時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101@泉屋博屋館東京

ちょいと朝から野暮用を済ませ。


いきなり午前中から甘物を。御洒落美味しいチーズケーキ。


というわけで、いきなりミュージアムカフェ・HARIO Cafeに寄ったりしたのだが。
sen-oku.or.jp
泉屋博屋館東京で、大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵品の展覧会。
大阪市立東洋陶磁美術館。現在2024年まで休館中。
www.moco.or.jp
安宅コレクションは大阪市立東洋陶磁美術館の中核のコレクションになるそうで。
安宅産業という会社(の、安宅英一氏が収拾)で保有してたコレクションというなのだけど、経営破綻して、東洋陶磁器のコレクションを当時安宅産業のメインバンクとして付き合いがあった住友グループが尽力して、大阪市に寄付して、大阪市立東洋陶磁美術館を作らせた、そうで。
…なんか色々凄い話だ。
というわけで、泉屋博屋館東京と大阪市立東洋陶磁美術館は浅からぬ縁。
ちなみに安宅コレクションの速水御舟コレクションは、山種美術館保有になっていたり。いつも拝見させて頂いております、ありがとうございます(あ)

写真ほぼOK。

ロビーは今回は展示物がなく(常設の展示はあるが)、展覧会タペストリーのみ。
これ格好いいんだよなあ…。


第一展示室、「第一章 珠玉の名品」。
ハイライト的な章…多分。
一番最初にお出迎えは、展覧会の宣伝にも使われてた「加彩 婦女俑」。書き手の好きな副葬品(なんだか語弊が)の一種。唐時代のものは、当時の美意識なのか、ふっくらとして優美な感じの女性。
ちなみにMOCO(大阪市立東洋陶磁美術館の略称)のヴィーナス、なんて呼び方もしているらしい。いやまあ、分かるけど。
ここには、他の方から三種の神器的な扱いをされていて、それを(強引に)譲り受けたものが展示されていた。「白磁刻花 蓮花文 洗」「紫紅釉 盆」「五彩 松下高子図 面盆」がそれ。個人的には「紫紅釉 盆」の色が素敵だなあと。ただ…それより素敵なのが多すぎてなあ…。
有線七宝によく似た製法で作られていて、濃淡の青が非常に印象的な「法花 花鳥文 壺」。
青磁だけど、青磁というよりお茶の色のような落ち着いた色の「青磁刻花 牡丹唐草文 瓶」。
鉄泥で描くのは文句なく好みの「白磁銹花 牡丹唐草文 瓶」。
青で描かれた枇杷文が美しい「青花 枇杷鳥文 盤」。
濃い青と白のコントラストが非常に美しい「瑠璃地白花 牡丹文 盤」。
…全部重文だったりする。
そしてずらりと続く美しい青磁。高麗青磁の数々。
このセクションにあるものは結構凝った作りのものが多かった。
獅子が支えている「獅子形枕」とか、女の子の形をしている「童女形水滴」とか、オシドリを象った「鴛鴦蓋香炉」とか。ただ、形がどうのでなく、まず地の色が美しい…。
更に「青磁陽刻 筍型水注」によく似た形の「白磁 瓜型水注・承盤」は高麗白磁でこれも美しかったり。
とても繊細な絵が象嵌で描かれている青磁象嵌
粉引の上に雨漏まで発生していてとても書き手好みな「粉青粉引 瓶」。
青花の陶器3点は絵の線が細くて繊細。
「青花 虎鵲文 壺」「鉄砂 虎鷺文 壺」の虎がかなり…ゆるい…。
いやあ…ハイライトのセクションに恥じないラインアップで…。


「第二章 韓国陶磁の美」。
最初にとても美しい色彩の掛け軸、「楊柳観音像」。
その前に美しく済んだ高麗青磁、「青磁 瓜形瓶」と「青磁陰刻 柳蘆水禽文 浄瓶」が並んでいるのだが、高麗青磁のこの美しい地の色…。
で、青磁象嵌もあれば、青磁練上という、マーブルな感じのものもあるし、青磁白堆という、青磁に白い化粧土で図案を描いたものもある。
青磁鉄地、日本では「黒高麗」と呼ばれる、青磁とは趣の違う黒っぽい地のものもある。
高麗白磁もある。こちらは昔の形を象ったものもあって、シルクロードの西側で出てきそうな角杯もあったり。
…なんというか。このセクションちょっと…美しすぎて困る…。


「第三章 中国陶磁の美」。
いきなり聳えるのが「緑釉 楼閣」。はい、書き手大好きな緑釉=副葬品(言い方)。大型で、更に細部も細かくて、この芸術品を埋葬するためだけに…おお…。
でもって、ちょっと魔女っ娘アニメっぽい衣装の「加彩 宮女俑」。最初の「婦女俑」と同じ唐時代だけれど、宮女俑は初期で婦女俑は後期だそうで、女性の美しさの価値観が違うみたい。こちらはとてもスリム。
で、このセクション、展示されている器がとにかく多種多様。
緑釉や三彩のような副葬品のものもあれば、青磁白磁、でもって澱青釉に瑠璃地に青花に釉裏紅(松岡美術館のように鮮やかな色ではないのだけど。ほんのり赤が乗ってる感じ)。
個人的には青磁の長頸壺のひび割れを鎹で修理していて、まんま名が「鎹」になった器も好き。
個人的には好みではないけど、黄地や五彩もあった。
これだけバラエティに富んでいて、更に部屋の中央には、ガラスケースが3つ。
国宝の「油滴天目 茶碗」「飛青磁 花生」、重文の「木葉天目 茶碗」。
窯変天目が宇宙みたいに評されるけれど、油滴天目だって別の宇宙の表現みたいだし、飛青磁みたいな(偶然できた)紫斑を美しいと思う美意識も素敵だし。木葉天目は本物の木葉を焼き付けてるという。
これ、写真OKなのが意味が分からないレベル。本当に美しい…。


「第四章 エピローグ」。
入口にいきなり鎮座しているのが、鴟キョウユウ。
morina0321-2.hatenablog.com
なんかいきなり前の展覧会の展示に戻った…?となってしまった。大阪市立東洋陶磁美術館、鴟キョウユウお持ちでいらしたんだね。
泉屋博古館の鴟キョウユウを並べて展示していた。こ、こんなファンサもありか…!(ファンサ?)
「粉青線刻 柳文 長壺」はどちらかというと素朴な感じなんだが、こちらは濱田庄司が息を呑んで立ち止まったというもの。これは確かに民藝の方が好きそう…。
個人的には「げんこつ」と安宅英一氏に呼ばれていた「黒釉 扁壺」がシンプルで素敵だなあ、と。
あと、書き手は堆朱苦手だけれど、「堆朱 蓮池鴛鴦文 輪花盆」は赤の色が落ち着いてて、決して嫌いではなかったなあ。



いやあ…このコレクションは確かに散逸するのを惜しむの、分かる気がする。凄いコレクションだった。眼福
なお、書き手、230強写真を撮っていた。時間かかった…。



一休みのお昼は近所の六本木アークヒルズで。


ランチセットだけれどなかなかのボリューム…。


続く。