時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

緊急事態宣言が明けたので、巡回したい…!という欲に駆られて。他の伺いたい展覧会は実は始まってるんだけど、地理的に土日行きづらいんだよね…。

で、午前中に伺ったんだけど、上野恩賜公園が妙に空いている感じだった。快適…気持ちいい…。
午後には普通の土日の人出だったけど。


本日は常設展のみ。
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こちらで予約してなかったので行かず(というか、こちらが別料金であることすら調べてなかった)。割と混んでいたっぽいので、伺いたい方は時間に余裕をもって。
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こちらも立ち寄らず。双方とも本館1階開催だったけど、ちょっと混みあってたっぽかったし。


まずは本館の雑感。

相変わらず紙モノは好きで、1室の「色紙金光明最勝王経断簡」、3室「文殊師利仏土厳浄経 巻上」「紫紙金字大方広仏華厳経 巻第八」、「後撰和歌集切」に伝・花園天皇の「色紙」とか、その辺で楽しんでいる。

4室「茶の美術」に出ていた「灰被天目」と高取の「黄釉茶碗」が綺麗だったなあ…。

5室・6室の「武士の装い」にあった、子供用の衣装がとても可愛らしい。裃に熨斗目に陣羽織。お祝いの席で着る正装なんだろうけど、小さいものは可愛いよね…。

7室「屏風と襖絵」、岡本秋暉「花鳥図屏風」の花が美しい。そうか、荒木寛畝の師匠…というか影響を与えている方なのか。今回の絵には描いていなかったけれど、孔雀で有名なのだそうで。孔雀…(別趣味の反応するな)。

8室「書画の展開」。
「書」は今回お坊さんの書という特集だったのだが…ゆるーい絵が1つ。これは、と解説を見たら、やっぱりそうだよ仙厓義梵「自画賛」。
morina0321-2.hatenablog.com
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写真NGだったのが残念。このゆるさは是非現地で…。
かと思えば、「画」の方でも尾形光琳「李広射石図」が凄くゆるい…。

今回はこういう絵ばかりなのか、ということでもなく、7室…というよりは実は全体で「動物」をテーマにしているせいか、円山応挙「写生帖(丁帖)」と狩野探幽「飛禽走獣図巻 飛禽巻」で鳥づくし。

こちらは狩野探幽「飛禽走獣図巻 飛禽巻」の一部。撮影対象は作為的だけど(あ)狩野探幽のざっとした描き方は全般的に結構好き。
あと、狩野探幽は「士農工商図屏風」も出ていたけれど、どちらも余白の使い方が上手い気がする。

10室。「浮世絵」は渓斎英泉と歌川広重の合作「木曾街道六十九次之内」特集。
…ただ、個人的に歌川広重好きなんだけど、このシリーズいまいちぴんとこない…。好きなのも「下諏訪」や「贄川」みたいな、普段好みの広重絵とは違う、群像を描いているものだったりするし。


12室「漆工」。
たまに発生する南蛮モノ特集が組まれていた。「桔梗蒔絵螺鈿聖龕」の引戸の蒔絵が綺麗…。
それとは別の「山水蒔絵十種香箱」の花の形の香札とか、香合が可愛らしかった。

13室。「陶磁」は黒楽茶碗が多数出ていたので楽しむ。

16室。
アイヌ展示は機織りの道具と、狩猟や漁業で使用する道具が。仕掛け弓(動物が通ると自動的に矢が放たれる仕掛け)とか、普通の矢筒にイクパスイがついているとか、鹿笛とか。
琉球展示は紅型が目に眩しくていい感じ。

18室。拝見したことがある作品が多かったように思うが、中沢弘光「霧(裸婦)」はとても美しかった。中沢弘光の光の表現が書き手にツボ。


本館だけでかなりヘロヘロになっているが、キッチンカーでお昼ご飯(釜揚げしらす丼)を食べて、法隆寺宝物館へ。
気になったのは4室の「石名取玉」「火取水取玉」。水晶の飾り…?と思ったら、元々は聖徳太子の使ってたおもちゃだという話があるそうで…。
調査が進んで、「火取水取玉」は装身具っぽくて、「石名取玉」は双六みたいなゲームで使ったのではないか、って言われてるらしいけど。


さて、平成館へ。
余談だけれど、平成館は1階にラウンジがあって、特別展があると和菓子販売があったり、
特別展がなくても自動販売機でお茶が飲めたりする、のだが。
この日は何やらイベントが予定されていたようで、自動販売機の販売停止…。
仕方なく外の自動販売機でお茶を購入して飲んでから、再参上。


まずは企画展示室。

「親と子のギャラリー 動物のうごき」。
親子企画ではある…んだけど。東京国立博物館のこの手の企画は妙にレベルが高い。
明珍清春「自在鷹置物」に始まり*1、木の肌を生かした地に白い菊と鶴の群れを描いた品の良い「鶴菊花彩絵文台硯箱」、デザインチックで格好いい彫金作品・増田三男「金彩銀壺「山背」」、ざっと描いているのに非常にゆるくて愛らしい月岡芳年「猫図」、この時代でどうしてこんな先進的なデザインできるんだろうと感心する葛飾北斎「飛鷹」、1つ1つはリアルだけれど全体で見るととても赤が映えて素敵な長谷川雪丹「金魚図扇面」、鯉もリアルだけど銅の鋳造でどうやってこんな水飛沫の表現作るのだろう、という大島如雲「鯉置物」、とても可愛らしい「白玉兎香合」に鹿や犬の水滴…。
お子様の心だけじゃないよなあ、ここで掴めるの…。
そうそう、仁阿弥道八「三彩狸置物」もあったんだけど、実は本館13室「陶磁」には
同じく道八の「色絵狸炉蓋」もあって、比較できる一品だったりするし。
とどめに歌川国芳「流行蛸の遊び」。群衆絵、ただし蛸。なんともユーモラスでキモカワイイというか。
同じく鳥が歌舞伎を演じている「鳥遊」も出ていた

孔雀を撮影する作為的な書き手。

でもって考古展示室はゆるりと。
ただ、ガラス椀がいくつかあったのが気になった。これ、シルクロード通って渡ってきたんだよね…。そういうものに。


ヘロヘロになりながら東洋館へ。
ところがここでショックな出来事が。書き手の大好きな地下展示が全閉鎖…。
理由は7月から始まるこちらの展示準備。
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この展示自体はとても楽しみなんだが…。


悲しみながらも5階から。
10室。
「朝鮮の陶磁」が良かった。日本に渡ってきた高麗茶碗の特集が。箱まで飾ってあって。好み。
気になったのは「朝鮮の王たちの興亡」で出されていた不思議な形の金具「寄生」。馬具の1つで、馬に旗竿を装着させるための道具だそうで(朝鮮だけじゃなくて中国や日本でもそう言うらしい)。

9室。
「清時代の工芸」にあった「佩墜」は初めて見たかも。いかにも中国っぽい色とりどりの玉の彫刻が繋がったアクセサリー。

5室。
書き手大好き「中国の染織」は名物裂。こちらの解説をどうぞ。

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この日はここまで。
キッチンカーで購入したかき氷ドリンク(アップル味)を頂いて終了。
はー歩いた…。


最後に館内のお花でも。

本館入り口左側にあるタイサンボク。花の形で検討つくけどモクレン科。花が大きいので目立つ。

東京国立博物館どころか上野恩賜公園にも沢山あって、随所で芳香を放っているクチナシ。すぐ枯れたようになってしまうんだけど、これは美しく花が残っていた。

*1:ちなみに本館13室「金工」は自在置物特集で、この企画が終わった後、13室に展示される模様