時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

モダンデザインが結ぶ暮らしの夢@パナソニック汐留美術館

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日曜の新橋って空いてるんだなあ、と美術館へ行ったら、美術館はそれなりに人がいた。

元々、パナソニック留美術館はそんなに広い美術館じゃない。
で、今回は建築関係も結構絡むせいで展示に平面的なもの(建築写真とか設計図とか)が多いこともあり、
木を使用している看板モノの展示で道を仕切っている感じになっている。
なので、ちょっと狭く感じる。情報量は多くて楽しくはあるのだが。

第1章「ブルーノ・タウトと井上房一郎たち-「ミラテス」を中心に」。
ブルーノ・タウト。個人的に最初に知ったのは「美の巨人たち」で特集されていた「旧日向別邸」。
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何故か、草津温泉にも訪問した有名人としてお名前が。いや、実は何故か、ではなく。ブルーノ・タウトは2年高崎の達磨寺の洗心亭で暮らしていたので、恐らくその際に草津に寄ったのだろう。
ブルーノ・タウトは建築家で、なので本来は日本でも設計したかったけれど、結局日本で設計できたのが旧日向別邸地下室だけ、という、ちょっと不遇な方(なのでその後トルコに行ったんだが)。
ただ、日本の建築とか工芸とかには好意を持ってくれたみたいで。
イスタンブールからの書簡」はトルコに渡ってから日本の方に送った手紙なのだが、軸物風に作っていて、墨で描かれたスケッチも和風な絵の上に可愛いという。
そして建築はできなかったけれど、工芸は沢山残してくれていて、第1章はブルーノ・タウトの作った工芸品とそのデザインスケッチが中心。この工芸品がどれもこれも可愛かったりお洒落だったり。全部上げているとキリがないので、一番好きだったのはペーパーナイフかなあ。ナイフ自体のデザインがお洒落で、ケースの内装も可愛い。
また、この章のタイトルにある井上房一郎は実業家で、ミラテスという家具工芸店を開いていて、そこでタウトに色々デザインをして貰っている。ミラテスの看板も包装紙もとてもお洒落。いいなあ…。


第2章「アントニン&ノエミ・レーモンド」。
アントニン・レーモンドはフランク・ロイド・ライト設計事務所に元々勤めていて、帝国ホテルの設計に呼ばれたフランク・ロイド・ライトと共に来日して、そのまま独立して日本で設計事務所作って、そのまま日本で建築家となった方。見た事ある建物あるかなあ、と思ったら、元町公園のエリスマン邸がそうみたい。ただ、展示物を考えると、エリスマン邸はあまりレーモンドっぽくはないかも。
色々展示を拝見すると、外見は簡素で新し気に見えるんだよね。でも内装がいい感じ。天井が高くて梁を生かしてて。建物が多いのでここだと実物を展示していないのだが、現地で見てみたいなあ、と。
で。実は妻のノエミ・レーモンドはデザイナーで、アントニン・レーモンドが建築した建物の家具をデザインしたりしている。個人的にはこれがツボ。凄く可愛い。木の椅子にイグサを編んだ紐で背もたれとかクッション部作ったり。特別出品してた薪置き台、何やら生き物みたいになってて、顔が可愛い。テキスタイルの型紙とかも素敵だったなあ。


第3章「剣持勇の「ジャパニーズ・モダン」」。
剣持勇インテリアデザイナー、だけど工業デザインもやってて、実はヤクルトの容器を設計した方でもある。第1章のタウトに師事している。
柏戸椅子とか椅子関連の展示は素敵だなあと思うのだが、とりあえず丸椅子C-316。

実はこれはこの展覧会で写真を撮ってきたわけでは、ない。
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ええ、東京国立近代美術館工芸館にありまして。展示物じゃなく、座れる。工芸館には丸くて背の低いテーブルもあるけど、それも剣持勇デザイン。
そうそう、日航ジャンボ機のファーストクラスの内装も手掛けているのだが、加山又造の絵が飾ってあって気になった(そっち?)
飾られていた剣持勇の写真がとてもお洒落なおじ様だった。早いうちに亡くなってしまっているのが残念ではある…。デザイン研究所は現存しているけどね(のぞみ700系とかのデザインしてるよ!)


第4章「ジョージ・ナカシマと讃岐民具連」。
ジョージ・ナカシマ(日系二世アメリカ人)は、2章のアントニン・レーモンドと同じく、帝国ホテルの設計に呼ばれたフランク・ロイド・ライトと共に来日して、暫くその辺りと一緒に行動しているものの、紆余曲折あった末に家具デザイナーに転向している。
「讃岐民具連」は、高松の職人グループで、こちらに共鳴して参加しているみたい(今は民具連の活動はないのだが、桜製作所という高松の有名なオーダー家具の会社があって、ジョージ・ナカシマデザインの作品も売っているし、記念館も運営している)。
木の家具のデザイナーだ。椅子はシンプルで、どちらかというと内装と上手く調和する感じ。「ミングレンアンドン」という、日本の行灯形の照明器具がとてもモダンだったり、「コーンブラット・ケース」は収納庫なんだろうけど、把手がとてもお洒落。
ちなみに、ポカンティコヒルズというロックフェラーの家がアメリカにあるのだけれど、そこの内装をジョージ・ナカシマが担当しているそうな。なお外装が吉村順三
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奈良国立博物館の新館デザインの方。実は吉村順三もアントニン・レーモンドに師事していて、その時代にジョージ・ナカシマと吉村順三は同僚になる。


第5章「イサム・ノグチの「萬來舎」とあかり」。
個人的にイサム・ノグチは彫刻家のイメージが強いけど、「あかり」シリーズはインテリアデザイナー、になるのかな。
今回は慶大で内装設計を担当した「萬來舎」の資料が半分。ちなみに外装は谷口吉郎
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ここでも話したけど、東京国立博物館本館と東京国立近代美術館本館の設計者。ちなみに東京国立近代美術館工芸館の展示室も谷口吉郎設計だった。ついこないだ気づいた…。
ちなみに、先程の吉村順三谷口吉郎もそうなんだが、この展覧会、建築家何人かで映ってる写真がいくつかあって、第3章で剣持勇丹下健三イサム・ノグチ谷口吉郎猪熊弦一郎が一堂に会している写真があった。なんだか凄い豪華ネーム…。
話を元に戻して、後半というか最後は「あかり」シリーズ。こちらは写真OK。
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実は「あかり」シリーズはもっと沢山作品が飾ってあるのだが、「あかり」ではない作品もあったりして、それが撮影禁止で。…撮影禁止の作品が、「あかり」シリーズのど真ん中に置かれてるの…。え、これどう写真撮ったらいいの…と悪戦苦闘(で、ああいう写真に)。


少々展覧会構造上の問題はあるけれど、興味深い展覧会だった。