは、聖天は秘仏で基本外に後悔しないから、だそうで。いいのかなこの展示…。
続いて、小さな小鬼の象が1つ。「角大師坐像」。こちらは天台宗の僧・良源(慈恵大師/元三大師)が夜叉の姿になって疫病神を追い払っている像で、魔除けだそうで。
でもって立ち上がった牛に堂々と騎乗している「大威徳明王騎牛像」に、踏まれてる邪鬼がめちゃくちゃ曲がって酷い体制になってる「四天王立像」…ちょっと風変わりな仏像が多くないか、浅草寺…。


16室。


というわけで、アイヌ展示は祭祀関連。
いきなりウミガメ頭骨があったり、サパンペ(冠)にダイシャクシギの頭蓋骨がついていたりする。後者は解説読まなきゃ気づかなかった…気づかなくても良かった(遠い目)
琉球展示も厨子甕とか出ていたりするので、全体的に祭祀系というか。それはそれで興味深いけども。



さて、ここで連絡通路を通って平成館へ移動。



まず真っ先に伺ったのが、こちら。


特別展がある場合、鶴屋吉信さんがカフェを出すのだけど、今回は特別に「梵字カフェ」が。
syukubo.jp
普段は延暦寺で営業してるものが出張営業。特別展は行かないのにカフェは入るという…。
梵字は生まれ年を申請すると、干支によって入れる梵字が違う。ちなみに書き手は普賢菩薩年齢バレ上等(お)
ともあれ、休憩&水分補給。
「織物の茶室」は入らなかったけれど、興味深く拝見する。
そういえばここのロビーに、「青天を衝け」のポスターが貼ってあったのだけど、このポスター、東京国立博物館の庭園と表慶館で撮影してるのね。全然大河ドラマに触れてないので知らなかったよ…。


その後は企画展示室。
毎年恒例の東京国立博物館の新収品展。
その中に、本阿弥光悦の書状が。筋肉が痙攣で痛む「すちけ(筋気)」という病気で執筆もできずに訪問もできないことを謝罪している手紙なのだけど、それって腱鞘炎じゃあ…というか職業病…。この後、光悦は書体が変わるそうで(痛くならないような書き方を会得したんだろうね)、そういう意味でも貴重な資料みたい。
あとは、チベットまたはネパールの仏像「忿怒尊坐像」が、特徴的に不動明王じゃないかと指摘されていたり。特別展の絡みもあるのかな、この辺。
美しかったのは「グリンシン(肩衣) ワヤン人形文様経緯絣」。よく見るとワヤン人形を形どってはいるけれど、とにかく経緯絣が美しい…。


続いて、考古展示室をぶらぶら。
考古展示室は変なものを見つけるのが好き。

…なんだろう、この変なキャラクターみたいなの、と思ったら「十字形土偶」。土偶になるんだ…。

お笑いコンビ?みたいな「土偶形容器」。弥生時代の土器になるらしい。
あと、興味深かったのは「続縄文文化」。北海道は気温的に水耕ができないから、日本の弥生時代も引き続いて縄文文化が残っていた、という展示で。狩猟に使う石器の種類が多い。
そういえばもう1つ気になったこと。男女二人連れのお客様だったのだけど、考古展示室の一角に埴輪がずらっと並んでいるところがあって、そこで女性がずっと笑いをこらえきれない状況になってたこと。
…分かる…埴輪の表情ってとてもユーモラスだもの…おかしくなっちゃったんだろうなあ…。



で、本館に戻って。
残っていた18室「近代の美術」。
幸野楳嶺、そこまで好みではないのだけど(お手本的な絵が多い気がする)、「秋日田家」は結構いい感じ。
寺崎広業「秋苑」は少女がとても可愛い。
川合玉堂も絵によるけど、今回の「月下擣衣」は好きなタイプ。幽玄さを漂わせる水墨画
あとは以前も拝見した長野草風「高秋霽月」とか。秋だものね。
陶磁は並河靖之と板谷波山と、初代宮川香山の絵付けのみのものと(彫刻的な装飾をする方だけれど、絵付けだけのも綺麗)。柴田是真の漆芸作品が2点。写真NGの「桃漆絵額」も素敵だし、「烏鷺蒔絵菓子器」も2つの箱が重なったような挑戦的な器に、地が金で烏鷺を黒漆で描く図柄よ…。
金工では海野清「埃及(エジプト)猫置物」が。いや確かにエジプトだけど…猫だけど…これを作りたかった動機が知りたい。
で、今回は個人的には洋画。高橋由一や原撫松も勿論好きな辺りだけれど、何よりも浅井忠の水彩が物凄い点数出ていて。これが個人的なツボ。どれも素敵。眼福。



続いて法隆寺宝物館へ。
ぐるっと回って、6室の染織で残っている布の綺麗さに凄いなーと思っていたりするのだが、今回は4室の木工が楽器だったりするので、それも楽しみつつ。
なんであれだけ綺麗に彩色が残ってるんだろうな…本当に…。



ここまでで一旦、キッチンカーに寄ってコーヒーブレイク。



そして東洋館へ。
東洋館は2つほど企画ものが。

www.tnm.jp
東洋館の毎年の恒例イベント「博物館でアジアの旅」、今年は「空想動物園」。架空の動物に関係する展示に、追加のコメントがちょこちょこ。個人的な推し展示「ガネーシャ坐像」がポスターのセンターに(そこ?)これは折々触れていく形で。
もう1つの企画ものについては、別途。


一番階上から。10室。
「朝鮮時代の美術」は布物が面白かった。文官服である「団領」に、祭礼で服につける「後綬(フス)」、何の解説もないから謎だけど(服に縫い付けたのかな)「紋章」等。団領はシンプル、後綬と紋章は華やかに。


9室。
「清時代の工芸」、「水晶鴨書鎮」の恐ろしいぐらいの透明感も凄いんだけど、「空想動物園」としては「白玉鳳凰合子」だろうか。ちゃんと「鳳」と「凰」で二対の作品になってる。
後は「龍鳳虎蝠七宝如意」。ただの龍じゃなくて、「赤龍」としてのコメントがあった。劉邦が赤龍から生まれた、なんて伝説があるんだね。存じ上げなかった。



8室「中国の書画」。
今回は「江戸時代にもたらされた中国書画」というテーマ。
おや、なかなか美しい観音様の絵が…と思って作者を拝見したら、卓峰道秀と。…あれ?日本人…?
実はこのコーナー、隠元隆琦が黄檗宗と一緒に中国文化を伝えていて、それで黄檗宗の日本の僧がその文化風の絵を描いているそうで。黄檗美術と言うみたい。
そこに飾られてた「観音変相図」の白衣観音が、なんとも姿やかで美しい。日本人が白衣観音を描くと、どうしてこう美しいんでしょうな…。
そしてもう1つの「観音変相図」もなかなか(観音だけでなく)色彩が鮮やかで美しい、と思ったら、作者の鶴洲霊こう(漢字が変換できない…上が羽で下が高)、住吉如慶の次男。
お父様の絵がちょうど本館8室に出ているという…。凄いなあ…。


5室。
「中国 墳墓の世界」では、副葬品となる「緑釉井戸」や「緑釉羊圏」(羊圏=養羊場)とか、緑釉の雄鶏、犬、青磁の虎…なんか口まんまるに開けてるけど虎でいいのかな…とか、壺の模様というか融合してるような「青磁天鶏壺」とか「黒釉天鶏壺」とか「青磁鉄斑文蛙形壺」とか。
また、「空想の動物」は結構5室に多くて。
「中国の青銅器」はまあ、饕餮文のものが多いのはともかく、鏡に彫られている空想の動物がかなり多い。獅子と同一視されるさん猊(さん、はけものへんに「俊」の右側)、龍ってなってるけどワニの一種じゃないかと言われているだ龍(だの字を説明できない)、一本足の大きな鳥、き鳳(きの字はやっぱり説明できない)辺りは存じ上げなかった。あとは麒麟や、四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)あたり。
「中国の陶磁」にも麒麟黄龍(四神に1つ足して五神と言われる場合は麒麟黄龍もあるそうで)が描かれていたり。


3室。
西アジア・エジプトの美術」は個人的に好みなので見て回っていたけど、ここにも「空想の動物」が。有翼ライオンとグリフィン。どちらもイタリア。


11室「クメールの彫刻」。
当然のように(?)「ガネーシャ坐像」と戯れて。
ここでの「空想の動物」はガネーシャだけでなく「ナーガ上のブッダ坐像」のナーガや(どちらも動物というより神カテゴリでは…)「まぐさ」の右下にいる「マカラ」という怪魚が紹介されていた。マカラは存じ上げなかった。


さて、12室と13室は、今回は企画ものの部屋に。

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マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」。
いかにも書き手が好きそうなものが多そう…と思ったんだけど、意外と当てが外れたというか、いやあっているのか…。
実はかなり文字モノにフィーバーしてて。クルアーンコーラン)含めて。あちらの文字ってなんであんなに格好いいんだろうか。
それから武具の類。シャムシール刀に短剣、マレー半島のクリス、アルジェリアの火打石銃。
宝飾品はオスマン朝ムガル朝がキラキラしていて大変良い感じ。
布物は近年のものが多かったけど、マレー半島のバティック布はやっぱり好み。
あとは、意外とイスラム世界を描いた絵画が素敵。カール・ヴトケ「ダマスクスのウマイヤ・モスク」は結構好み。ドイツの画家で、あちこち旅行して色々描いているそうで。ネットで拝見する限り、なかなか魅力的な風景画を描かれるので、他も拝見してみたいなあ。
ポーランドの画家のスタニスワフ・フレボフスキ「モスク入り口の貧者」も良い感じの迫力があっていい。貧者というか、恐らくは托鉢僧なんだよね。横に「修行僧の鉢」を展示しているのもいいぞ。
チェーザレ・デラクア「オスマン美人」も美しかった…。
あ、細密画もあったよ。


いやあ…楽しかった…。