時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立近代美術館

www.momat.go.jp
というわけで所蔵作品展。


1室「ハイライト」。
まずは狩野芳崖「桜下勇駒図(おうかゆうくず)」。桜の花がとても美しい、けど、馬と乗馬する男の人がなんともユーモラス。ユーモラスなのに、なんだか凄く綺麗なんだけど…。
川合玉堂も、個人的には割と好きな絵が限定されることが多いけど、「二日月」はとても美しい。全体的に朦朧体で、柔らかい月の光を表しているんだろうか。
山川秀峰「序の舞」、こちらもとても美しい美人画
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山川秀峰は先日、川瀬巴水と親交深かった話が出ていたなあ…。

2室「和洋がなじむまで」。洋画と、それまで日本になかった彫刻と。
まず目を惹くのが朝倉文夫「墓守」。存在感が凄い。
和田英作「おうな」もなんとも素敵。媼の存在感と、淡い光で描かれている夕暮れ。

3室「ほとばしるフライハイト ―『白樺』と青年たち」。
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つまり、1つ前に記載した、特別展とのコラボ。フライハイトは高村光太郎の「僕は芸術界の絶対の自由(フライハイト)を求めている」の言葉から。
岸田劉生「B.L.の肖像」。B.L.=バーナード・リーチ
で、バーナード・リーチ「男の肖像」、岸田劉生御本人が描く自画像とよく似ていて、解説見なくても岸田劉生だ、と分かる一品。
柳敬助「白シャツの男」に描かれているのは富本憲吉だったり、梅原龍三郎静物」に描かれている壺は、バーナード・リーチの作成した壺だったり。
4室も「「 生」を刻む― 近代日本の木版画から」で、山本鼎棟方志功が出てくるので、こちらも展覧会絡みだね。

5室「パリの空の下」。パリに渡った日本人作家が主に。
佐分真「午後」の女性の雰囲気がなんか好きだなあ。

6室「激動の時代を生きる」。
この部屋は戦中の絵が多いのだけど、北脇昇「クォ・ヴァディス」は戦後。
北脇昇はシュルレアリスムの画家なんだけど、戦後の、行く末を悩んでる感が明快に出ていて、これは嫌いじゃないんだよね。

7室・8室は小特集「純粋美術と宣伝美術」
「純粋美術」は「芸術的価値の追求、鑑賞を目的とした美術」、それと対になるのが「応用美術」で、そのうちの1つが「商業美術」、要は商業が目的とした制作で、更にその中の演劇やダンスといった公演のチラシやポスターを「宣伝美術」と呼ぶそうで。日用品の宣伝ポスターは宣伝美術とは呼ばないみたい。
工芸関係の展示もあるので、少し特別展と絡んでいる感じはする。
で、この中にあって驚いたのは小磯良平「オルレアン毛織」「神戸博」のポスター。神戸博(19050年の日本貿易産業博覧会のこと)のポスター作成はまあ分かるけど、「オルレアン毛織」は普通に衣料品の広告だよね…。とてもモダンで素敵だけど。小磯良平、こういうのも手がけてるんだ…。
宣伝美術としては、大智浩のコンサートのポスターが結構気になったり。

10室「音はみえるか、きこえるか」。音がテーマ。
いきなりカンディンスキーがあったりするのだけど、似た作風のハンス・リヒター「色のオーケストレーション」は黒地で、規則正しいのか無秩序なのかいまいち判断しかねる色の違う四角が並んでて、こっちが結構好き。
更に染色作家の伊砂利彦がドビュッシー作曲「前奏曲II」のイメージから作成した型染作品が展示されていて、「枯葉」は割と好きかな。
日本の新版画では、笠松紫浪「春の雪 浅草鳥越神社」や川瀬巴水「相州前川の雨」は、雪や雨の音、なのかな。
純粋なやまと絵の屏風、大坪正義「管弦」もとても美しい。山水も美しいし、管弦で遊んでいる雅やかな方々の衣装も。
染織作家・小倉建亮の美しい着物「縮緬地絞り染縞文訪問着 虫の音」や、人形作家・平田郷陽の木彫「虫の音」もあったり、多彩で1つ1つ美しい。

そうそう、ちょっと話は逸れるが、8室にチャールズ・イームズ&レイ・イームズの「合板ラウンジチェア」が飾られていた。
特別展も椅子の話出ていたなあ、と思ったら、10室の椅子・剣持勇「ラタンスツール」の宣伝がそこにあったりして。
あと、4階の「眺めのよい部屋」にも置かれている金物の椅子はハリー・ベルトイアの作品で、3階エレベータホールで小特集「ハリー・ベルトイアの彫刻」の映像が流れていたりした。


この日はまだまだ終わらない。