時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

ミュシャと日本、日本とオルリク@千葉市美術館

千葉市美術館は初めて。千葉駅から歩いて15分ぐらい。
美術館は8階が入り口で7階・8階が展示室なんだけど、その前に1階のさや堂ホールを。旧川崎銀行千葉支店の復元。やっぱり恰好いい…。
なお、美術館の建物自体は現在工事中で、人もいなくて、結構怖い。8階の入り口に行くと明るくてほっとするよ。

www.ccma-net.jp

さて、本題。またミュシャ関連。ミュシャが続くのは、日本・チェコ国交100周年記念もあるんだよね。
しかし…あのBunkamuraの喧騒はなんだったのか、というほど空いている。
morina0321-2.hatenablog.com
東京のミュシャ関連展覧会が異常なのかもしれないが。

あ、前期後期入れ替え有で、今回行ったのは前期。

序章「ジャポニスム光琳、型紙、そして浮世絵」。
いきなりミュシャじゃないのだけれど、今回は日本とのつながりが大事なので。
そして、尾形光琳を紹介する酒井抱一編纂「光琳百図」が出ていたり。抱一は光琳の研究家でもあって、「光琳百図」が西洋にジャポニズムを広げるきっかけだとは後で知った。知ったけど、凄いもの見てるな…。同じく抱一編纂の乾山の作品集「乾山遺墨」もあったし…。
光琳の流れで神坂雪佳とかも。「海路」、いいなあ。
で、ジャポニズムの有名どころの葛飾北斎歌川広重、と。…なんか結構お腹いっぱいだぞ…。

第1章「チェコジャポニスム」。
ミュシャが中心だけどミュシャだけじゃない、チェコの画家どどどどどん。というか…この展覧会の凄いのは、各章(前後期の入れ替えはあるにせよ)それぞれ100以上作品割り当ててる!版画・エッチングリトグラフの小品が多めとはいえ、凄いボリュームに。
ミュシャBunkamuraと結構かぶっている。かぶってないのは「ムーズ・ビール」ポスターと、「羽根」「桜草」「パリ万国博覧会オーストリア部門」ポスターかな。でも、ゆっくり見られるし、「装飾資料集」の違う頁とか、見てない本の挿絵とかもあるので、これはこれで。
ミュシャ以外でも、ジャポニズム影響も受けつつ格好いいポスター作品があったり。
個人的に気になったのは、タヴィーク=フランチシェク・シモン。エッチングの小品が多いんだけど、かなり絵柄が好き。

第2章「ミュシャと日本」。
ミュシャ+αが日本に影響を与える、という話。
Bunkamuraでもあったけれど、ボリュームが本当に凄い。「明星」何冊出てるの!?という。
藤島武二、長原孝太郎、中澤弘光、杉浦非水あたりが点数が多かった。絵に装填に。

第3章「日本とオルリク」。
今回の展覧会のもう一人の主役、版画家のエミール・オルリクの作品中心。
エミール・オルリクは日本の浮世絵に憧れて来日して、浮世絵技本を学んで、日本を題材にした版画を沢山作って、帰国してから展示したりしている。
序盤は日本に来る前の版画。そしていきなり出てくるヴァロットンの木版画にびっくり。パリで知り合ってたんだね。ヴァロットンの初期の版画がこの展覧会で見られるとは。
で、オルリクが日本で発表した版画に触発された日本の画家の作品が出てきて、その辺の展示も。山本鼎石井柏亭の作成した雑誌「方丈」とか、織田一磨とか。

第4章「オルリク─日本の思い出/後継者たち」。
帰国後のオルリクと、周辺の画家、という感じかなあ。オルリクはウィーン分離派に属しているのでその辺りも(でも中心のクリムトはないけどね)。
面白いのは、ラフカディオ・ハーン小泉八雲)の本の装填をオルリクがやってて、これが恰好いい。「KOKORO」はミュージアムショップでポストカードにもなるぐらい。
周辺の画家の中では、ヴァルター・クレム(ウィーン分離派にいたこともあるそうで)、カール・ティーマン辺りは気になる絵もありつつ。

量が多くて自分の中で消化するのも大変だったけれど、十分楽しめた。そして続く。