時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

多分今年最後の総合文化展巡り(国宝展入る気なし)。


先に黒田記念館へ。
今回は写生帖と、初期の欧州の風景や室内スケッチ、でもって、人物の肖像画が多め。
写生帖の素描が味があって結構いいなあ、と。
で、そこから1つ。

七面鳥」。季節ですし(え)あ、でも、書き手多分食べたことないよ。なんか可愛いし。


さて、本館へ。

2室「未来の国宝」に川村清雄「形見の直垂(虫干)」が出ていた。
そうか、未来の国宝扱いかあ。素敵な絵だものなあ…。


3室。
「仏教の美術」は鮮やかな絵が多かったのは、鎌倉・室町時代辺りの展示物が多かったからかな。
因幡堂薬師縁起絵」がなんとなく気になった。
「宮廷の美術」は伝・寂然「法門百首切」の料紙が綺麗だなあとか(お坊さんのお名前っぽいけど「仏教」じゃなくて「宮廷」?と思ったら、寂然は貴族が出家してるのでこちらなのかな)。
古筆切を集めた「古筆手鑑」も美しい料紙のものが多くておおお、だったりとか。
「北野天神縁起絵巻(建治本)断簡」は、仁和寺阿闍梨が牛車に乗ったまま北野天満宮を横切ろうとしたら、天神が怒って(菅原道真、結構祟るよね(あ))牛車の牛が死んでしまった、という牛には可哀想な話なのだが、その牛がとてもダイナミックな倒れ方をしているのが気になったり。…というか、縁起なのに「仏教」じゃなくて「宮廷」?(2度目)
菊モティーフの「流水菊花双鶴鏡」「菊花流水双鳥鏡」、どちらも菊のデザインが綺麗で良かった。
「禅と水墨画」では没倫紹等「葡萄図」が素敵だった。洒脱な感じが。


4室「茶の美術」。
何度か拝見したことがあるものが多かったけれど、目の保養なので良いかな。
初めてなのは「炉縁」。あまり展示として出てこない気がする…。
茶の湯は縁がないから、まじまじと拝見する機会があるのも面白い。


5・6室「武士の装い」も以前拝見したものが多いかな。
「熊毛植二枚胴具足」が暖かそう。


7室「屏風と襖絵」。
渡辺始興「池田宿図屏風」。渡辺始興は先日下記で拝見してる。
morina0321-2.hatenablog.com
琳派に分類される画家だけど、「池田宿図屏風」は琳派っぽくない。描かれている人物は大和絵の印象を受けた。実際、渡辺始興大和絵風の作品もあったそうなので、多分これはそちらに分類されるのだと。個人的には大和絵の画風は嫌いじゃない。状態が良くないのが気にはなったけれど。
狩野探幽「山水図屏風」は余白の使い方が凄く好き。


8室。
「暮らしの調度」。
日用品は遊具関連、多分拝見したことは何度もあるかな。「源氏絵彩色貝桶」がまあ目に鮮やか。「加留多双六蒔絵提箪笥」や「山水蒔絵十種香箱」は細工が凝ってる。
で、普段は簪だったり文具だったりするコーナー、今回は小判&大判。珍しい展示だなあ。
そうそう、陶器で一方堂焼の「白釉染付椿文茶碗」という、椿の絵付も綺麗で少し茶?が入ったような白の釉薬も素敵な茶碗が出ていたのだけど、これ、仁阿弥道八が関わってるらしいと解説にあって。それでいて「色絵於福香合」みたいな、思わず吹き出すようなユーモラスな女性人形の香合も作成しているので、仁阿弥道八の多彩な才能が面白いよなあ、と思う。
「書画の展開」。
書は相変わらず得意ではないけど、有栖川宮熾仁親王「十体和歌」は格好良かった。有栖川流、でいいのよね。素晴らしい料紙に流麗な字体。
絵は、いきなり狩野探幽の三幅の掛け軸、「漢武帝西王母・長伯房図」。以前も拝見しただろうか。西王母が美しいし漢武帝が堂々としているし。…んん?寄贈が「岡田信一郎」?黒田記念館や明治生命館(先日静嘉堂がオープンしたところですな)の建築家、の?
狩野山雪「双龍図」は迫力もあり、それでも龍の表情はどこかユーモラスだったり、いいなあ。
同じ龍でも円山応挙「龍唫起雲図」はどっしりと。
岡本秋暉「孔雀図」。東京国立博物館、岡本秋暉は孔雀じゃない絵を展示することが多かったけど、とうとう巡り合えた。嬉しい…美しい…。
冷泉為恭「後嵯峨帝聖運開之図」は鮮やかで美しい大和絵
ガラスケースには伝・土佐光吉「源氏物語色紙」と住吉具慶「源氏物語絵巻」のこれまた美しい大和絵が。
こちらは公式の解説もどうぞ。

www.youtube.com
あ、そうそう、今回は司馬江漢や亜欧堂田善の、西欧画に影響を受けた絵もいくつか。


10室。
「浮世絵」だけ展示替えだったのだけど、鈴木春信とか歌川広重とかいつもの好きな辺りと、今回は菱川師宣「北楼及び演劇図巻」が面白かった。所謂群像なんだけど、1つ1つ丁寧に、生き生きとした所作で描かれていて、面白い。


13室。
「金工」。正月も展示が変わらない部屋なので、伊勢海老を象った展示とか(明珍宗清「自在伊勢海老置物」も出ていた)、来年の干支の兎の水滴が数点出ていた。


14室「創立150年記念特集 未来の国宝―東京国立博物館 彫刻、工芸、考古の逸品―」。
今回は「青磁盤」。中国の青磁は綺麗だよね、というのもあるんだけど、こちらは川端康成旧蔵で、箱書きされてたりする。箱も展示されてた。


16室「アイヌ琉球」。
今まで拝見したものが多かったかな。個人的には楽しい。
琉球の「ワタジン 紺地菱繋小花模様紅型」が可愛かったなー。


ここから平成館へ寄り道、なのだが。


企画展示室は平成館というより本館にいるイメージ。
だって展示が「創立150年記念特集 高円宮殿下二十年式年祭記念 根付 高円宮コレクション」。
いつも本館2階の展示が、少し広くて明るいところで拡大展示。何が嬉しいって、明るいので写真が結構いけるんだよねえ…。
で、こちらのコレクションって現代作家のコレクションなので、まあとにかく種類が豊富。
正統派もあるけど、やっぱり正統派以外のものが気になってしまう。

だってこれだよ?とんこつ(煙草入れ)がポテトで根付がチーズバーガーで緒締がシェイク。
ちなみにこちら、ポテトだけ作者が違う。というかこの模様は商標的な意味合いでありなのか…

ってこれ、よく見たら「それ」じゃない!来年の干支ー!
こちらを拝見していた形から「ドナルド…」って声が結構出ていたので、分からないで通り過ぎた方、結構いるかも。
他にもたんまり撮影してしまった。面白いよ。


考古展示室もぐるりと。
色々面白い展示があったけれど、「古代の経塚ー三重県小町塚経塚ー」に出ていた石製の光背がとても綺麗だったなあ。白い石に綺麗に彫られていて。


本館に戻って18室「近代の美術」。日本画だけ入れ替わっていた。
速水御舟比叡山」の妙な迫力も素敵だったし、下村観山「修羅道絵巻」はとても鮮やかで格好いい絵巻だった。


外のキッチンカーでちょっと一息入れて。


東洋館。いつもの通り5階から降りていく形。
10室。
「朝鮮の陶磁」は色々素敵だったり面白かったり(動物の土偶は陶磁扱いなんだよね)なんだけど、今回面白かったのは「白磁将棋駒」。日本の将棋の駒とは違う、丸い形に文字が書かれているもの。


8室「中国の絵画・書跡・文人の書斎」は「明末清初の書画」。
余玘「倣劉松年美人図軸」、個人的好みの美人画。眼福。
徐渭「花卉雑画図巻」は前も拝見しているけど、やっぱり綺麗だなあ。


5室。
「中国の染織」は「吉祥の鳥」テーマ。結構鮮やかで、ちょっと文様が込み入ったものが多かった気がするけど、個人的には「紫地向鳳凰丸文様金襴 二人静金襴」とか「白地雲鶴文錦」が好みかな。
「中国 墳墓の世界」は個人的に好きなので普通に楽しい。今回は初めて「緑釉磨臼」を拝見したかもしれない。興味深いんだよね、副葬品。
「中国の青銅器」は「耳杯・炉・承盤」とか「銀製耳杯・鍍金支座」とか、組み合わせて展示しているものもあって面白いなあ。


4室「中国文明のはじまり」。
「黒陶両耳壺」「灰陶黒色暗文小壺」とか、「紅陶鬲」は一度拝見したことがあるかな、
ちょっと変わった形だけど地自体はシンプル、みたいな土器が面白い。


13室。
「アジアの染織」は「アジア遊牧民の染織」…(黙って倒れる)今年最後にツボ展示ありがとうございます…眼福…。
「インドの細密画」。今回はナーイカ(あちらのヒロインの意味らしい。ヒーローは「ナーヤカ」)特集。女性の絵は好きだなあ。綺麗だし。


時間が残り少ないけれど、法隆寺宝物館へ。
4室「木・漆工」は、香木と計量器。
香木は…まあ、展示してるだけだとただの木なんだけども(言うな)。でも、全然違う形をしているから面白いけどね。
計量器は枡とかなんだけど、紅牙撥鏤尺がしれっと展示されていた。いや、確かに尺だから計量器なんだけど、装飾が凄いからねえこれ…。


6室「染織」は特集「古代染織の保存と修理」。
江戸時代や明治時代に保存処理された染織や、現代の技術だとどうするか、等。
法隆寺宝物館の染織だとより大事だよね…。


今年最後ということもあり、久々に全館ぐるりと。
また来年伺いに来ますよ。次は年間パスを更新しなきゃ。