時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

渡辺省亭 欧米を魅了した花鳥画@東京藝術大学大学美術館

museum.geidai.ac.jp

お待ちしておりました。


渡辺省亭―欧米を魅了した花鳥画―
公式でも「次はこれだ!」と宣伝されている。
とはいえ、渡辺省亭、拙ブログでは言及される頻度が高い。最初は山種美術館で、でもって加島美術で火がついた、と。
morina0321-2.hatenablog.com
morina0321-2.hatenablog.com
morina0321-2.hatenablog.com

会期前から宣伝が多いので(NHK主催というのもあるのかもしれない)、混雑するのかと戦々恐々。でも前日に確認したら、前売券も会期開始後も日時指定制でなかった。
とりあえず前売券を購入し、どんなものかと美術館の前まで行ってみたら、人混みもなかったのでそのまま入場。
結果的に、1作品を一人でじっくり見ている時間も発生するぐらいの入り。まあ、開始2日目だし、本日は悪天候予想だったので丁度良かったのかもしれないが。
あ、東京は(あと岡崎と静岡に巡回)前期と後期の2会期制。半分ぐらい入れ替わるよ。

書き手は今回は久々に音声ガイドをお借りする。ナレーターは声優の安井邦彦さん。その界隈微妙に疎いから存じ上げないかも、と思ったらKOF八神庵と聞いてびっくりしたり。美術史家の山下裕二さんの特別解説つき。

会場は地下2階の2会場、でもって3階の1会場。
地下2階の第一会場は渡辺省亭の解説映像展示。作品の展示は第二会場からスタート。

最初にいきなり並ぶ楕円形の額風展示。
これは…迎賓館赤坂離宮の「花鳥の間」!
morina0321-2.hatenablog.com
飾られてるのは濤川惣助作の七宝ではなく、東京国立博物館所蔵の省亭の原画。一度拝見したいと思っていたものが…!
今回は「小宴の間」にある「海の幸」の原画も展示(同じく「小宴の間」にある「山の幸」の原画は後期展示)。

それから数点は…概要というかハイライト的だったのかな、美人画あり花鳥画あり七宝あり。

で、その後は「欧米を魅了した花鳥画」ということで、海外で購入されている省亭作品。
省亭は「一番最初に海を渡った日本画家」なのだそうで。就職先の起立工商会社の社員としてパリ万博に派遣されてる形。海外でも人気があった様子で、今回はメトロポリタン美術館の「花鳥魚蝦畫冊」が日本に来ている。
マネの弟子が買い求めたらしい「郡鳩浴水盤ノ図」はフリーア美術館なので流石に来れず(フリーア美術館は外部への絵画貸し出し禁止)。
けど、海外滞在中に色々交流して、エドガー・ドガの目の前で描いてあげた「鳥図(枝にとまる鳥)」が、海外からこの展覧会に来るとか凄いよな…。しかし、ドガも気難しい人間で、省亭もそんなに人付き合いするタイプじゃないのに、よく繋がったな…(え)

次は美人画
省亭の女性を描いている絵はその前に何度か拝見して、その美しさは分かっていたけれど、鏑木清方が省亭の絵の箱書きをしていたりして、評価は元々高かったのね。
…ただ、清方、ある意味孫弟子的な意味合いもあるしなあ。
morina0321-2.hatenablog.com
省亭に水野年方が習っていて(省亭が弟子をとらなかったので弟子とは呼びづらいんだけど、一番長く習っていたのが年方みたい)、その弟子が清方だし。
今回かなり点数も出ていて眼福。加島美術で拝見した「小松曳」も前期展示で出ていたよ。
ああ、そうそう、観音様も数点出ていて(省亭も信仰篤かったそうで)、こちらもとても綺麗。加島美術で拝見した「中観音左右波之図」の観音様、美しかったものね(後期にこちらの展覧会でも出るよ)、と思ったら、美人画コーナーの前のハイライト的なところで拝見した「龍頭観音」での音声ガイドにて、こちらが省亭の奥様によく似ているとのことで。息子さん(俳諧師の渡辺水巴)曰く「別嬪」だったとのこと。実は吉原の出だったりするしね。
美人画は歴史題材のものも結構あって、師匠の菊池容斎の影響なのかな。

また、途中のケースにあるのが本の挿絵。
「該撒奇談 自由太刀余波鋭鋒」はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」の坪内逍遥訳なんだけど、そちらは洋装の挿絵を描いているという。珍しい。
裸体画の挿絵もあったりする(美人画でもいくつかあるけど)。これ、「裸体画論争」になったそうで。

その後は結構大型な花鳥画が並んで第二会場は終了。

3階の第三会場は、少々スペースをとって大型な作品を1つづつ。
展示のこの気合の入りようよ。
https://twitter.com/seitei2021/status/1375325227542974466
※設置風景が公式twitterにあるよ。
https://twitter.com/seitei2021/status/1374647179113992193
今回の展覧会のポスターにも選ばれた「牡丹に蝶の図」。

また、第三会場の奥の方には「省亭花鳥画譜」(画集)と編集主任を務めた「美術世界」の木版画。「美術世界」は本当に美しい。彫師も摺師も一流を使っていたとのことで。

でもって第三会場の左側に、渡辺省亭原画の濤川惣助七宝作品。
静嘉堂文庫美術館で拝見した「七宝四季花卉図花瓶」も出ていて再会。
morina0321-2.hatenablog.com
起立工商会社に就職→濤川惣助の原画を描き始めた、という流れなのは、今回初めて知ったかも。


さて、ここまで殆ど会場の展示がどうなっているかの話しかしていない。
…いや、だって、作品全部が素敵過ぎて、どれが好きとか指定できないんだもの…。


で、この衝動買い。まだ全然読めていないので、時間とって読むよ。

後期も行きたいけれど、どうだろうね。

続く。