www.matsuoka-museum.jp
なかなかお目にかかれないまま、長期休館に入られていた松岡美術館。その間にSNSで発信されていて、いいコレクションだなあ…となっていた。
再開記念ということでこんにちは。
白金台にあると聞いて土地勘がないなあ、と思ったら、目黒駅から東京都庭園美術館を通り過ぎた先にあるので、そうでもなかった。
展示物、結構写真OKだったりする。NGなものにはNGのマークつき。
ただしシャッター音がNG(という美術館は初めてかもしれない)なので、ご注意。
まず、展示室に入る前に、ロビーに錚々たる彫刻の数々。こちら、常設展示。
古代彫刻(ヘレニズム~古代ローマ)と現代彫刻という、結構年代が極端な展示物。
現代彫刻は写真NG(没後から年数が経っていないせいと思われる)。
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Instagramに載せたけど、「ミネルヴァ像」が本当に美しい。紀元前100年のヘレニズム期のもの。
ローマ期の「アルテミス」も素敵。顔と両腕両足を欠損していて、胴のみなのに、とてもバランスが綺麗。
現代彫刻だと、ディエゴ・ジャコメッティ(細長い彫像で有名なアルベルト・ジャコメッティの弟さん)の「猫の給仕頭」がお洒落っぽくて素敵な猫の像。
展示室1は、「古代オリエント美術」の常設展示と、「古代ギリシア・ローマ大理石彫刻」展として胸像や頭部像など。
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常設展示はエジプトの採色木棺や、エジプトの彫像、トルコの馬頭部像。個人的には「エネヘイ像」が気になった。エジプト神官の娘さんの像だそうで。姿も美しいのだけど、彫られているヒエログリフも綺麗で。
「古代ギリシア・ローマ大理石彫刻」展の方は、「アレキサンダー大王胸像」や、「アフロディテの頭部の像」が綺麗。後者はサッフォー・タイプと呼ばれているそうで。
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この時に拝見したフレスコ画「書字板と尖筆を持つ女性」に通称で「サッフォー」となっていたのも、そういう意味なのだろうか。
展示室2は常設の現代彫刻。写真NG。
ヘンリー・ムーアとエミリオ・グレコの彫像。
ヘンリー・ムーアは曲線が非常に印象的。「馬」の目が点で可愛い。
エミリオ・グレコは「水浴の女」の腰の捻り具合が凄く綺麗。
展示室3も常設、古代東洋彫刻。
中国仏教・ガンダーラ・インド・クメール。地方によって特性が出るのが面白い。
ガンダーラの仏像は(東京国立博物館の東洋館3室で存じ上げて入るけど)、鼻筋通っていて、とても俗な言い方だけれどイケメン揃い。上述のInstagramに載せた写真もそう。
インドの仏像は女性(女神?)像も多いのだけど、女性像は胸が丸くて豊か。何を見てる、と言われそうだけど、胸の形が本当に特徴的なので。
展示室4は「館蔵 東洋陶磁名品選 松岡清次郎の志をたどる」。
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殆ど中国だけど、日本も少し、でもって朝鮮とかベトナムのも。
最初に日本のものがあったけれど、個人的に趣味が合うのは「鼠志野秋草文額皿」かな。志野焼好き。
中国は多彩。シンプルな青磁に、三彩、釉裏紅(辰砂)、澱青釉辺りは拝見したことがある。
けど、こちらの「澱青釉紅斑杯」、本当になんともいえない色をしている。曜変天目とは別の色の宇宙。小品なんだけど、凄いよ…。
あと、こちらでは「粉彩」って書かれていたけれど、琺瑯彩のことなのか。東京国立博物館の「琺瑯彩梅樹文皿」と同じ技法の、「粉彩八桃文盤」。絵付の色が本当に綺麗。
恐らく初めてなのは「法花」。妙にデコボコして(境界線を作って、釉薬が混ざらないようにしているらしい)、そして物凄い濃厚な色彩。「法花蓮池仙鶴文壺」は地の色が濃紺、花の絵が水色や白。インパクトが強い。
展示室5・6は「館蔵日本画 花鳥風月」。
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順路としては展示室6から。「第1章 四季のうつろい」。
松岡美術館の創設者は実業家の松岡清次郎なのだけど、彼が若い頃、美術品を大金払って競り落とす根津嘉一郎(根津美術館の創設者)を見て心臓を震わせていた(解説文ママ)という微笑ましいエピソードが最初に載っていたり。
まあ、そんなこと仰いながらも、いきなり横山大観「梅花」、下村観山「山寺の春」、今尾景年「隅田川桜花図」といきなり錚々たる絵が並んでいるわけだが。大観は景年は個人的に向き不向きがあるけど、これは好きな絵…。
更に続くのが渡辺省亭「藤花游鯉之図」が続くという豪華さ。眼福が過ぎるでしょう…。
写真OKなものがあると仰られても、きっと拝見したいものはNGでございましょう...えっ推しOKなんですかはわわわわ、の太っ腹な松岡美術館でした。
— さんざめ (@sanzame0321) 2022年1月31日
錚々たる顔ぶれでしたとも。#松美の真髄 pic.twitter.com/IkJCGxLE2j
これから数点先に、同じく渡辺省亭「青梅に雀の図」があるし。で、これら全て、写真OK…。い、いいんですか?
小林古径「朝顔」も古径らしいきっちりとした絵だったなあ。
写真NGだったうちでは、青木大乗「松魚」で描かれたカツオがとても綺麗だったとか、山口蓬春「夏果図」の西瓜の緑の皮の色がとても鮮やかだなあ、とか。
5室に移動すると、「東叡帖」の竹内栖鳳「海幸」が非常に描写が細やか、下村観山「杉と栗鼠」の観山らしい自然の描写と細かい栗鼠の毛描き、横山大観「木菟」の簡素な画面に存在感のある木菟、東山魁夷「秋峡」の朦朧体で描かれた鮮やかな紅葉、奥村土牛「孤猿」の独特な水の描き方、青木大乗「静物」はまるで油絵のようにはっきり果物が描かれている。どれもこれも凄いなあ…。
あと、今回おっとなったのが池上秀畝「巨浪群鵜図」。荒木十畝の門人。とにかく波の細かさと迫力と。
「第2章 季節の愉しみ」。
季節を愉しんでいる人物画…というか美人画でしょう。
だって、 鏑木清方「春の海」「菖蒲湯」「蛍」に伊藤小坡「蛍」だもの。
…いやあ、美しい…。目の保養。写真はNGだけれど。
「第3章 月光の下」。
こちらにも伊藤小坡「秋の夕」が美しい。
そしてあと2点は酒井抱一。…あの、長期休館からの再開第一弾だからって、気合い入りまくってないですかね…。「月兎」は素敵な兎と月と薄の風情、「三笠山」は鹿が可愛い…。
というわけで、ミュージアムショップでポストカードを買い漁る書き手。
実は入館時にアンケートの協力をお願いされて、快く答えたら、ショップのポストカード1枚の引換券を頂いていて、ありがたかった(勿論1枚ではきかない)。
「館蔵日本画 花鳥風月」は前後期制で、今回リピート割チケットも頂いているので、都合つけて伺おうかと画策している。