時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

久々に来訪。常設展ぐるり。


が、いきなりちょっとした問題発生。
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こちら、本館特別5室開催。で、入口・出口が丁度本館1階の階段両脇でして。
…そこから繋がる地下への階段が使えない=1階階段両脇のロッカーと、地下のトイレと自動販売機が使えない…。
とりあえず、ロッカーが使えない=上着が脱げないのが死活問題だったので(東京国立博物館の室内は暑い…)、平成館のロッカーへ移動。


で、そのまま平成館の企画展示室へ。
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前回は前期だったけれど、ぎりぎり後期の展示が拝見できたのは良かったように思う。衣服の展示が全く変わっていたし。
「黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様紅型袷衣装」の蝙蝠の図柄が、非常にゆるくて可愛らしかった。

でもって考古展示室。縄文時代から弥生時代の展示替えがあった。
この時代は造形が面白いものが多いのだけど。

これが弥生時代の普通の土器に混ざってると、うひゃっとなるわけで。茨城で出土した顔面付壺形土器とのこと。


本館へ戻り、とりあえず平成館からの通路に一番近い18室「近代の美術」。
日本画は、梶田半古「春宵怨」がとても目を惹く。美しい女性のこの表情は…愁いなのかねえ…。
野口小蘋の「春秋山水」は屏風だけど、よくよく拝見すると、非常に描写が緻密。
彫刻は佐藤朝山が。「シャクンタラ姫とドウシャンタ王」が大型彫刻だったのだけど、個人的には「婆羅門僧像」が好きだなあ。
工芸は並河靖之が出ていたので(何度も拝見しているけれど)じっくりと。
西洋画は五姓田芳柳「勿来関」の描き方が好きだなあとか、曾山幸彦「試鵠」の武者がとても素敵に描かれているなあ、とか。曾山幸彦は存じ上げなかったんだけれど、早逝されていて作品数が少ないのか…。

2階に上がって1室。
「仏教の興隆」で、柔和な顔の「如来立像」に和む。

3室は「仏教の美術」が宝塔特集だったり、後は諸々の紙を拝見して愛でたり、だったんだが。
「禅と水墨画」の宗遠応世「白衣観音図」はいいな、と。書き手が白衣観音図が好きなのもあるとは思うけど。

7室「屏風と襖絵」。
岸駒「虎に波図屏風」、呉春「鶴図屏風」、円山応挙「秋冬山水図屏風」。
…は?円山派と四条派と岸派の祖が並び立ってる、と…?(参考:過去の展覧会記事)
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全部写真OK。
こう…東京国立博物館は時々凄いサービスしてくるなあ、と思うことがある…。
「虎に波図屏風」は描き込みも凄い&ダイナミックで(でも虎自体は可愛い)、「鶴図屏風」はとても簡素で余白もたっぷりで、「秋冬山水図屏風」は繊細さも余白の美しさもあり。いや、眼福…。

8室。
「書画の展開」は7室と関連して応挙関連。
応挙自身の作品だと「四季遊楽図巻画稿」。
画稿=下書きなので墨一色。群像図なんだけど…
よくよく拝見すると、群像それぞれの表情が凄く生き生きしていて驚く。
簡素な描き方なのに。昭和前期の漫画みたいな感じなの。
一方、「虎嘯生風図」は…これは虎というより…猫がモデルだったのだろうなあ、という。
でもって、弟子の絵も出ていて。源琦「潘妃図」は清楚な美人画でいいなあ、と思ったら、
その横に、色香漂う美人画があってね。
長沢芦雪「呉美人図」。…芦雪ってこんな素敵な美人画も描けるのか…。

そしてそれとは関係なく岡本豊彦「孔雀図」を載せたりして。
岡本豊彦は呉春の弟子。

10室。
「江戸(衣装)」は春らしい色の衣装がずらり。
文字を入れているものもあるのだけど、他の模様が目立って文字が全然目立たなくて、個人的にはそちらの方が好み。
「江戸(浮世絵)」は歌川広重が多くて嬉しい…。季節柄、花見の絵が多い。浮世絵じゃなくて肉筆の「東都御殿山図」もあったよ。
葛飾北斎「八重桜に流水」は他の浮世絵の画法と一線を画していて、こういうところが北斎凄いなあ、と思う。
北斎と広重と渓斎英泉の御殿山の花見の絵が並んでいるのも面白い。
歌川豊春の肉筆画「桜下遊女立姿図」「稲荷詣図」も綺麗だなあ…。

特別1室・2室「全巻修理完了記念 日本最古の医学書・国宝「医心方」の世界」。
書なので展示のビジュアルとしては地味だと思うけど、平安時代に成立した医学書の「医心方」、全30巻というのがもう凄い。それだけその時代から無数の病気が知られていて、その対処法が書かれていた、ということだよね。
飲食部=安全な食物(汚染されてないかとか)の部とか、証類部=食べ物の効能が書かれている部なんかもある。
貴重な本なので、江戸時代に幕府で写本が作られたり、そのための借用書とか返却の催促の手紙なんかも展示されてる。面白いなあ…。


1階に降りて11室「彫刻」。
特別展と関連している仏像がいくつか展示されていた。その辺りは写真NG。
で、写真OKだったので。

もうニルヴァーナか!(やめれ)(「釈迦涅槃像」)

12室「漆工」。
「千鳥蒔絵手箱」の文様的な千鳥が非常に素敵。
後は時期なので、桜モティーフの作品が沢山。しかもどれも美しい…。眼福。

13室。
「金工」は水注・水滴・釘隠・引手がずらり。釘隠・引手の展示は前も拝見したけれど、本当に綺麗。
「刀剣」はいつもの通り刀装具を。この時期はいつも並ぶ「桜花文鐔」。「草花文鐔」も可愛い。
「陶磁」は見たことがないものがなかったかも。眼福だけれど。

14室。
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恒例のひな祭り企画「おひなさまと日本の人形」。
紫檀象牙細工蒔絵雛道具」という、豪華な素材で緻密に作られてる雛道具がもう…凄いなあ…。
古い時代の雛人形の原型や、賀茂人形や御所人形の雛まで。楽しい。

16室。
アイヌ」は基本見ているのが楽しいのだけど、
今回はマキリ(小刀)についてる魚形の飾りとか、「鰈形垂飾具」とか、
何故か魚型の可愛いものがいくつか。
琉球」の衣装は紅型「浅葱地竹桜紅葉毬模様」。
浅葱地なので落ち着いた地の色に、紅も使っているけれどそこまで目立つ感じでない模様。
珍しく地味目だけれど、かえって可愛らしい。


次は法隆寺宝物館にちょこっと。6室の「染織」。
今回は文様があるような布の展示ではなかったけれど、「広東綾幡残欠」は布の端だけ残ってるけれど、形が綺麗な感じで残ってしまったという。面白いなあ。


次は東洋館…に行く前に、平成館のドリンクコーナーで休憩。
で。
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平成館は以前伺った「ポンペイ」展が開催中なのだが、平成館のドリンクコーナーの隅に関連展示。
ポンペイ展では銅製品が結構出ているので、それの関連として、協賛している住友金属鉱山が、愛媛の別子銅山関連の展示を。
別子銅山住友グループの礎なのは聞いたことがあるなあ。泉屋博古館分館だったかも。
別子銅山で算出した硫化鉄鉱(含銅)と、棹銅のレプリカ。


改めて東洋館。ちなみに地下は4月まで展示替えで閉室中。
8室も展示替えしていて拝見したのだけれど、個人的にいまいちハマらず。
3室へ。
「エジプト・西アジアの美術」では、今回は割と像の類を見ていたような。
で、「西域の美術」で。

「孔雀模様装飾断片」を拝見していたり。孔雀モノをいちいち撮る書き手。でもこちら、結構好き。


本日はここまで。次は特別展の時期かなあ。