時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

つながる琳派スピリット 神坂雪佳@パナソニック汐留美術館

panasonic.co.jp

実は6月に京都に伺った時、今回の展覧会でかなり作品を所蔵している細見美術館の方で開催していた。
東京に巡回するのを存じ上げていたのでその時は回避して、満を持して東京で。
前後期で作品が少し入れ替え。更に前中後期で書籍系展示の頁替もあるみたい。


「1 あこがれの琳派」。
神坂雪佳が憧れた琳派の方々。
本阿弥光悦俵屋宗達のタッグ(宗達は単独でも)、尾形光琳&乾山御兄弟、中村芳中酒井抱一、鈴木其一…ってちょっと待って、琳派オールスターズなんだが…。
深江芦舟や渡辺始興もあるよ。
とりあえず、書き手は初っ端に本阿弥光悦俵屋宗達、最後の方に酒井抱一を配置されて唸っていた。
その他だと、尾形光琳「柳図香包」の柳が綺麗だったり、中村芳中「月に萩鹿図」は全体的に綺麗なんだけど鹿の顔がユーモラスだったり。


「2 美しい図案集 ―図案家・雪佳の著作」。
神坂雪佳の作品のうち、図案集の展示。
この辺りの資料の大部分は「芸艸堂」(うんそうどう)という、手摺木版の書籍を専門に刊行している出版社のもの。現存している会社(Wikipediaの業種に「情報・通信業」となってて凄く違和感。いや出版だからそうなんだけど)。
こちらがなかなか素敵な図案ばかり。
「滑稽図案」は好みが分かれるとは思うが。「美人草」ってタイトルで、花のところに女性の顔がついてる草、とか、そういうのなので。
あ、今回の展覧会の宣伝絵は図案集「百々世草」より「狗児(くじ)」。


「3 生活を彩る ―雪佳デザインの広がり」。
神坂雪佳は工芸の図案もやっていて、この章はその辺りの展示。
例えば、雪佳の弟・神坂祐吉との漆工作品(神坂祐吉は漆工芸家)とか。
…って、もう一人弟さんいらしたのか…(もう一人の弟さんについては以前触れた)。
morina0321-2.hatenablog.com
「桜図半月形食籠」は漆の空間に舞う、螺鈿で描かれた桜の花びらが1つ2つ、という美しい作品。
後は雪佳が図案の陶芸作品。六代高橋道八「老松文鉢」や、五代清水六兵衛「波の図赤楽茶碗」、四代・五代清水六兵衛「遠山図向付皿」は、とてもデザインが大胆。
雪佳が琳派風の図案にしていて、更に陶工の手でより大胆にしているように見受けられるけれど、どうだろうね。
四代・五代清水六兵衛「水の図向付皿」は尾形光琳の水の流れを図案化して、それを皿にしたもので、こちらはとても上品。


「4 琳派を描く ―雪佳の絵画作品」。
というわけで日本画。今回、絵より図案の方が多い気も…。
ちなみに1区切りの箇所に展示されているのだが、実は2や3に一部展示されていたりもする。
琳派というか図案家っぽい絵でいいなあ、と思ったのは「十二ヶ月草花図」。四月の藤と六月の紫陽花が特に好き。
あとは「田園養鶏図」とか「砧図」とか、結構抒情的な感じが好きだったりする。こちらは琳派とは大分離れているけれど。
あと、細見美術館の方はこちらが展覧会の宣伝絵になってた「金魚玉図」。金魚玉は金魚を入れて、軒先に吊るすものなんだけど(今でも作ってるところはあるんだね)、とてもユニーク。


展覧会最後にフォトセッションが。

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図案を電子処理したスライドが次々に映る形式。
ただ、全体を映そうとすると、画面が光っちゃって撮れない…。
半分ぐらい映したのでOKということで。


こういう、特色を生かした展覧会も面白いよね。


あ、パナソニック留美術館なんで、常設でルオー展示もあるよ。


移動前に、少し早めのお昼。


アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」のレストランで。新橋はレストランorカフェつきアンテナショップが3店舗あるので、なかなか迷う…。
鳥取和牛ローストビーフ重、美味しかった。そして備前焼のコーヒーカップは嬉しい。


続く。