時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東西美人画の名作 《序の舞》への系譜@東京藝術大学大学美術館

museum.geidai.ac.jp
プーシキン美術館展よりも混雑。そして年齢層が高め。

最初に「美人画の源流」コーナー。江戸時代の女性画から浮世絵へ。鈴木春信・鳥居清長・喜多川歌麿とかが最初の掴みってのも凄いなあ、と。書き手は浮世絵はまだわからないのだが、喜多川歌麿の描く女性の着物がいちいち素敵ですなあ…。

で、ここからが本題の明治以降の美人画に行くのだが、まずは「東の美人」。要は東京画壇の美人画。いきなり菱田春草「水鏡」できゅんと。表情がいいんだよねえ…。実は絵に附属している解説はネガティブなんだけどね。個人的には裏の意味は考えず、この表情だけ見ていたいなあ…。あと、インパクトが強いのは三浦孝「栄誉ナラズヤ」。死屍累々の戦場に「浮かぶ」美しい女性。…栄誉、が女性なのかな。女神なのかな。戦乙女なのかもしれない。女性の絵がとても美しいから、余計に複雑に。さて、「三園」の一人、池田蕉園の美人画も。「宴の暇」も「さつき」も、表情が「ただの美人」じゃない感じがいいなあ。で、後の方にどーんとあるのが鏑木清方鏑木清方「一葉」今回初めて見たんだけど(元々藝大美術館所有なので、常設グッズで絵葉書すら作られてるのだけれど)、あの凛とした表情が個人的にツボすぎる。そして絵葉書を買う(あ)今回、「たけくらべの美登利」と「にごりえ」を飾っているので、樋口一葉づくしになっている。「にごりえ」で描かれているお力がとても素敵なので、ちゃんと読もうかな。でもストーリーを知るだけで明らかに男がアレなのがなあ(ぼそ)「にごりえ」は鎌倉の鏑木清方美術館が元々所蔵しているのだけれど、また、よりによって小町通り通らなきゃいけないハードルの高さよ…(土日激込みだからなあ…平日ならマシなのか)。

次が「西の美人」。関西画壇の美人画。菊池契月の「散策」の昭和初期の女子がかわいい。あと、土田麦僊の「大原女」、先日山種美術館で見た大判のものではない絵があったのだけれど、こっちの方が好きだなあ。そしてこちらには「三園」の一人、島成園の絵が。「春の愁い」が好きだなあ…。「西の美人」にはインパクトの強い絵は甲斐庄楠音「幻覚」ぐらいなんだけど、梶原緋佐子「老妓」はしみじみと深くていいなあ。

で、最後に「美人画の頂点」ということで上村松園。…眼福、という言葉しか出てこない。「序の舞」は勿論当然のように素晴らしいのだが、「虹を見る」の女性の表情とか、「鼓の音」とかもうねえ…。
上村松園は勿論クライマックスだったしいい絵ではあったけれど、他もとても素敵な絵が多く、全体的に眼福な展覧会だった。