時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

日本民藝館改修記念 名品展II 近代工芸の巨匠たち

翌週から緊急事態宣言、暫く都内の美術館には行きづらい都外の書き手。
渋谷駅の混雑をなるべく踏み込まないようにして乗り換え、井の頭線へ逃避。
ここから美術館までは本当に心配がない、閑静な住宅地。
mingeikan.or.jp
今回は結構作家を絞っての展示。
あまり順路関係なく(本当は2階から拝見するのが正しい)、ぐるっと。


6室(1階玄関入ったところ)。
いきなり「斬新さと渋さが同居していて格好いい」陶器がずらっと。河井寛次郎
6室はバーナード・リーチのセント・アイヴァース(Wikipediaだとセント・アイヴス、地名)での作品もあって、こちらは落ち着いている鉄絵作品が多いような。これはこれで嫌いじゃない。
あ、棟方志功作品もあるよ。


7室。
こちらは濱田庄司と芹沢銈介。
個人的には濱田庄司の作品がとても好きで。河井寛次郎はたまに斬新過ぎてぴんとこなかったりするけど、濱田庄司はなんかこう…渋くて格好いいツボな作品が多すぎる…。
芹沢銈介は色々出ていたけど、個人的にはカレンダー作品が好きなんだよね。


そのまま流れで8室。「次代の陶芸家たち」(書き手、明らかに順路を誤っている)。
個人的に好みなのは金城次郎。本来は魚モティーフの作品が多い陶芸家らしいのだけど、展示されていたものは魚モティーフではなかった。淡い水玉が飾られていたりするものとか。沖縄・壷屋の陶芸家なのね。
また、展示されている布の染色作品が目を惹くなあ…と思ったら、柚木沙弥郎の作品だったり。
しかし…7室も8室も…暑い…(遠い目)。
暑くて汗が吹き出る…。


とりあえず順路に戻ろう、というわけで2階へ。2階は空調効いてたよ。
1室「近代陶芸の巨匠」。
バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎濱田庄司の前期から中期の作品に、
黒田辰秋の漆工工芸作品。
富本憲吉は「鉄絵 竹村月花文蓋壺」がなんだか抒情的で気になったり。
濱田庄司のスリップウェアみたいな飴釉のお皿もあったりして、とても惹かれる。
あと、気になったのは染織家の柳悦孝(柳宗悦の甥なのね)の椅子敷。
素敵、使ってみたいって思わせるのは民藝にとって誉め言葉だと思うの。


2室は「芹沢銈介の染色」。
といいながら、普段の布染色の作品だけじゃなくて、陶器なんかもあったりする。陶器を作成したり、陶器の絵付け担当だったりしたようで。それはそれで素敵な作品も。


3室は特集展示「産地に学ぶ」。
バーナード・リーチが日本各地の窯で作陶しまくってて、ちょっと面白い。1つ、この湯呑素敵だなあ…と思ったのがあって。島根・湯町で作陶したものだった。
バーナード・リーチが各地で作陶してる作品は、結構完成されてるなあ、という感じで。同じく濱田庄司も各地で作陶してるんだけど、試行錯誤しているような気がした。気のせいかもしれないけど。
ここのは陶器ではなく、秋田・角館の樺細工も。意匠・柳宗悦。樺細工自体も格好いいんだと思う。


4室「書物と装幀」。
芹沢銈介の装幀がいくつかあったけど、やっぱりいいなあ。
で、気になったのは版画家・川上澄生「南蛮竹枝」の表紙。
morina0321-2.hatenablog.com
ここで挙げた中世の聖歌の楽譜みたいなデザインだった。こういうの、流行った時期とかあるんだろうか…。


5室「棟方志功の版画」。
仏画が多いのだけど、棟方志功仏画ってなんとも優しいというかゆるい感じのものが多い気がする。ちょっとほっとする。
「御牛図」の牛がユーモラスだった。


1階に戻って、ミュージアムショップの隣の最後の部屋・9室「次代の染織家たち」。
1室にもあった柳悦孝、8室にもあった柚木沙弥郎(実はいくつかの陶器の展示品で、「柚木沙弥郎寄贈」があったんだよね…)は勿論あるし素敵なんだけど。
今回、宮平初子や平良敏子の沖縄の染織が。これは嬉しい…。
morina0321-2.hatenablog.com
宮平初子の絣は格好いいし、平良敏子芭蕉布の単衣の絣のあっさりで涼し気な感じが…。あ、お二方とも御健在でいらっしゃるそうで何よりですよ。
更に、志村ふくみの作品もしれっと展示。
で、今回初めて認識したのが外村吉之介と片野元彦。
外村吉之介の作品は朱地の着物だったのだけど、朱地に少し黒い糸を混ぜて、市松模様になってるのが格好良い作品。
片野元彦は絞り。なんて綺麗な絞りの柄…。
なんというか、凄い目の保養だったなあ…。


大満足でミュージアムショップに行ったら、今回の展示に合わせた陶器の品がずらりと。
で。島根・湯町窯の陶器が。


というわけで、スリップウエア風の豆皿、買ってしまった。
値段がかなりお手頃だったというのもあり(1000円札で少しお釣りが来る)、自制できず…。島根だからってわけじゃないです多分(自分で言うな)
なお、身内に恐る恐る見せたら大変気に入られたので(正直、拒絶されるかと思ってた)、我が家で重宝される予定。
…だったら濱田窯(濱田庄司が益子に開いた窯)にも手を出しておけば良かったか…!(あ)濱田窯の陶器の方が少しだけ値は張るけど、そこまでお高くもないし…。


さて。


実はこの日、西館開館日で。TVで事前に見ていたこの特集、拝見することに。
書斎の本棚に圧倒されたり、客間の設え、特に芹沢銈介が描いた襖が美しかったり。


大変目の保養でありました。
続く。