「悉皆」、「しっかい」と読むそうで。「呉服業では洗い・染織・刺繍など着物にかかわるすべてを請け負い、優れた職出先を仲介すること」なのだそうな。
で、高島屋史料館の所蔵作品や、歴史をインスピレーションの元にして、現代作家に作らせる、という、よく考えたらなんか凄い豪勢な依頼してる!?という企画。
作品出展者の一人である山本大貴(以下、敬称略)が呟いておられて、それで知った展覧会。
【グループ展のご案内】
— 山本大貴 (標)|初画集発売中 (@SILVE05) 2022年1月19日
■髙島屋創業190周年記念
悉皆 -風の時代の継承者たち-
2022年1月19日(水)~31日(月)
新宿高島屋10階美術画廊https://t.co/HKmIy81fCM
昨年より髙島屋各店舗にて開催されている記念展の巡回展です。
ご無理のない範囲でお越しいただけましたら幸いです。 https://t.co/OvHuZBWepM
各地の高島屋で開催されたらしく、新宿店開催はラスト。前回、新宿に(しかも南口に)来たので、足を少し延ばして。
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休日の百貨店なんて混んでるかな…と思ったんだけど…。
恐らく、皆様外出を控えていらっしゃる…?
普段どれだけ入っているか分からないけれど、流石にこれは空いているんだろうな、と。…そしてこれだと、百貨店側としてはちょっと厳しい…。
ともあれ、美術画廊にこんにちは。入場無料。
きょろきょろ拝見していたら、担当の方が、非常に立派な冊子を持ってこられまして。なんと無料で頂いてしまった…。
今回の全展示の写真と解説と、モティーフになった作品や歴史が載ってるカタログ。このブログ書くにも大変参考になる…。ありがたい。
今回が初めてじゃない方々。
今回きっかけとなった山本大貴。既に何度も取り上げているけれど。
今回は北野恒富「婦人図」をモティーフに、ポーズは同じだけれど大分テイストの違う「The Byronic Hero」。
《The Byronic Hero (feat. IKEUCHI Hiroto)》
— 山本大貴 (標)|初画集発売中 (@SILVE05) 2021年8月8日
80.3×60.6cm / パネル、油彩 / 2021年
gadget: @ik_products
model: @ko_no_e
swimsuit: @realise55
髙島屋創業190周年を記念する企画展に際し、高島屋資料館収蔵の北野恒富《婦人像》(右)を題材にオマージュとして制作させていただきました。 pic.twitter.com/5gs18i5n1W
現代…より近未来っぽい感じに。
個人的には元のモティーフも凄く拝見したい…。
橋本雅也。
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今回は鹿角ではなく、木彫。
速水御舟「菊」モティーフで、「火焔立像」。
菊の花弁と、御本人のコメントにもあるように「炎舞」も念頭にあり。拝見している絵だから、すぐに想像はできた。
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木彫だけれど、とても繊細で。今回、ガラスケースがないので、近くに寄るのにすら気を遣う…!
やはり元のモティーフも拝見したい。
前原冬樹。橋本雅也と同じ展覧会で拝見して気にかけている作家。
小倉遊亀「椿花」モティーフの「一刻」。
「椿花」は白と、白地に赤が混ざる椿の2輪の絵なのだが、「一刻」は(恐らく)椿の蕾のついた枝…を木彫で作り、更に古びた旅行鞄が横に。こちらも木彫。
そしてコメントに「私は、作者の製作理由などはどうでも良いと思う。」
…ええっと。
ただ、その次のコメントはこう。
「ただその作品に込めた熱量の様なものが伝われば。」
…分からなくもない、かな。触れたら折れてしまいそうな繊細な椿の枝の木彫(恐らく接合とか一切なしの彫り)と、妙に存在感のある鞄。
こちらも元のモティーフも拝見したい。
田辺竹雲斎。
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こちらは代々続いている竹工芸家の襲名で、現在は四代。挙げた展覧会では、初代から四代まで全員作品は出ていたと思う。
河井寛次郎「三色扁壺」モティーフで「朽竹 偏固」。
朽竹は「くちく」と読むそうで、竹林の中で間引くために頂点を鉄棒で刺して、成長を止めて折られて朽ちたものについて名前を付けたそうで。
その朽竹を把手に使って、かなり歪んだ形の籠を編んで(だから「偏固」)、面白い竹籠。
こちらも元のモティーフ拝見したいなあ…。
今回が初めての方々。
浅井康宏。漆工芸家。
国宝「玉虫厨子」(模造を作成する際に高島屋が全面協力したそうな)モティーフで、「蒔絵螺鈿香炉「瓔珞」。
【新作紹介】
— 浅井康宏 (@Yasuhiro_Asai) 2021年6月7日
蒔絵螺鈿香炉 「瓔珞」
漆芸技法 蒔絵と螺鈿技法を用いた作品
Photo by Tadayuki Minamoto pic.twitter.com/934y9N0yti
細かい…美しい…。
なお、日本玉虫の翅も少し使っているとのこと。
池田学。
お名前は存じ上げていた。ペンで壮大な絵を描かれる作家。機会があれば拝見したいと思っていた。
横山大観「蓬莱山」モティーフで、タイトルも同じ「蓬莱山」。
が、蓬莱山という神々が住まう理想郷とは異なる、雲海に(「雲」と「海」!)に囲まれた、険しく、誰もいなさそうな断崖と、山頂に引っかかっているフェリー一艘。
山肌の表現とか、海の表現とか、ちょっと凄い…。
小野川直樹。折り紙作家、でいいのかな。
前田青邨「みやまの四季」モティーフの「Lullaby」。
www.instagram.com
全体的に拝見すると、とても細い枝に満開の花、よくよく拝見すると枝の先に無数の小さな折り鶴…。
増田敏也。ジャンル的には陶芸…なんだけど、御本人の自称が「デジタル陶芸家」。
河井寛次郎「鳥鉢」モティーフで「Low pixel CG「↑↑↓↓←→←→BA鉢」」。
Low pixel CGは御本人の作品のシリーズ。
masutoshi117.jimdofree.com
で、作品タイトルの意味は…コメントに「当時を知る者の大半が知る謎の共通認識」ってあって吹いたのだが。ええ、書き手、何を意味しているか分かりますよ(ぼそ)
こちらは作品を是非拝見してほしい。面白い。
あと、こちらも元のモティーフ、是非拝見したい。写真で拝見する限り、凄い可愛いの!河井寛次郎は物凄く個性的な作品を作成されるけど、こういうのも作成されるのね…。
山村慎哉。漆工芸家。
前田青邨「みやまの四季」モティーフの「種型十六凹面変小箱」。
アーモンド型をしている漆の小箱、箱の縁に輝くのは螺鈿、とても美しく、ポップで可愛らしい。素敵。
和田的。陶芸家。
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先日拝見した展覧会でも作品は出ていた。が、そちらはあまり好みでなく。
今回は河井寛次郎「手に玉角鉢」モティーフの、「手に玉と月の兎 2021」。
こちらは白磁のタイルに金と銀でデザインを描いていて、それが素敵だった。兎も可愛い。
しかし、河井寛次郎はモティーフの作品あるけど、3点全部違うって凄いね。そして全部違った感じなのに、とても素敵という。「手に玉角鉢」は手のデザインが凄い描かれ方なの。一瞬赤い花に見える。
大変良い目の保養で有難すぎる…。
続く。