時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵@東京国立近代美術館工芸館

www.momat.go.jp

千葉から総武線東西線で一気に竹橋。15時着。

東京国立近代美術館工芸館で展覧会を観られるのは、今回の次の展覧会が最後。石川県に移転してしまうので。それまでに通っておきたいなあ、とは思っていた。

アビー・コレクションはメトロポリタン美術館所蔵の竹工芸のコレクションで、実は巡回展。
この前は大分県立美術館で開催していて、それは「フランス人がときめいた日本の美術館」でやってた(下記はMXでのリンク。そっちで観たので)
s.mxtv.jp
で、竹工芸だけの展覧会だと思っていたら誤りで(もしかしたら東京国立近代美術館工芸館だけの工夫?)工芸館所蔵の近代工芸の名品を同時に展示している。これ、上手く調和するように展示してるんだろうなあ。いい気遣い。
なお、工芸館所蔵品はちょこっとだけ前期後期の入れ替えがあるそうな。いつから後期かは不明だが、とりあえず書き手が見たのは前期の様子。

で、この展覧会、全作品写真撮影OK。太っ腹だ。

最初の部屋は「イントロダクション」。
竹工芸は、オーソドックスに籠からちょっと変わり種の家具から、オブジェまで。
籠も作品の形態としてはオーソドックスとはいえ、デザインが綺麗だよね。かといったら、加藤藤昇斎は「瓢形花籃」「花車形花籃」とか、籠だけどかなり変わってるし。「花車形花籃」と、工芸館所蔵の喜多川平朗「打掛唐織萌黄地牡丹文」、つまり着物なんだけど、合わせて飾ってあるのがいいなあ。車輪と牡丹の円が合わせられてるのかな。
一方、籠ではないものとしては、二代飯塚鳳斎「硯筥」「料紙文筥」。硯箱とか文箱とか、堅いイメージがあるんだけど、竹でできているからか、なんとなく温かみがあるのがいい。
そして初代早川尚古斎「山高帽」。…帽子だ…。
工芸館所蔵品としては、横山大観「帰漁」。…大観、撮影OKなんだ…しかも割と嫌いじゃない感じの大観。なお、前期のみ展示。後期は速水御舟らしい。…気になる…。
あとは志村ふくみ「紬織着物 鈴虫」。渋い素敵な着物。ちなみに後日、ひょんなところでお名前を拝見してびっくりした次第。
www.asahi.com

次の部屋は割と広間…なのだが、一画にある「和室」から。いやあ…和室と竹工芸はそりゃあ合うよねえ…。
まず、床の間に飾られてる飯塚琅?斎「花籃」が非常にモダンなデザインの籠で。…これ、昭和7年の作品とかマジで…?
あと、こちらは工芸館所蔵品との組み合わせが素敵で。末村笙文「器局」の前に中川哲哉「乾漆色分茶托」と富本憲吉「色絵金彩絵変り酒盃」が並んでいて、まるで器局から今それぞれ出したような感じで。初代前田竹房斎「盛物籃 木の葉」に三代山田常山常滑茶注」を載せているのも一体化して素敵。

で、広間と次の間。「東日本」。東日本の作家さん。
飯塚琅玕斎がとにかく凄い。どれもこれもとにかく素敵で。特に気に入ったのが「花籃 まがき」と「掛花生」。
そしてお子様の飯塚小玕斎の作品も良くてねえ…。親子凄い。
工芸館所蔵のものとしては、松田権六「蒔絵竹林文箱」、大場松魚「平文宝石箱」辺りの漆工も良くて、あとは個人的な好みで三代魚住為楽(安彦)「砂張鉄鉢」が!砂張好き。

次の間は「西日本」。西日本の作家さん。
早川尚古斎とか田辺竹雲斎とかが多めだけれど、好きな作品は各作家に分かれたりした。
工芸館所蔵のものだと関谷四郎「赤銅銀接合皿」とか。

次の間は「現代の竹工芸」。
…オブジェ多いなあ。これはこれで不思議さを面白がるのがいいのかな。

最後が「九州」。九州の作家さん。
生野祥雲斎多めかな。うん、素敵。
工芸館所蔵のものは、築城則子「小倉縞木綿帯 丹心」が。小倉織なんだね。江口勝美「和紙染紺絣刳り抜き飾陶箱」は、陶器の和紙染というのを使用しているのだそうで。
素敵なのは、生野祥雲斎「白竹一重切花入 くいな笛」と、桂盛行「鶉四分一打出水滴」を一緒に飾っていたところ。なんとなく鳥で繋いでいる、のかな。

目の保養展覧会だった。そして続く。