時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

惹かれあう美と創造 ─陶磁の東西交流@出光美術館

前の場所から昼食を食べた後、歩いて出光美術館へ。近いのよ。
展覧会レビュー等を拝見し、ちょっと面白そうかな、と


序章「交流のはじまり―東と西が出会うとき」。
そろそろシルクロードが繋がる、ぐらいの頃。
ええと…東地中海地域のガラス鉢、ミルフィオリミルフィオリは「千の花」という意味だそうな。模様が花が咲いてるようなんだね)碗、オイノコエ(酒注ぎ)やアンフォリスコス(両側に取っ手がついたもの)の香油瓶…東京国立博物館東洋館3室的なツボのものが出てきたよ…?
イランの円形カット装飾椀は、正倉院宝物殿にも似たような形のガラスの器があったなあ…。
あと、中国の蜻蛉玉が綺麗。


第1章「人々を結ぶ路 ―シルクロードの隆盛」。
相変わらず地中海の品は素敵。「ガラス製把手付水注」は、銀化という変容をしているんだけど、それがまた綺麗で。
後は、イランと中国に三彩の品が。中国は慣れてるけれど、イランはちょっと模様が変形していて、「多彩釉多連皿」はちょっとなんか…グロテスクなような…。
中国の「白磁弁口水注」は、桃色がかった乳白色の釉薬で、とても綺麗。


特集1「イスラーム陶器にみる文様の美」。
イスラムの文様、物凄く細かい…。
所謂幾何学文様なんだけど、なんだろう…個人的には布地の幾何学模様は大好きなんだけど、器の幾何学文様は、ものが小さいからか、そこまで惹かれないというか…。
「白地多彩花文鉢」は格好いいと思ったかな。


第2章「煌めきと青への憧れ ─イスラームの美と青花誕生」。
イランの、青というか藍釉って展示には書かれていたかな、その色はとても美しい。
「白地藍釉縞文様透彫鉢」は放射線みたいな感じで格好いい。
で、中国の「青花」になった、という話なんだけど、中国ものになってしまうと、ちょっと個人的な好みから外れるというか…。


特集2「東と西をつなぐ船」。
大航海時代、交易の船自体が描かれている作品など。
「色絵オランダ船文皿」は余白もあって素敵。
陶磁とはちょっと離れるけれど、当時使用されていた天体観測儀(アストロラーベ)が展示されていて、そちらがちょっと気になった。


第3章「海を渡った陶磁の交流 ─東インド会社の時代」。
東インド会社を経由した交流。
この頃になるとデルフト窯が出てきたりする。
所謂「唐物」を日本の茶道具として使用した話も出てきて、「黒釉四耳壺 銘 秀葉」「唐物肩衝茶入 銘 道阿弥」はいかにも茶道具で、シンプルで、今まで割とゴテゴテなデザインが多かったので、ちょっとほっとしたり。
あ、「南蛮縄簾水指」も茶道具に使われたっぽいけど、こちらはベトナム製。安南って呼ばれるものだと思う。どっしりとした水指だった。好き。
あと、伝・仁阿弥道八「髭徳利」が。
morina0321-2.hatenablog.com
東京国立博物館でも出てたねえ、人面が描かれた壺。
ケルン窯で作成された髭徳利も飾られていて、西洋のブームなんだなあ、とは思う。


第4章「惹かれあう陶磁 ─柿右衛門古伊万里の美」。
柿右衛門古伊万里のデザインがヨーロッパに渡ってよく売れたし、中国でもヨーロッパでも似たようなものを作成した、という話なんだけど。
その…この辺りの絵や文様が細かく描かれている系は、得意じゃないんだよね…。少し余白があるとほっとしたりする。
チェルシー窯の「藍釉色絵金彩西洋人物文瓢形瓶」の地の黒とか、中国の「藍釉色絵金彩花鳥文瓢形瓶」の地の青は綺麗だったけれど。
中国の「青花吉祥文扁壺」はイスラムっぽい幾何学模様だったんだけど、文様が大きいからか、嫌いじゃない感じ。


終章「近現代陶芸の交流 ─東西交流のつづき」。
明治以降も陶磁が輸出されたケース。
出石焼白磁松竹梅文遊環付方瓶」は白磁に花や木を彫っていて、それがとても繊細で凄い。
そして板谷波山が出ていて、かなりほっとした。


個人的な好みからは後半は外れ気味だったけれど、
色絵の陶器がお好きな方は刺さるかと。


続く。