時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

生誕150年 山元春挙@滋賀県立美術館

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というわけで後期展示。
今回の旅行の目的は推しの家(別宅)と推しの展覧会。
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前回は大雨だったけれど、今回もぽつぽつ振ってきたので、どうもそういう巡り合わせの展覧会みたい。「あの」水が呼ぶのかね…。


少々混んでた。
どうやらこの日、解説イベントがあった模様(だから前のイベントも少し混んでたんだな…)。
そんなの全く関係なしに好きに拝見していた。


展示。

最初に第1章「画業の始まり」で驚いたのは「深山雪霽鹿図」。
パノラマの山の景色に、小さく鹿が一匹。…え?春挙、初期から素敵な絵描かれていらっしゃるじゃないか…!
初期は水墨画が多めではあるんだけど、山の美しさが春挙のその後の片鱗を見せる形で。
これを後期にとっておいたのずるい…。
寒山帰牧」もとても空間の描き方が綺麗だった。
以前、名都美術館で拝見した「西王母之図」にも再会。大変美しい美人画
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でもって「黄初平叱石図」、ってちょっと前にその題材の話したぞ?
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春挙の描く黄初平は、割と端正な青年な感じ。

第2章「画壇の中心へ」は、大きな絵が多いこともあって絵は少なめだったけれど、霞がかった画面の「冬の夕」、滝の景色も遠景の山(恐らく富士)の姿も美しい「初夏白糸の滝図」はとても美しかった。
「梅竹図」の竹も美しい。

で、第3章「帝室技芸員として」。
「武陵桃源図」「四海青波図」「朝凪之図」「しぐれ来る瀞峡」
…水が…水が美しい…沈みたい…(やめろ)これ後期こないとだめなやつだった…。
山は、「富士二題」「渓山深秋図」が素敵。後者は紅葉の頃で鮮やか。
「不老長春図」は春挙が好きな薔薇の絵。いくつか拝見した中で、一番「凛々しい」描き方だったかも。
「捨骼拾髄」は人物画というか仏教画。寒い雪の舞う日に仏像を火にくべて暖をとる、つまりは偶像崇拝否定の絵ではあるのだけど(丹霞禅師の法話。春挙は禅宗に造詣が深い)、仏像を火にくべている人物(丹霞禅師)の微笑みの具合がなんだか素敵で。
でもって「馬図」。これは掛け軸で、ささっと描いてるであろう馬の斜め後ろからの姿、というのも愛らしくて素敵なのだが、フランス語で賛が入っている。
賛を入れたのは、ポール・クローデル。駐日フランス大使。劇作家・詩人としても有名。でもって…美術界だと彫刻家のカミーユ・クローデルの弟さん、というのが通りがいいのかもしれない。ここ、凄い繋がりだな…。
駐日フランス大使時代、ジャポニズムに理解があって(これもお姉さん影響らしい)春挙と縁があったそうで。
蘆花浅水荘にも訪問していて、実はその時の写真が蘆花浅水荘に残ってるんだよね。その辺の突っ込んだ話もしてほしかったなあと思わんでもない(ぼそ)

楽しかったです。
図録をがっつり買うレベルで楽しかったです…推しの図録だから仕方ないね…!
で、実はなんとなく感じていたのだが。春挙の「山の中で大きな木に雪の降りしきる絵」の展示がなかった。名都美術館で結構な点数を拝見したのを覚えていて、今回それが出ていないのに薄々気づいていた。
図録で確認したら、今回の展示一覧に欠番がいくつかあって、そのうちのいくつかがそのテーマの絵だった。
こちら、笠岡と富山に巡回するそうなので、そこで出るかも。
特に富山開催は富山県水墨美術館での展示で、このテーマは水墨に近い色といえばそうなので。懐かしいなあ、富山県水墨美術館…。
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個人的には、こちらを頂けなかったのが残念(もうショップに売ってなかったよ…)。

さて。
展示室1も展示が変わっていた。
小倉遊亀コーナーでは、宗教画と静物画に変わっていた。
書き手は割と小倉遊亀静物画は嫌いじゃない。「古陶磁と青柿・白桃・マンゴーなど」は白桃とマンゴーの色がとても綺麗。
一方、「名品選Ⅳ」は、菱田春草「落葉」が大変良い雰囲気で。春草はいいね…。森寛斎(師匠だからこその展示かなあ)「春秋花鳥図」もとても美しいこと。
更に、森口華弘「創流」。森口華弘、守山の出身でいらしたのか…。とてもモダンで格好いい着物…。滋賀は…ずるいね…(え)


この日はここまで。目の保養…。