時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

円山応挙から近代京都画壇へ@東京藝術大学美術館

www.geidai.ac.jp
展覧会特設サイトは、京都の展覧会終わったらなくなっちゃうかもしれないが。→やはりなくなっていたのでリンク削除。

上野動物園国立科学博物館はお子様連れの方々が。
西洋国立博物館も何やら混雑が見える(松方コレクションが盛況で何より。前週金曜はこちらも人が少なかったよ…)、そんな上野。
人がそこまでいないわけではないけれど、そんなにぎっしりではないこちらにこんにちは。
円山応挙だけなら行ったかどうか…だったが、作品リスト見て、これ行かなきゃ、となり。

展覧会入場時に、リピート割引券を頂く。助かる…。なんせ、この展覧会、前期後期の入れ替えがかなりあって。今回は前期。後期も行きたい…。

以下は前期の構成より。

まずは「すべては応挙にはじまる。」の章。
弟子が描いた(中で本人が一番似てるとしたらしい)「円山応挙像」と「写生図巻(乙巻)」。「写生図巻(乙巻)」の筍が妙に綺麗。
それが終わったら、いきなり屏風がどどんどんと。
今回、兵庫の大乗寺(別名:応挙寺)の屏風をお借りしていて、それがメインなのかな。大乗寺の屏風は応挙とその弟子と、お友達の呉春が描いてる。呉春は元々与謝蕪村の弟子で、蕪村が亡くなった後に応挙に弟子入りしようとしたら、呉春の才能が素晴らしくて「弟子なんてとんでもない、友として一緒に学びましょう」となったそうで。これが元になって、円山応挙の弟子の「円山派」と呉春の弟子の「四条派」と、京都の画壇の流派が2つできることに。円山派は写生主義、四条派は蕪村からの流れの南画に写生が加わった形、になるのだそうな。
とはいえどちらも応挙に影響受けてるから、纏められることも多いのだが。
で、大乗寺以外の屏風も。応挙の弟子の一人、長沢芦雪「孔雀図」「花鳥図」は個人的に結構好き。芦雪は先日「新美の巨人たち」でも特集されてたっけ。
www.tv-tokyo.co.jp
まあ、芦雪は割と書き手のアンテナに引っかかる画家なのかもしれないけれど。
morina0321-2.hatenablog.com
で、「花鳥図」を所有しているのは千總という京友禅の老舗。
www.chiso.co.jp
本社のある場所は(三条通り散歩してると出くわすので)分かるのだが、ここは結構色々お持ちでいらっしゃるようで。前述の応挙の「写生図巻」もここが所有している。
で、この章は、これが近代京都画壇に繋がるよ!ということで、最後に上村松園「羅浮仙女図」と山元春挙「しぐれ来る瀞峡」を並べて展示。…ちょっと待て、この並びは書き手へのサービスなの…?(あ)一番の目当てを並べてくれるとは思っていなかったよ…。眼福。ちなみに展示会では春挙は円山派、松園は四条派の流れだったけれど、それぞれ師匠を変えたり、師匠自体がどっちの派の師匠にも学んでたり、師匠が独立した派と言われてたりするので、正直分けようがないのでは…とうぃきると思う。

次の章は「孔雀、虎、犬。命を描く。」所謂、生物中心絵画。
まず、岸竹堂「猛虎図」。展覧会の特設サイトのみどころにもある。屏風なんだが、虎がとにかく恰好いい。岸竹堂は岸派という、虎とか鳥獣とかに強い伝統がある一派(岸派の祖の岸駒が応挙の弟子だった時代があるので、一応応挙に連ねる)。近代の画家で恰好いい虎、というと別の画家が頭に浮かんだのだが、その連想はあながち間違っていなかったのを後で知ることに。ちなみに「猛虎図」の所有は千總なのだが、岸竹堂は千總の京友禅の下絵を描いていたこともあったそうで、かなり親しい関係でもあるんだね。
で。ここで言及しなければいけないのが、展覧会の特設サイトのみどころにもある竹内栖鳳「春暖」。犬の絵。前も下記で別の犬の絵を拝見したけど、本当に犬可愛いな!可愛すぎる!
morina0321-2.hatenablog.com
で、芦雪「薔薇蝶狗子図」と並んでるんだけど、芦雪の犬はちょっと簡素化されているというか、ともすればデザインとかアニメとかに近いものがあるのかも。江戸時代の画家なのに(まあ、琳派もデザインに繋がるって言われてるけども)。でもなんか、生き生きしててどうにも愛らしい。で、それを見守っているような薔薇と、そこに留まる蝶の絵が、とても美しい…。「春暖」「薔薇蝶狗子図」共にポストカード購入。惜しむらくは、応挙「狗子図」だけ何故後期展示で一緒に並べてくれないのか、というところか(あ)同時に並べた方がいいような気もするけどねえ…。
芦雪の犬は色々グッズにもなってて、今回の図録を入れるトートバッグにもなっていた。これがまた可愛いんだ。応挙メインの図録でトートバッグ芦雪でいいのかは別としても(あ)応挙の犬も別のグッズになってるけどね。

次の章は「山、川、滝。自然を写す。」山水画
応挙「春秋瀑布図」が最初に。これもなかなか品がいい感じの滝だなあ。
個人的におおおおお、だったのは、木島櫻谷「山水図」。屏風の大作。ダイナミックに描いていて、それでとても静かな山水。これも千總所有なのか…凄いなあ…。木島櫻谷は後期にも別の絵が出るので楽しみ。
野村文挙「近江八景図」も嫌いじゃないなあ、と思ってたら、山元春挙の師匠だった!(あ)
この章の最後に川合玉堂「鵜飼」が出てる。光の部分を蒔絵みたいに表現してて格好いいよ。

最後の章は「美人、仙人。物語を紡ぐ。」人物画。
ごめん、美人画につい目が行ってしまうのは書き手の趣味だ(あ)
展覧会の特設サイトのみどころにもある応挙「江口君図」、なかなか上品で良い。象に乗ってるのは普賢菩薩の化身だから、という解説が絵の横にあったが、大元は能の「江口」なんだね。下記のサイトが詳しい。この辺は教養が必要だなあ…。
www.osaka21.or.jp
何故か東京でしか出ない絵。静嘉堂文庫美術館所有なので、東京の展覧会で見る人の方が目にしやすそうだが…。
で、実は芦雪「大原女図」のポストカードを購入した。なんかね…表情がいいというか、目がいいというか。あと、頭に担いでる薪の中に混じってる楓の枝の葉が綺麗で。
もう一つ触れたいのが岸竹堂「太夫図」。所有は「公益財団法人 角屋保存会」。「角屋もてなしの文化美術館」を運営している財団法人。
sumiyaho.sakura.ne.jp
元々は岸竹堂自体が所有していたんだけど、亡くなった後、弟子が「これはここにあった方がいい」と角屋に寄贈したのだそうで。その弟子の名前が西村五雲。うわー、やっぱりお弟子さんだったか!「猛虎図」見た時に浮かんだ画家の名前が西村五雲だったんだよ。西村五雲自体は岸竹堂が亡くなった後に、竹内栖鳳に師事してるみたいだけど。

一番最後に、大乗寺VRが観られるようになっていたが、どうなんだろうね。ちょっと時間がなくてパスしてしまったが。

たぶん後期も行くよ。松園と春挙も別の絵が出るしね。