時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

【特別展】 世界遺産登録10周年記念 富士と桜―北斎の富士から土牛の桜まで―@山種美術館

本題に入る前に。
morina0321-2.hatenablog.com
こちらの後期展示も伺っている。料紙で眼福(前期とほぼ変わらない感想なので、まとめてしまった…)


というわけで本題。
www.yamatane-museum.jp

最近はほぼ展覧会開始すると伺っている気がする…(まあ、訪問しやすい場所ではあるのだけれど)。


第1章「富士山を描く」。
最初に横山大観心神」。この富士山はとても格好いい…というか、富士山テーマなんだから大観が多いことぐらい予想しておけ書き手、と思った。
なんだかこの日はずっと同じテーマが続いているような形に。まあ、構わないけれど。


写真撮影がOKなのも大観「富士山」だしね…。いや、いいんだけども。
葛飾北斎歌川広重の展示も多め。
松尾敏男「湧雲富士」の金地に白い富士が素敵。
平福百穂「富士と筑波」は、富士が白一色で立派な感じなんだけど、小ぶりだけど複雑な稜線が描かれている筑波山の趣が良かったり。
割とこう、落ち着いて拝見していたら、ん!?となる絵が。
夜の不穏な雲の中に聳える、赤くシャープな山「赤富士」。
荒れる大気と雲と波立つ湖面の後ろに聳える「霽るる」。
日本画らしくない2点は川崎春彦。川崎小虎の息子、ということは義兄に東山魁夷インパクトが強くて格好いい2点。
で、その次に正統派の野口小蘋「箱根真景図」があって、展示順面白いなあ、と思っていたら、山元春挙「裾野の春」があって(何度も拝見しているけれど)不意打ちを喰らったり。
続く橋本関雪「夏日富嶽」は青い山肌なんだけど、実はとても色々な色が混ざっていて。
で、逆の壁には奥村土牛の描いた富士山が4作品。個人的には「山なみ」があたたかい感じの黄色で素敵だなあと。


第2章「桜を描く」。
ええと、トップに渡辺省亭「桜に雀」を持ってくるのは、書き手的に(何度も拝見しているけれど)ドツボすぎる。ありがたい…。
更に逆側は「桜の下の人々」が続く。
狩野常信「明皇花陣図」は初めてかな。古代中国の美女の花見。美しい…。
これに桜の下の鎧が華やかな武士を描く橋本雅邦「児島高徳」、渡辺省亭「御殿山観花図」・菱田春草「桜下美人図」・上村松園「桜可里」・松岡映丘「春光春衣」と続くんだが…何度も拝見しているとはいえ、書き手がドツボの美しい絵を並べてくるか…!眼福過ぎる…!
東山魁夷「春静」があるのも嬉しい。


で、第2展示室は第2章のうちの「夜桜」題材特集。
加山又造「夜桜」は初めてだったかなあ。相変わらず独特で、霞む月が格好いい。
で、速水御舟「春の宵」、稗田一穂「惜春」、千住博「夜桜」もとても素敵なんだけど、更に石田武「春宵」まであるので…なんとも豪華な夜桜…。
桜特集の時は石田武は展示されててほしい。うん。


これだけ拝見しているはずなのに、まだ初めて拝見する絵が出てくるのだからねえ…。
眼福。


さて、恒例のお楽しみ。


ミュージアムカフェ・Cafe椿の展覧会限定和菓子、千住博「夜桜」モティーフの「春の宵」。
正直、写真よりも実物の方が美しいように思う。上の透明の部分に浮かぶ桜の美しさよ…。
なお、割と固くて切るのに苦労したりする。