時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

京都旅行1・開館記念 福美コレクション展@福田美術館

奈良からJR奈良線で(途中大好きな宇治川を車窓から眺めながら)京都駅へ。駅のロッカーがかなり空いていて、オフシーズンであることを実感する(本当にハイシーズンだと空きがないもの)。
そして更にJR嵯峨野線山陰本線)に乗って、嵯峨嵐山駅へ。京都駅から電車で行くには、これが一番安いルートかな(嵐電や阪急は乗り換えないといけないからね…)。

嵯峨嵐山駅からゆっくり散歩して、渡月橋の方へ。渡月橋は渡らず、桂川に沿って少し行ったところに、新しい建物。

2019年10月にオープンしたばかりの福田美術館。特に明治以降のコレクションが明らかに好みそうだったので、来たかった。

この美術館の何が凄いって、殆どの作品が写真OKだということ。SNS載せてもいいらしい。このラインアップで写真OKとは…太っ腹な…。
1年間入館自由になる友の会が4000円(1展覧会の入場料が1300円なので、4回入ると元が取れる)なので、ここが近所にあったら絶対友の会に入ってると思う。

作品は箇条書きで記載していくことにする。

  • いきなりギャラリー1の入り口から上村松園とは飛ばしているなあ、と。「和楽之図」は子供の仕草も着物もなんとも可愛らしい。「人形遣之図」は、操られる人形すら艶めかしい。
  • 速水御舟「春眠」。眠る猫の毛並みが凄い…!
  • 横山大観「富士図」。個人的には好みの大観ビビット富士。
  • 西村五雲「明けやすき頃」。五雲にしてはイタチの毛並みがちょっと雑な気もする…。けど、描かれている茄子の艶やかさが好き。
  • 木島櫻谷「駅路之春」。何十年も行方不明だった絵が発見されてコレクション入りしたというドラマもあるため、展示会のポスターにもなっている作品。桜の木に咲いている桜を描くことなく、桜の花びらが舞い散る姿で、満開の桜を想起させる図法。存在感のある桜の木の幹と、枝垂れる枝(花はついていない)。地味だけど丹念に描かれている菜の花と菫(と思われる青い野の花)。櫻谷らしい優し気な馬の目、人の顔(櫻谷の人物画はなんでこんなに優し気な顔になるのだろう)。深く笠をかぶり顔は見えないけれど、いかにも高貴そうな女性の着物の鮮やかさ。密かに地面で寝ている犬の毛並み。凄い、見どころが随所にある絵だ。
  • 竹久夢二がいくつか出ていたが、「紅衣扇舞」が一番好きかな。
  • ここから2階のギャラリー2。狩野探幽雲龍図」。ちょっと愛嬌のある龍。
  • 円山応挙「巣父許由図」。牛が可愛い。
  • 長沢芦雪「海老図」。やけにリアルな巨大海老。そして妙に可愛らしい小海老。芦雪は時々ユニークすぎる。
  • 岸駒「福禄寿図」鹿の毛の具合とか鶴の羽とか綺麗。
  • 葛飾北斎「大天狗図」。解説に「アメコミヒーロー」と書かれる。いや本当にこれはアメコミだわ…。江戸時代の絵でこんなのありなのね…。北斎の表現の幅はどうなってるのだ。
  • 鳥文斎栄之「蛍狩美人図」。肉筆画の美人画。所謂「紅嫌い」なのだけど、それが却って気品がある感じでいいぞ。
  • 窪俊満「花魁と禿図」。こちらも肉筆画の美人画。窪俊満も「紅嫌い」が多いらしいのだが、この作品は紅も使っている。内の着物が赤で外に黒を着てるので恰好いい。
  • ここからは「パノラマギャラリー」。洋画部屋。ローランサン「二人の若い娘」「三人の女」がいかにもローランサン
  • モネ「プールヴィルの崖、朝」。靄を描こうとしていた時期ですな。
  • ピサロ「エラニーの積み藁と農婦」個人的に大喜び。いいなー。好きだなー。

ミュージアムショップはまだ品揃えが少な目、というか、ショップ自体が小さ目かな。
ミュージアムカフェはちょっと混雑してそうだったので行けず。
どちらかというと小さな美術館だけど、新しいだけに工夫は随所に。ガラスだけど模様(網代文様だそうな)を入れて、完全に光は入ってこないけど隙間から景色が見えるようになっていたり。

写真で撮るとこんな感じ。(恐らくカフェからはもう少し綺麗に見える)模様の間から覗く美術館の庭にある「水盤」と、桂川

ただ。この美術館の欠点は、ロッカーが少なすぎる。大きな荷物はまず持ってくるな、なんだろうけど、冬のコートを預けられないまま鑑賞するのは、結構暑くて辛い。
あと、トイレの個数が少な目なのも気がかり。そこまで大勢が詰めかけないという見込みなのか。でも京都だしなあ…。

とはいえ、なかなか満足して終了。
嵯峨嵐山駅へ戻りながら、途中で中村屋のコロッケを買い食いしつつ。味?コロッケが不味いわけがないじゃないか(え)

続く。