時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

京都旅行2・京都国立博物館その他

嵯峨嵐山駅から京都駅まで戻ってきた。
ここから目的地まで徒歩20分程度、散歩がてら。天気のいい冬は散歩に良い。
いや、最寄り駅が京阪本線七条駅なのは存じ上げているのだが、いくつも電車を乗り継いで行くのもねえ…。京都のバスは好きではないし。

高倉塩小路交差点の一角にに展示されている碇組の船鉾とか、七条河原町交差点付近に点在するレトロ建物とか、高瀬川の畔で実っていた柑橘と南天の鮮やかさとか、鴨川の広さと川の中州に留まる鷺とか。
興味深く見て歩いていたら…七条駅付近で力尽きる。
というわけでお昼御飯、たまたま目に入ったお店。
cafebar-vippa.com
たどり着いたのがランチタイムだったので、キーマカレーを頂いた。それも美味しかったけれど、後で調べたら和菓子カフェ&バーとか。お店の見た目が海外風お洒落バーなので、和菓子とか全然思いつきもしない感じだった。
ランチタイムはカレーだけだったと思うので、今度は別の時間に行きたいなあ。七条駅付近はなかなか伺う機会がないのだが。

休息してもう少し歩いたところが目的地、京都国立博物館
2日ぶり、東京国立博物館のメンバーズパスドヤァ!
morina0321-2.hatenablog.com
これでメンバーズパスで東京・奈良・京都制覇。…九州は遠いなあ。メンバーズパス持ってない時に行ったことはあるけれど。
京都国立博物館は来訪自体が今回初めて(なので、これで4館制覇)。

大きな建物は2つ(後は茶室があるらしいのだが、見逃したらしい)。

こちらは明治古都館。元々はこちらが本館だったそうだが、現在耐震調査等で閉鎖中。
山東熊設計。つまり奈良国立博物館のなら仏像館その他諸々と同じ(上記記事参照)。なので結構華美。実は伎芸天女と毘首羯摩天が彫られていて、西洋と東洋折衷状態。
正門(団体入館口)も片山東熊設計で恰好いいよ。

こちらは平成知新館。元々新館は別のが建っていたらしいのだが、近年建て直し。
なかなか綺麗だが、この水の張り方と、入り口の形に既視感が。
設計者は谷口吉生。ああ、そうか、写真載せたことなかったっけ。

東京国立博物館法隆寺宝物館の設計者でもある。ちなみに京都国立博物館の個人入館口(南門)の設計もそう。行ったことある建物だと、GINZA SIXとか。実は別趣味でよくお世話になってるつくばカピオもなのだそうな。
余談だが、お父様の谷口吉郎も建築家で、東京国立博物館の本館の設計者だったりする(東京国立近代美術館も)。


さて、展示は平成知新館にて。3階から始まって、1階に降りる形。気になったところをいくつか。
ちなみに写真NG。東京国立博物館の写真OKなのが異常なのかもしれない…。

3階1室「陶磁」。
いきなり尾形光琳画、尾形乾山作「銹絵寒山拾得図角皿」。前日に写しを見たような気もするが。
morina0321-2.hatenablog.com
寒山拾得の絵よりは器の模様が好きだなあ。模様は乾山かな。
色絵のものがいくつか。「色絵松梅文徳利」は梅の絵が可愛く、「色絵松竹市松文角皿」は青と緑の市松がとても鮮やか。そして青い絵の具の散らし方も綺麗。「色絵梅文菱繋手鉢」は…実用っぽい形はしてないなあ。花は綺麗に描かれてる。
一方、「絵唐津四方口向付」は地味だけど好き。「錐呉器茶碗」「瀬戸肩衝茶入 銘泡沫」「玳玻天目」辺りは茶席で使うのかな。いいなあ。「黒釉刻花牡丹文梅瓶」は牡丹が素敵。
あとは副葬品系(え)「青磁水注」が副葬品となっていてびっくり。越州窯なので外国製なんだよね。それを副葬品に使えるのって、よっぽどの権力者じゃないのかなあ、その墓。あと、いかにも中国の副葬品な黄釉の「黄釉絞胎盤」とか。黄釉もそうだけど、東京国立博物館の東洋館5室にあるような三彩明器が多数あったなあ。
「藍彩壺」も中国からだけど、青がとても綺麗。

3階2室「考古」。
あまり見ない形の「土偶」からスタート。
「丹塗細頸壺」が丹塗とはいえなかなか凄い色をしている。
この時は一般展示に加えて、「鳥取・兵庫の原始古代」のテーマでそちらの方の展示をしていたのだが、鳥取県立博物館からの「須恵器 異形脚付子持壺」がとても異様でびっくりする。これ何に使ったの本当に…。文化財オンラインに似たようなのがあったのでこちらをどうぞ。
bunka.nii.ac.jp
この部屋は割と時代が広くて、縄文から平安ぐらいまでの考古品があるので、仏教系の考古も。「金銅三角五輪塔及び水晶製舎利容器」は水晶が綺麗で、五輪塔がとても幾何学なデザインで面白い。
しかし…頭が欠けている埴輪をのっぺらぼうな人形に被せて展示したり、経塚の説明で「弥勒菩薩如来となる遥か未来へのタイムカプセル」とか解説書いてたり、なかなかセンスが独創的ですなあ…。

2階1室「絵巻」。
伝土佐光起「源氏物語絵巻 葵」。これは紙といい、絵といい、とても豪華で綺麗。

2階5室「中国絵画」。「牧谿とその周辺」。
牧谿「遠浦帰帆図」は好きだなあ。
牧谿「布袋図(善阿印)」を狩野探幽が模写していてびっくり。探幽が妙にユーモラスに描いてたし。

1階6室「漆工」。「京漆器を愉しむお正月―美濃屋コレクション―」。美濃屋は江戸時代から昭和にかけての受注制漆器店だったそうな。
「木彫彩色兎形香合」が雪うさぎ形で可愛い。
「茄子蟷螂蒔絵巻煙草箱」の茄子がいい感じ。
「寄木塗吸物椀」の赤と黒がとても恰好良い。
「溜塗乾漆製丸形銘々盆」が微妙な色合いをしていたり。茶のようなそうでないいような。
「糸蒔絵糸巻形吸物膳」がいかにもモダン。
「八重葎漆絵木瓜形一閑張銘々盆」…おおお一閑張だ。絵が素敵。
「青漆爪紅吸物椀」青ってなってるけど緑というか抹茶っぽいというか。漆なんだ…。
「乾漆抹茶碗」の形がいいなあ。
この部屋はかなり眼福だった。

1階4室「染織」。明らかに好みの部屋なのだが、今回のテーマが「染めと織りの文様 ―古典文学をまとう―」。ああ、文字入れてる着物が結構あるなあ…。個人的に好みでないんだよね…。
とはいえ、「源氏香と源氏物語文様帷子」、「謡曲文様小袖」、でもって「御所解(石橋)文様振袖」「御所解(小督)文様小袖」「御所解(住吉詣)文様小袖」の能題材の衣装はとても良かった。眼福。

1階3室「書跡」。「いにしえの旅」。
文書系はよくわからないかな、と思ったのだが、与謝蕪村奥の細道図巻」、文字も絵も凄い可愛くていいぞ!与謝蕪村は割とくだけた絵描くと可愛いよねえ。

1階2室は特別展示室、今回は「新春特集展示 子づくし―干支を愛でる―」。
先日、東京国立博物館で類似の展示を見たけれども。
morina0321-2.hatenablog.com
「鼠図目貫」「鼠唐辛子図目貫」「鼠図縁頭 銘 含章子長常(花押)」の刀装具系は好き。あと、「賀茂人形 鼠」がいいなあ。
そうそう、土佐光吉「源氏物語画帖 「初音」」が出ていたのだが(初「子」でもあるんですな)、これって上述の大和文華館で見た「源氏物語画帖」と同シリーズなんだろうか。
どうでもいいが、「大黒に鼠蒔絵印籠 「杣田久光作」銘」の解説で、いまいち意図は不明ながらも「なんだかおめでたい」って雑な解説の締めがついててツボに。

うん、なかなか面白い展示だった。


京都駅まで歩いて帰ったのだが、疲労が大きく、途中で一休み。七条河原町交差点付近のレトロ建物のひとつ。
www.kaikado-cafe.jp
元々は京都市電(路面電車)関係の建物だったとか。
建物のレトロさもさることながら、内装がとてもお洒落。小物も色々お洒落。
もなかと釜炒り茶で一休み。

お洒落だし美味しいし。


京都駅に帰ったけど、まだ続く。