時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

テート美術館所蔵 コンスタブル展@三菱一号館美術館

mimt.jp

ちょっと久々になった三菱一号館美術館
で…実はこの展覧会のメインになっている絵「フラットフォードの製粉所(航行可能な川の情景)」なんだけど、この看板、周囲の桜が映ってしまって、違う絵になっちゃってる(遠い目)まあ、それはそれで笑って許してください。綺麗ではあるし…(だめ)

コンスタブルはイギリスの画家。ターナーと同時代。
風景画中心の画家ということで、ちょっと地味かもしれない。ただ、なんとなく落ち着きたくてこんにちは。
ちなみに「テート美術館」はイギリスの「テート・ギャラリー」という組織で運営されている美術館で、ナショナル・ギャラリーに入りきらない作品の管理をしている様子。


1章「イースト・バーゴルトのコンスタブル家」。
コンスタブルの紹介とか初期の絵とか。紹介的な絵としては、御両親や奥様のマライアさんの肖像画等。マライアさんの肖像画、かなり美人。
コンスタブルは裕福な地主の御両親の元で育ったんだけど、マライアさんとの結婚はずっと反対されていて、お父様が亡くなってから結婚ということになったそうな(年表拝見したらコンスタブルが40歳で!)。ちなみにコンスタブルもなかなかハンサムだったみたい(他人が記述したものが残っている)。
あ、そうそう、コンスタブルはサセックス地方というイギリスの南東部の地方で育っていて(ロンドンより南)、そこの風景を主に描いていたそうで。
個人的には「テムズ川あるいはメドウェイ川の船舶のスケッチ」2点がなかなか素敵だったり、「外套をきたボンネット姿の少女の習作」もなんかいいなあ、と思ったり。ちなみに後者はカンヴァスじゃなくて「ミルボード」という厚紙に描かれいてるもので、以前は松方コレクションに入っていたそうな(今はテート美術館所蔵)。
また、「初期の影響と同時代の画家たち」ということで、ターナーとかゲインズバラ等の展示もあるよ。


2章「自然にもとづく絵画制作」。
ここから本格的に風景画に。「フラットフォードの製粉所(航行可能な川の情景)」もここ。
個人的には「モルヴァーン・ホール、ウォリックシャー」の水面の描き方が好きかな。
全体的に、まだ印象派も生まれてない頃なので、そういう光の描き方ではないかな。イギリスだから、ということもあってか、空が「綺麗に晴れ渡る」ような描写にもなりづらいしね。
「同時代の画家たちによる戸外制作」にて、やはりターナー等の展示も。


3章「ロイヤル・アカデミーでの成功」。
ぱっと目を引いたのが「ヤーマスの桟橋」。やはり曇りがちだけど空が広くて、海が綺麗で。
実はこの章、「ハムステッド、およびコンスタブルと同時代の画家による空の研究」として展示されている方が作品が多い。ハムステッドはロンドンより少し北の郊外の高台で、コンスタブルが家族のために空気が清浄な場所に引っ越したそうで。ここで空や荒野の習作を沢山残している。
確かにここの章の空は全体的にいいなあ。前述したように晴れ渡ってない、むしろ灰色の雲が多いのだけれど、それをいかに美しく描くか、という感じで。
あと、ちょっと話が逸れるけど、「ハムステッドの木立」の牛の描き方が結構好き。
同時代の画家の絵だと、アレグザンダー・カズンズ「嵐の前」のいかにも荒れそうな空とか、ジョン・リネル「アルファ通りのテイサム家の庭、夕景」の雲が薄くかかった夕暮れとかも素敵。


4章「ブライトンとソールズベリー」。
ブライトンはサセックス地方のリゾート地で、奥様が結核にかかったので静養で赴いたそうで。
ただ、リゾート地だから人が多くてコンスタブル自体は気に入っていなくて、「ブライトン近くの海」みたいな人気のない場所を描いていたらしいのだが(やはり空と海が綺麗)、なんだかんだでリゾート客が目につく「チェーン桟橋、ブライトン」も描いていて、これもいい絵なんだよね。コンスタブル、もしかして小さく群衆を書くのが上手いのでは…。
ソールズベリーは大聖堂で有名な街だけれど、大聖堂で奉仕している親友がいたので訪れていたそうな。奥様が亡くなってしまったこともあって、大聖堂付近で絵を描くことに没頭していたというのもあるそうで。結核だものね…と思ったんだけど、実は奥様、7人お子さんを生んでいて、亡くなる数か月前にもお子様を産んでいらっしゃったり。う、ううむ。


5章「後期のピクチャレスクな風景画と没後の名声」。
こちらは3パート仕立て。

まずは名声を確定した「ロイヤル・アカデミーでの競合」。
簡単に言うとコンスタブルvsターナー。このコンスタブルの絵「ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)」、開通式の参加者の衣装や船の赤がいい感じで映える絵で。
で、この絵に並べられるターナー「ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号」の絵は空と海と帆船なので色が地味で、公式に与えられた絵の修正がOKな時間に赤いブイを書き込んで(!)コンスタブルの「ターナーが銃をぶっ放していったよ」ってコメントが残っているそうな。でも、ターナーの絵、これはこれで好きだけどね。帆船に当たる光の具合とか。

で、次が「イングランドの風景」。
こちら、実はコンスタブルの原画を木版画にしたもの。解説を加えて、後の教本にしようと考えたのだと。自分の後、を考えるようになったのですな…。
晩年は病気がち、ということもあったみたい(とはいえ、亡くなったのは実は普通に生活していて急に、だったそうなので、長いこと苦しむ、ということはなかったのかな…)。

最後は「晩年」。
今まで書いてきた風景のデッサンを再構成して、架空だけど素敵な画面構成を作って描く、ということをしていたそうで。
「ヴァリー・ファーム」は森と川と、ところどころにいる人と、牛と。結構気に入ってる。
でもって唯一今回写真を撮影して良い「虹が立つハムステッド・ヒース」。虹を描いているのは、これともう1つ、1つ前の章にあった木版画ぐらいかな。これはなかなか素敵な絵なのだけれど、もしかしたら実物で拝見した方がいいかも。虹の微妙な色具合が写真だと上手く出ない感じ。


今回は展覧会で珍しくお土産を購入。

イギリスで17世紀頃に盛んに作られた陶器「スリップウェア」の図案をモティーフにしたクッキー。
陶器自体はバーナード・リーチ濱田庄司が気に入ったらしく、日本の民藝運動にも繋がるものでもある。
つい好みで購入してしまった…。


続く。

ここのところの配信Live

最近、諸事情(更新沢山してくださって本当にありがたいんですよ(こそ)(何))により配信Liveを拝見するのはぎりぎりに参加できるかを確認してから購入するようにしているのだが(で、実は最近それでスルーしているものが多々…)
この告知を拝見して、脊髄反射で即座に配信のチケットを購入した。

Katsina Sessionは4人組のバンド。


タブゾンビさん(トランペット。SOIL&"PIMP" SESSIONS)、日向秀和さん(ベース。ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)、伊澤一葉さん(キーボード。東京事変the HIATUS、あっぱ)、柏倉隆史さん(ドラム。toethe HIATUS)。
メンバー拝見するだけでも興味あるのに、このバンド、「即興セッションバンド」で、この日限りの音をLiveで演奏される。今まで配信なかったので(お食事がつく会場でのLiveが多かったんだよね)拝聴するチャンスは逃したくなかったんだよね。

Yasei Collectiveは3人組のバンド。
yaseicollective.com
松下マサナオさん(ドラム)、中西道彦さん(ベース&シンセ)、斎藤拓郎さん(ボーカル&ギター&シンセ)。マサナオさんは伊澤さんとのセッションで拝聴させて頂いている。
morina0321-2.hatenablog.com
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マサナオさんは日向さんとも、ユニットHHMMを結成していらっしゃるし。


で、結局Live当日はばたばたしていてリアルタイムでは拝見できず、アーカイブでの拝見となった。
パラシュートセッションはライブハウス「月見ル君想フ」さんでの企画セッションで、2組のバンドが交互に曲を演奏する形式。普段と会場設定もちょっと違っていて、まあ2組でどちらも機材が結構あって(ドラム2つにシンセ2つにキーボードに…)ここにお客様を入れて。…なので、ちょっと密集状態のような(小声)お客様はマスクもして口を開かないで頑張っていらっしゃると思うのですが。
Yasei Collectiveはどんな感じなのか掴めてなかったけれど、事前に聴いていたマサナオさんのドラムのイメージがそのまま生きる、前衛的な音楽。ボーカルもエフェクトかけて。こちらがYasei Collectiveのリハの御様子。


Katsina Sessionも格好いい音楽をバリバリやっておられた。本当に即興なの?結構形になってる感じなんだけど。感覚で合わせにいってる感じなんだよね…。凄いなあ…。


当日のセッションの様子が出ていたのでどうぞ。


なお、こちら、最後にやってた2バンド+α2名のセッションでございます(詳細は配信アーカイブで!)
そうそう、リハやセッションに出ているけれど、会場の装飾もとても素敵だったよ(担当された方のtwitterより)。


もう1点。
今回、マサナオさんが進行役的な感じになっていたのだが。
…途中から「…ご苦労様です…」となってしまったりしたのは(え)拝見してる方は超面白かったですけどね(あ)

→2021/04/27追加。

www.youtube.com
マサナオさんがYasei Collectiveの演奏を1点アップしていらしたので。御本人にもとても思い入れのある演奏だったのだと。


アーカイブは4/7 19:00までとのこと。宜しければ。
個人的には、もう一度拝見できる時間があるといいなあ。



もう1つの配信は予定。

www.instagram.com
YouTube Liveなので拝見しやすい。楽しみ。
…どうしよう、エイプリルフールネタなのにあまり違和感が(こら)見た目というよりは関係性r

東京国立博物館

なかなか伺えなくて、展示もすっかり変わってしまった。

そして恒例の春企画、「博物館でお花見を」開催。
www.tnm.jp
www.youtube.com
その前の展覧会でかなり力を使い果たしているので、この日は本館のみ。


2階から。1室。
「日本美術のあけぼの―縄文・弥生・古墳」の「埴輪 盛装の男子」。みずら結って表情が妙に可愛い。


3室。
「仏教の美術」の藤原定信法華経」、経文に入る前の髪が綺麗な桃色の紙に切金散らしてて、とても綺麗。経文部分も上下に砂子巻かれてるし。


4室。「茶の美術」。
どっしりとして格好いい「竹一重切花入 銘 園城寺」(伝千利休)。園城寺三井寺)?どうして?と思ったら、表面の干割れ(ひわれ)が園城寺の「弁慶の引き摺り鐘」伝説のような割れ方だ、という意味だそうで(伝説は下記参照)。また迂遠な…。
www.shiga-miidera.or.jp


5室・6室。「武士の装い」。
兜が変わってて面白かった。前立てが菖蒲の「紺糸威筋兜」、ちょっと変わった烏帽子型の「紺糸威烏帽子形兜」、「何これ?イカ?」と思ってしまった富士山型(イカの耳っぽく見えたの…)の「白糸威富士山形兜」。


7室。「屏風と襖絵」。
今回は「博物館でお花見を」のポスターにもなってる狩野晴川院養信「源氏物語図屏風(絵合・胡蝶)」。うん、やっぱり書き手、個人的にこの方の絵、好みなんだね。
morina0321-2.hatenablog.com
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源氏物語図屏風」の右隻が「絵合」、左隻が「胡蝶」(こちらがポスターになってる)。色がとても綺麗。


8室。
「暮らしの丁度」は華やかな色合いのお着物だったり、変わった色&形の焼物だったりと、見どころが多かったけれど、気になったのは「芦蒔絵文台・松千鳥蒔絵硯箱」。朽ちた木を使って拵えてる。渋い。
「書画の展開」は狩野伊川院栄信「勿来関図」の細部の花が綺麗だなあとか、酒井抱一「流水四季草花図屏風」がまた写真OKなの!?とか(勿論素敵)。板谷桂舟(広隆)の「源氏物語図 初音・胡蝶」は、7室との対比なんだろうな。以前も拝見しているが、やっぱり綺麗。住吉如慶が絵を入れた「伊勢物語絵巻」も以前拝見してるかな。綺麗なことに変わりはなく。「筒井筒」の場面、書き手でも分かるぐらいに分かりやすかった(井戸もそうだけど、最後の「飯盛り」の絵もあるのね)。


9室「能と歌舞伎」。
今回は能「蘆刈」関連。「蘆刈」は家が没落した夫婦の妻が乳母になって出世してから夫を探す話なので、綺麗な衣装多め。落ちぶれた夫の衣装もあるんだけど(それでも能なので絹仕立てらしい)。


10室。
「衣装(江戸)」は春らしいものが多数で、今回は町方の着物中心。その割には裕福な家の衣装もあって、「小袖 紅綸子地雪持笹桜模様」なんて総鹿の子だったりするし。「振袖 藍鼠縮緬地源氏香模様」はとても渋い(振袖と腰から下の部分だけ刺繍入れてる)のだけど、少年用の着物(この時代は元服前の少年も振袖着ることがあったそうで)だとか。
「浮世絵」は、書き手の好きなところは置いておいて。葛飾北斎「鷽 埀櫻」がちょっと違う感じの浮世絵で格好いいな、とか、歌川国芳「真勇竸・きよ姫」は安珍清姫伝説か!(鐘も描かれてるし)とか。


特別1室・2室で「鳥獣戯画展スピンオフ」。
特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」が4/13からなので、関連企画。「鳥獣戯画」の甲巻/乙巻/丙巻/丁巻の模本とか、甲巻で描かれている遊びや道具にスポットを当てた展示がある。
書き手は実は「鳥獣戯画」には詳しくない(先日終わったヒストリアの特集で取り上げられていたのは拝見したけど)。なのでそこまで詳しくは分からなかったけれど、おっとなったのは「竹菱葵紋散蒔絵双六盤」。実は8室に「竹菱葵紋散蒔絵櫛台」が出ていた。同じ竹菱葵。婚礼道具という解説まで同じ。こっそり他展示とスピンオフしてる。ちゃんと展示拝見しているひとなら分かる、学芸員さんの遊び心。狩野晴川院養信「十念寺縁起絵巻 上巻(模本)」も7室との絡みなんだろうなあ。


でもって1階へ。11室「彫刻」。
いつもこの部屋は写真NGのものが多いのだけれど、今回はOKなものが多い。「千手観音菩薩坐像」、穏やかなお顔がいい感じだったので撮影。


12室へ行く前に。11室から小階段に繋がる部屋があるんだけど、以前からここに冬木小袖復刻の募金が置かれている。
で、以前は募金箱だけだったんだけど、今回はここに冬木小袖の複製衣装が展示されていた。掛けているのではなくてマネキンに着せた形。しれっと帯が桜模様っぽいのもポイント。


12室。「漆工」。
「桜蒔絵硯箱」や「桜蒔絵香箱」は「博物館でお花見を」シリーズなんだけど、桜よりもそれぞれ形が変わっていて気になった。硯箱は右側にもう半分がありそうだったし、香箱は台の上で4分割になってて。
あとは、「椿鶴亀彫木漆塗重箱」は(書き手があまり得意でない)朱漆だけど、漆の暗さが結構好みだったり。


13室。
「金工」は灯籠や香炉。灯籠がいくつか気になったりしつつ。
「刀剣」は「月に桜花図鐔」が「博物館でお花見を」シリーズ。だいたいこの季節は出してくれて、書き手も気に入ってる鐔なのだが。…展示には書いてなかったんだけど、東京国立博物館の展示物一覧には「加納夏雄」って書いてある。え?本当?
「陶磁」は野々村仁清「色絵波に三日月文茶碗」「白釉建水」(後者は確実に以前も拝見している)が素敵だったり、永樂和全「色絵絵替小角皿」「三島写桜文茶碗」がそれぞれ可愛かったり、高取焼「黄釉沙金袋水指」や上野(あがの)焼「片身替釉菱形水指」が面白い形をしていたり。


14室はまたもや「鳥獣戯画展スピンオフ」。この部屋は動物モティーフのアレコレ。
妙に可愛い縄文時代の「猪形土製品」、間抜けな感じで和む「埴輪 鶏」、リアルな京焼の「蛙形水滴」。でもって外国産まで入れてて、イタリア出土の「梟文杯」は好みだったり。


16室。「アイヌ琉球」。
アイヌはアットゥシ(樹皮で作る織物)の織り機が出ていた。あとは日用品が色々気になったけれど(団子を掬う「シトベラ」なんかもあった)、なかなか物々しいごつごつした見た目と「ストゥ(制裁棒)」という展示名のものが。調べたら、刑罰執行用のものだった。これで叩くのか…。
琉球はジシガーミ (厨子甕)が。ジシガーミは簡単に言うと琉球の骨壺。琉球はちょっと葬法が変わっているので、詳細は調べて頂ければ。着物は芭蕉布。涼し気。


ちょっと平成館の企画展示室へ寄り道。「東京国立博物館コレクションの保存と修理」。
これは説明図解も丁寧で勉強になる。ボロボロに欠けまくった銅鐸(突線鈕3式銅鐸)が本当に綺麗に修復されてるしね。


本館に戻って18室。「近代の美術」。
拝見したことがあるものが多いのだけれど(でも木島櫻谷「朧月桜花」は大好きなので堪能)、今回は吉田博「精華」かな。
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東京国立博物館の御近所でつい最近拝見した展覧会とのスピンオフ。展覧会のは木版画中心だったけど、こちらは超大型油彩。しかも、3匹のライオン(雄2匹雌1匹)になにやら指し示している裸体の女性、という。…なんて謎の構図なんだ…。吉田博もなかなか掴み兼ねる画家である。
ちなみにこちら、「吉田ふじを氏寄贈」。吉田博の奥様からの寄贈なんだね。奥様も画家で、絵は東京国立近代美術館で拝見している。
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たまたま雨にも降られず(この前の展示会を見ている間に降った様子だったけど)疲労困憊ではあったけれど、楽しかった。付近もまだ桜が残ってたしね。
なのでこの日のおまけは、旧博物館動物園駅と桜。

渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画@東京藝術大学大学美術館

museum.geidai.ac.jp

お待ちしておりました。


渡辺省亭―欧米を魅了した花鳥画―
公式でも「次はこれだ!」と宣伝されている。
とはいえ、渡辺省亭、拙ブログでは言及される頻度が高い。最初は山種美術館で、でもって加島美術で火がついた、と。
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会期前から宣伝が多いので(NHK主催というのもあるのかもしれない)、混雑するのかと戦々恐々。でも前日に確認したら、前売券も会期開始後も日時指定制でなかった。
とりあえず前売券を購入し、どんなものかと美術館の前まで行ってみたら、人混みもなかったのでそのまま入場。
結果的に、1作品を一人でじっくり見ている時間も発生するぐらいの入り。まあ、開始2日目だし、本日は悪天候予想だったので丁度良かったのかもしれないが。
あ、東京は(あと岡崎と静岡に巡回)前期と後期の2会期制。半分ぐらい入れ替わるよ。

書き手は今回は久々に音声ガイドをお借りする。ナレーターは声優の安井邦彦さん。その界隈微妙に疎いから存じ上げないかも、と思ったらKOF八神庵と聞いてびっくりしたり。美術史家の山下裕二さんの特別解説つき。

会場は地下2階の2会場、でもって3階の1会場。
地下2階の第一会場は渡辺省亭の解説映像展示。作品の展示は第二会場からスタート。

最初にいきなり並ぶ楕円形の額風展示。
これは…迎賓館赤坂離宮の「花鳥の間」!
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飾られてるのは濤川惣助作の七宝ではなく、東京国立博物館所蔵の省亭の原画。一度拝見したいと思っていたものが…!
今回は「小宴の間」にある「海の幸」の原画も展示(同じく「小宴の間」にある「山の幸」の原画は後期展示)。

それから数点は…概要というかハイライト的だったのかな、美人画あり花鳥画あり七宝あり。

で、その後は「欧米を魅了した花鳥画」ということで、海外で購入されている省亭作品。
省亭は「一番最初に海を渡った日本画家」なのだそうで。就職先の起立工商会社の社員としてパリ万博に派遣されてる形。海外でも人気があった様子で、今回はメトロポリタン美術館の「花鳥魚蝦畫冊」が日本に来ている。
マネの弟子が買い求めたらしい「郡鳩浴水盤ノ図」はフリーア美術館なので流石に来れず(フリーア美術館は外部への絵画貸し出し禁止)。
けど、海外滞在中に色々交流して、エドガー・ドガの目の前で描いてあげた「鳥図(枝にとまる鳥)」が、海外からこの展覧会に来るとか凄いよな…。しかし、ドガも気難しい人間で、省亭もそんなに人付き合いするタイプじゃないのに、よく繋がったな…(え)

次は美人画
省亭の女性を描いている絵はその前に何度か拝見して、その美しさは分かっていたけれど、鏑木清方が省亭の絵の箱書きをしていたりして、評価は元々高かったのね。
…ただ、清方、ある意味孫弟子的な意味合いもあるしなあ。
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省亭に水野年方が習っていて(省亭が弟子をとらなかったので弟子とは呼びづらいんだけど、一番長く習っていたのが年方みたい)、その弟子が清方だし。
今回かなり点数も出ていて眼福。加島美術で拝見した「小松曳」も前期展示で出ていたよ。
ああ、そうそう、観音様も数点出ていて(省亭も信仰篤かったそうで)、こちらもとても綺麗。加島美術で拝見した「中観音左右波之図」の観音様、美しかったものね(後期にこちらの展覧会でも出るよ)、と思ったら、美人画コーナーの前のハイライト的なところで拝見した「龍頭観音」での音声ガイドにて、こちらが省亭の奥様によく似ているとのことで。息子さん(俳諧師の渡辺水巴)曰く「別嬪」だったとのこと。実は吉原の出だったりするしね。
美人画は歴史題材のものも結構あって、師匠の菊池容斎の影響なのかな。

また、途中のケースにあるのが本の挿絵。
「該撒奇談 自由太刀余波鋭鋒」はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」の坪内逍遥訳なんだけど、そちらは洋装の挿絵を描いているという。珍しい。
裸体画の挿絵もあったりする(美人画でもいくつかあるけど)。これ、「裸体画論争」になったそうで。

その後は結構大型な花鳥画が並んで第二会場は終了。

3階の第三会場は、少々スペースをとって大型な作品を1つづつ。
展示のこの気合の入りようよ。
https://twitter.com/seitei2021/status/1375325227542974466
※設置風景が公式twitterにあるよ。
https://twitter.com/seitei2021/status/1374647179113992193
今回の展覧会のポスターにも選ばれた「牡丹に蝶の図」。

また、第三会場の奥の方には「省亭花鳥画譜」(画集)と編集主任を務めた「美術世界」の木版画。「美術世界」は本当に美しい。彫師も摺師も一流を使っていたとのことで。

でもって第三会場の左側に、渡辺省亭原画の濤川惣助七宝作品。
静嘉堂文庫美術館で拝見した「七宝四季花卉図花瓶」も出ていて再会。
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起立工商会社に就職→濤川惣助の原画を描き始めた、という流れなのは、今回初めて知ったかも。


さて、ここまで殆ど会場の展示がどうなっているかの話しかしていない。
…いや、だって、作品全部が素敵過ぎて、どれが好きとか指定できないんだもの…。


で、この衝動買い。まだ全然読めていないので、時間とって読むよ。

後期も行きたいけれど、どうだろうね。

続く。

没後70年 吉田博展@東京都美術館

www.tobikan.jp

吉田博は横浜美術館で拝見したのが最初だったかな。
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で、東京国立近代美術館で水彩画を拝見した。
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この週末で会期終了ということで、平日にしては混んでいた方かな。

「プロローグ」の章で、吉田博は木版画(新版画)で有名な方なのだが、木版画に本格的に取り組む前の、水彩と油彩の絵。あ、吉田博は元々洋画家。
東京国立近代美術館でも思ったけれど、吉田博の水彩画、とても美しい。「雲表」「朝霧」は本当に素敵だった。
写生帖もところどころに置いてあったのだが、初期の山の写生もとても美しい。
で、プロローグにも初期の木版画があるのだが、こちらが関東大震災で版木を焼失してしまって、その後渡米してからが本格的な木版画のスタート、そして展示のスタートとなる。

今回は章立てではなく、個人的な感想から纏める。

吉田博の水と光の表現がとても好きだ。
「第1章 それはアメリカから始まった」の「モレーン湖」「ナイヤガラ瀑布」、「第2章 奇跡の1926年」の瀬戸内海集のシリーズ、「第3章 特大版への挑戦」の壮大な雲海を描いた「朝日」、「第5章 東京を描く」の「隅田川」「隅田川 夕」「平河橋」、「第7章 日本各地の風景Ⅰ」の「大原海岸」に瀬戸内海集 第二のシリーズ辺り。

吉田博が山岳好きだったようで、山も美しい。
「第1章 それはアメリカから始まった」の「ユングフラウ山」、「第2章 奇跡の1926年」の「劒山の朝」、「第4章 富士を描く」の美しい富士山の数々(「御来光」の光と、「興津」の水鏡の具合が特に綺麗)、「第7章 日本各地の風景Ⅰ」の「雨後の八ヶ岳駒ヶ岳石室より)」、「第10章 外地を描く、大陸を描く」の「廬山」「石鐘山」辺り。

都市や建物を描いているものもあるけれど、個人的には夜が絡むものが好きだった。「第5章 東京を描く」の「神樂坂通 雨後の夜」、「第9章 日本各地の風景Ⅱ」の「奈良の夕」とか。
季節柄、桜の版画も多かったのだけれど、「第5章 東京を描く」の「上野公園」と「第9章 日本各地の風景Ⅱ」の「三溪園」が良かったかな。吉田博の花は、細部を描くのではなくて纏まりとして描く感じで、ちょっとデザイン的な雰囲気もある。
「第5章 東京を描く」にあった「中里之雪」は、色がなくて白と黒のみの版画なのだけれど、これはこれで素敵。

異色な章が「第8章 印度と東南アジア」。
御長男(も版画家)を連れて海を渡って取材してきたシリーズ。全体的に嫌いじゃなかったけれど、一番印象に残ったのが「フワテプールシクリ」。珍しく室内画なんだけど、なんともいえない雰囲気が良かった。

とにかく点数が多いので(前期後期で入れ替わるのだけれど、だいたい100点以上出ている)、自分の好みのものを見つけて楽しむ、でもいいかもしれない。



最後に少々余談的な話。
「第6章 親密な景色:人や花鳥へのまなざし」にあった「庭四題」のシリーズの1つ、「湖畔之庭」。
解説には「琵琶湖のほとりの春挙の別邸の庭」…え、それって山元春挙の別邸「蘆花浅水荘」のこと!?
いきなり春挙の話を振ってこられたせいで、春挙大好きな書き手が混乱をきたしたとか。
そういえば、春挙も吉田博も山岳好きな共通点はある…のかな。日本画と洋画の違いはあれど。

MOMATコレクション@東京国立近代美術館

www.momat.go.jp

今回は「美術館の春まつり」というテーマが1つ。そしてもう1つのテーマが「東北」。とはいえ、もう1つの方はあまり触れる機会がなかったりする。

ざっと雑感。

1室「ハイライト」。菊池芳文「小雨ふる吉野」は春ならではの一品。桜は艶やかで、背景は小雨の中に薄く浮かび上がって。

2室「物語る絵画」。今回の中心は中沢弘光と中村不折
中沢弘光は今回4点出てたけど全部好きだなあ…。光の使い方なのか。「花下月影」は画面全体暗い?となるんだけど、よくよく見ると薄く光が当たっているところがとても輝いて見えて。
中村不折は「廬生の夢(邯鄲)」が。こちらは室内の光に照らされる男性3名。人体デッサンが正確だからか、なんだか素敵な感じになってる。

5室「「猟奇」と「尖端」の時代」。
長谷川利行「カフェ・パウリスタ」…解説に「テレビ番組に鑑定に出した」って、それはつまりなんでも鑑定団…。多分番組で拝見してるな…(そのものかどうかは不明だけど、
長谷川利行が出てくる時は必ずこの絵が出てくるはず)。そこから東京国立近代美術館に購入されるとは…。
確かに絵としてもなかなか素敵ではあるのだけど。

8室「1970-80年代の版表現― 拡張する版概念のなかで」。
近現代なのであまり得意ではないんだけど、東谷武美「日蝕」のシリーズは割と嫌いじゃないなあ…。溶ける氷のリトグラフ作品。

10室は日本画「春まつり」。
部屋の入り口の真正面に東山魁夷「青響」を置くのはなかなかに狡い配置(そして当然のように引っかかる書き手)。
で、その壁の並び、少し離したところに奥田元宋「磐梯」を配置しておくニクさよ。まあ、「磐梯」は「赤」ではなく全体的に白い雪山と空と木々の黒さ(空は少し赤みがかってる?)が対比になっている絵ではあるけど。
その2つの絵の向かいには、新版画。
土屋光逸の「大阪城の月夜」「祇園の夜桜」、どちらもいい。夜桜だから桜をきっちりと描いてないんだけど、その色の風情もいいし、前者は月の光で少し白ずんだ空と雲、後者は提灯の光が人々の着物を照らす感じが良くて。
川瀬巴水「井の頭の春の夜」の薄暗がりの夜桜と、その夜桜が月の光で水面に映るのが良く、「目黒不動堂」はお堂の朱塗りが目に入るけど、奥に可憐な桜が。
で、椅子が置いてある室内では、速水御舟「夜梅」がとても美しく。上は月の光に照らされて明るくて、下が夜の闇を表す墨が広がっていて、そこに梅が小さく光るように点々と。
そして桜といえば跡見玉枝。「桜花図巻」も「桜花図屏風」も美しい。
今回は絵だけでなく着物も。釜我敏子「型絵染着物 春の野」。遠めだと少々地味に見えるけど、実は模様がかなり細かく入ってる。

11室。児玉靖枝「ambient light ― sakura」に会うのは何度目になるのかなあ。でも毎回美しくて見とれる、儚い桜。

今回、12室は映像と写真作品が多く、企画展も「幻視するレンズ」という写真作品の展覧会で、当然9室も写真なので、そういう系が強いイメージがあるかもしれない。12室は普段は現代美術なので、もしかしたら少し親しみやすかったかも。


この日はまだ続く。

あやしい絵展@東京国立近代美術館

www.momat.go.jp

3か月ぶりの美術館はこちらからスタート。展覧会の名前がなんだかエンタメ的ではあるけれど。

さて、この展覧会、写真がOKなものがいくつかある。半分以上はOKなんじゃないかな。太っ腹でありますな…。大部分が東京国立近代美術館所蔵じゃないんだけども。
展覧会自体は前期と後期で大幅に展示替えがあるのだが、一部公開期間が短かったりするものもあったりする。
展覧会は3章仕立て…だけど、2章が本編で1章はプロローグ、3章はエピローグ。時代で区切ってる。


「1章 プロローグ 激動の時代を生き抜くためのパワーをもとめて(幕末~明治)」。
いきなり美しい着物の女性の人形があってびっくりする。安本亀八「白瀧姫」。背中側からも拝見できるようになってるのが嬉しい。
後は歌川国芳月岡芳年の、怪異とか血生臭い系の浮世絵が主(芳年の「魁題百撰相 鈴木孫市」は嫌いじゃなかった)だけど、目を引いたのは肉筆画の曾我蕭白「美人図」。美女、というか…浮かべてる笑みに狂気孕んでるなあ…となるんだけど(恨みの感情を込めているとの解説)、不思議に魅力的で。
この絵、4/4までの展示で、しかもこの展覧会は大阪でも展示するけど、東京のみの展示だそうで。なんと…。


「2章 花開く個性とうずまく欲望のあらわれ(明治~大正)」。
本編。要は今回は明治~大正が主な範囲ということで。長いので更に5つに分かれている。

「2章-1 愛そして苦悩――心の内をうたう」。
藤島武二と田中恭吉が主。
藤島武二はロセッティやミュシャを一緒に並べて。確かにこの辺りの影響受けてる感じはする。「みだれ髪」の表紙とか「音楽六題」はかなりミュシャっぽいし(テーマで複数の絵作成するところが特に)、「婦人と朝顔」はロセッティの女性のよう。ただ、ロセッティが描くファム・ファタールの「強さ」はない感じで。逆に何を考えているか分からなくて、底知れない怖さはあるかもしれないが。
田中恭吉はエドワード・バーン=ジョーンズを一緒に並べ。田中恭吉は存じ上げなかったのだが、これもとてもよく分かる。ロセッティやエドワード・バーン=ジョーンズは以前ラファエル前派で拝見しているが。
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…ええとまあ、書き手がそのエドワード・バーン=ジョーンズが好みから外れておりまして…(あ)

「2章-2 神話への憧れ」。
青木繁。「大穴牟知命」はアーティゾン美術館で拝見したばかり。
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何故か特集コーナーじゃなくてコレクション選の方にあったけど。

「2章-3 異界との境で」。
ここは文学作品とのコラボが多い。谷崎潤一郎「人魚の嘆き」「刺青」、尾崎紅葉金色夜叉」等。
印象に残ったのは、まずは最初の泉鏡花高野聖」関連。目を引くのが大型の「高野聖、想夫憐の絵看板」。「想夫憐」は雅楽の作品にもなってるけど、これはどうなんだろう、そのままの夫を想う図、なのだろうか。
右隻の「高野聖」が鏑木清方、左隻の(恐らく)「想夫憐」は安田靫彦鏑木清方の描く女性は勿論安定の美しさなんだけど、安田靫彦が負けじと美しい女性と、美しい紅葉を描いている。豊川稲荷所蔵なのも面白い。
でもって「安珍清姫伝説」。強い表情で安珍を追う月岡芳年「和漢百物語 清姫」、対照的にふんわりと漂うような村上華岳「日高河清姫図」、そして小林古径清姫 鐘巻」…山種美術館の!


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ここで8つ全ての絵が出てたのが、書き手が最初に拝見したものだったかと。別の美術館で出逢うと不思議な感じ。
他は単発なんだけど、鏑木清方「妖魚」。所謂人魚の絵なんだけど、清方の描く女性の画で、こんな挑発的で妖艶な表情をするのは初めて拝見するかも。なんて素敵なんだ…。ちなみにこれも4/4まで。短いのが勿体ない。写真もNG。
他だと、名越國三郎の画集「初夏の夢」の「水のほとり」もなかなか良い雰囲気。

「2章-4 表面的な「美」への抵抗」。
要は女性の内面も描く絵。同時に、女性が社会的に表に出るような絵も出品。
波々伯部金洲(ははかべ・きんしゅう)の三越呉服店のポスター、北野恒富「朝のクラブ歯磨」ポスターが後者の代表。なんだろう…このセクションは濃い絵が多いので、ここで毒気を浄化する感じが(え)。北野恒富はこれだけ美しい女性描けて、今回同じセクションでとてもインパクトの強い「淀君」描いてるんだよね…。
ここのセクションの中心は甲斐庄楠音(かいのしょう・ただおと)なのかな。展覧会の代表の絵ともなっているけれど。
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甲斐庄楠音はこの時の展覧会で知ったけれど、まあ…インパクト強い…。更に岡本神草が続くからインパクト更に倍、そしてまた方向性が違う、所謂庶民を描いた秦テルヲもあるので、なんともこのセクションの濃さが…。
でも岡本神草「仮面を持てる女」は実は結構好きなんだけど。般若の面持って、綺麗な女性がむしろ無邪気ともとれる笑顔なのが。
ただ、嬉しかったのは、甲斐庄楠音に最初に出会った展覧会で拝見した梶原緋佐子「老妓」に再会したこと。梶原緋佐子は「唄へる女」もいいなあ。描かれてる女性が生活に疲れ果てた姿で、それでも力を込めて歌っている。
でもってここに島成園「無題」も。右目下の痣を隠すことなく前を向いて。

「2章-5 一途と狂気」。
鏑木清方が2点。大きな牡丹を背中に入れている「刺青の女」、近松門左衛門「冥途の飛脚」を題材にした「薄雪」。ただ、この2点は表情が一途そのもの、かな。勿論内面は狂気に踏み込んでるとも言えるけど。一途って怖いよね…(あ)
島成園「おんな」は長い黒髪が美しいのだけれど、脱げかけている着物が般若の面で、表情も般若を映しているようで。
そしてここで投入される上村松園「焔」。
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こちらは所蔵の東京国立博物館でお目にかかってはいるのだけれど、これこそ「一途が過ぎた狂気」。「源氏物語」の六条御息所が生霊となる姿だものね…。
「おんな」「焔」は4/4までの公開。


「3章 エピローグ 社会は変われども、人の心は変わらず(大正末~昭和)」。
メインは小村雪岱なのだけど、個人的には高畠華宵の絵に。普通に大正のモダンな少女絵を楽しむ。あ、でも、「サロメ」があったんだよね。「2章-1」でミュシャのポスターが出ていて、そこに「サロメ」があったので、地味に対比かもしれない。


全体的に濃い展覧会だった。後期も拝見したい絵はあるから、ちょっと気にかけつつ。