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半年振りに訪問。
今回は速水御舟と、御舟の弟子(御舟が早世されたので6年だけ)で姻戚(御舟の妻といとこ)の吉田善彦の特集。
山種美術館所蔵の御舟の絵は何度も拝見しているけれど、吉田善彦は初めて拝見する。他でも拝見したことがあったかどうか…。
第1章は「速水御舟-日本画の挑戦者-」、第2章は「吉田善彦-御舟に薫陶を受けた画家-」と、章立てが分かりやすい。
ちなみに第1室はお二人、暗い小部屋の第2室は御舟のみ。
第1章。
山種美術館所蔵の御舟の絵は何度も拝見しているので、初めて拝見する絵はないのでは…?となるのだが。それでも、実物を何度でも拝見したい。
今回、「昆虫二題」の「葉蔭魔手」「粧蛾舞戯」が写真OKだったのだけど、写真では良さが伝わらないなあ…となることが多くて(写真を撮る人間の腕が悪いともいうのだが)。「葉蔭魔手」の蜘蛛の糸の繊細さとか、「粧蛾舞戯」の蛾の羽の具合とか、光の具合とか。
今回は「翠苔緑芝」「名樹散椿」「炎舞」と特に名画の数々も出ているし。
あと、今回は音声ガイドがないのだけど、実は随所に吉田善彦の御舟の技法解説がある。
「翠苔緑芝」だと、普通の緑青ではなく敢えて安価だけど青が強い花緑青を使用しているとか、この絵で花緑青が流行って一時期画材家から花緑青が消えたとか、苔の部分は砂子使ってるとか。
「名樹散椿」は背景の金を砂子をたっぷりと振り替えて塗るという「撒きつぶし」という技法を使ってるとか。
なんだか凄く勉強になる。面白いなあ。
「炎舞」は第2室に。この絵は第2室に置きたくなる、というより、第2室は「炎舞」のためにあるのでは…と思ってしまう。
第2章。
吉田善彦は御舟が亡くなった後、小林古径に師事して、更に法隆寺金堂壁画模写事業で安田靫彦の元で作業をしている。
そんな経緯だからか、「塔」(法隆寺の五重塔)はとてもしっかりした絵で。
若い頃は少し幻想的な絵を書いていて、その中では「寒林」が好きかも。裸の木が密集していて、ちょっとデザイン的で。
で、「桂垣」で「一度彩色で描いた上に金箔でヴェールを被せ、その上にもう一度色を置き再度描き起こす」という技法を確立させる。この金箔のヴェールというか、紗のかかった感じが、絵に対して更に幻想を増すような。
「大仏殿春雪」はしっかりした構図に紗をかけていて、個人的にかなり好み。
自然の風景画であれば「尾瀬三種」が一番好きかも。
あと、法隆寺金堂壁画模写事業に関わったので、奈良の絵もかなり書かれてる。「藤咲く春日野」とか、個人的な趣味のモティーフを全て使われてる感じだし。奈良(春日)・鹿・藤…。
知識的な興味深さと美しい絵と。眼福な展覧会。
で、恒例、ミュージアムカフェで和菓子タイム。
吉田善彦「桂垣」モティーフの「竹しずか」と、(写真で分からないかもだが)金粉入り緑茶「煌めき」。この展覧会で多用されている金箔や砂子を思い起こすような選択にしてみた。
まあ、御舟モティーフの「ほの穂」「散椿」「まさり草」は頂いたことあったというのもあり…。
続く。