時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

MOMATコレクション@東京国立近代美術館

www.momat.go.jp

今回は「美術館の春まつり」というテーマが1つ。そしてもう1つのテーマが「東北」。とはいえ、もう1つの方はあまり触れる機会がなかったりする。

ざっと雑感。

1室「ハイライト」。菊池芳文「小雨ふる吉野」は春ならではの一品。桜は艶やかで、背景は小雨の中に薄く浮かび上がって。

2室「物語る絵画」。今回の中心は中沢弘光と中村不折
中沢弘光は今回4点出てたけど全部好きだなあ…。光の使い方なのか。「花下月影」は画面全体暗い?となるんだけど、よくよく見ると薄く光が当たっているところがとても輝いて見えて。
中村不折は「廬生の夢(邯鄲)」が。こちらは室内の光に照らされる男性3名。人体デッサンが正確だからか、なんだか素敵な感じになってる。

5室「「猟奇」と「尖端」の時代」。
長谷川利行「カフェ・パウリスタ」…解説に「テレビ番組に鑑定に出した」って、それはつまりなんでも鑑定団…。多分番組で拝見してるな…(そのものかどうかは不明だけど、
長谷川利行が出てくる時は必ずこの絵が出てくるはず)。そこから東京国立近代美術館に購入されるとは…。
確かに絵としてもなかなか素敵ではあるのだけど。

8室「1970-80年代の版表現― 拡張する版概念のなかで」。
近現代なのであまり得意ではないんだけど、東谷武美「日蝕」のシリーズは割と嫌いじゃないなあ…。溶ける氷のリトグラフ作品。

10室は日本画「春まつり」。
部屋の入り口の真正面に東山魁夷「青響」を置くのはなかなかに狡い配置(そして当然のように引っかかる書き手)。
で、その壁の並び、少し離したところに奥田元宋「磐梯」を配置しておくニクさよ。まあ、「磐梯」は「赤」ではなく全体的に白い雪山と空と木々の黒さ(空は少し赤みがかってる?)が対比になっている絵ではあるけど。
その2つの絵の向かいには、新版画。
土屋光逸の「大阪城の月夜」「祇園の夜桜」、どちらもいい。夜桜だから桜をきっちりと描いてないんだけど、その色の風情もいいし、前者は月の光で少し白ずんだ空と雲、後者は提灯の光が人々の着物を照らす感じが良くて。
川瀬巴水「井の頭の春の夜」の薄暗がりの夜桜と、その夜桜が月の光で水面に映るのが良く、「目黒不動堂」はお堂の朱塗りが目に入るけど、奥に可憐な桜が。
で、椅子が置いてある室内では、速水御舟「夜梅」がとても美しく。上は月の光に照らされて明るくて、下が夜の闇を表す墨が広がっていて、そこに梅が小さく光るように点々と。
そして桜といえば跡見玉枝。「桜花図巻」も「桜花図屏風」も美しい。
今回は絵だけでなく着物も。釜我敏子「型絵染着物 春の野」。遠めだと少々地味に見えるけど、実は模様がかなり細かく入ってる。

11室。児玉靖枝「ambient light ― sakura」に会うのは何度目になるのかなあ。でも毎回美しくて見とれる、儚い桜。

今回、12室は映像と写真作品が多く、企画展も「幻視するレンズ」という写真作品の展覧会で、当然9室も写真なので、そういう系が強いイメージがあるかもしれない。12室は普段は現代美術なので、もしかしたら少し親しみやすかったかも。


この日はまだ続く。