時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

渡辺省亭生誕170年記念 鏑木清方と渡辺省亭  ―江戸画人の水脈―@鎌倉市鏑木清方記念美術館

こちらがあると最初に聴いた時、「鎌倉に来いと…?」となった。
いや、移動はそこまで問題ないのだけど、鎌倉市鏑木清方記念美術館って、鎌倉でも屈指の混雑地域・小町通りを通らないと行けないので。休みの日にあそこを通るのは遠慮したい…。
そう思っていたら、丁度会期終わり直前に平日休みがとれたので、これ幸いと鎌倉へ。
鎌倉へ行くのに普通グリーン車を使ってみたりした。
割と長距離乗っていくことを考えたら、空いてて超快適だったなあ…。


www.kamakura-arts.or.jp

というわけで「推し作家が推し作家を推す」企画(違)
morina0321-2.hatenablog.com
いやあの、こちらで清方が省亭を敬愛してたのは存じ上げていたけれど。
ちなみに作品リストはなかったのだけど、ガイドペーパーがあって、そちらには「私淑」と書かれていた。そこまでの思いだったんだね…。
ところでガイドペーパー、「(酒井)抱一から(柴田)是真-省亭へと流れる一脈の風韻」と書かれた文献が掲載されてて、書き手の好みを指摘するのはよせ!となったとか(あ)


展示室はそこまで広くない(入館料もお安いしね)。
省亭の絵は、掛け軸4枚(プラス2枚が書の掛け軸)と、清方が保管していた美術雑誌「美術世界」。
この雑誌、省亭が編集やってて、更に絵を多数描いてたもの。所謂推し雑誌ですねそりゃあ保管しますよ(うるさい)。
「美術世界」は引き出し型のガラスケースに入って、引き出しを引いて絵が拝見できる工夫がなされていた。
で、沢山拝見できたのだが…途中に柴田是真の挿絵も入っていたんだが。え、これ是真の絵?省亭が模写したのでもなく?年代的には本当に最晩年の絵でもおかしくないが…。
…真筆にしろ模写にしろ、凄いもの拝見させてもらってない…?是真と省亭もちょっと所縁があるしね。
一方、掛け軸は、上記の展示会で拝見した「向島雪景色」(清方旧蔵!)「牡丹に蝶の図」、今回初めての「御殿山観花図」「龍図観音」(観音の絵は複数拝見しているけれど、こちらは初めてだと思う)。
「龍図観音」は他の絵と同様に観音もとても美しいのだけれど、龍の目がなんとも言えなかったなあ…。

それだけではなくて、やはり清方が旧蔵の菊池容斎(省亭の師匠)の画譜や、省亭の唯一レベルの弟子、かつ、清方の師匠の水野年方の絵も数点。
勿論、清方自身の絵も。
十代で描いた「栗をむく娘」に「寒月」。
「寒月」は瞽女とその小さな娘が夜に橋を歩いている絵なのだが、この抒情的風景を19歳で描いてるの…?ひええ…。
二十代で描いた「浅みどり」は解説通りに梶田半古風。
「栗をむく娘」の横に69歳で描いた「砧」があったのだが…「栗をむく娘」だって決して悪くない絵なのに、「砧」は…女性の肌が違う…!ほんのりと血色があって、色気が仄かに。
そうかと思えば、85歳で描かれた「雑司ヶ谷会式」は、雑司ヶ谷の郷土玩具である「すすきみみずく」が描かれてて、これがとても可愛い…。


展示室とは別に、清方の仕事場の再現(ここは写真OK!)や、日本画の道具の展示(これも写真OK)。
更にその上にもしれっと省亭の絵が展示されていたり。
日本画譜」の「四季の風景」。こちらは年方の旧蔵だそうな。小型だけれど、それぞれの細部の色が…鳩の羽…鼠の毛並…。


小さな美術館ではあるのだけど、個人的にはかなりの盛沢山であった。
推し作家が推しあってる凄い状況…。
ありがとうございました。


流石に、美術館だけで鎌倉というのもアレなので。


美術館の近くの「Dolce far niente」でランチを。鎌倉野菜のランチがとても鮮やか。ワインがあるのはええとまあ。


続く(これではしごするの?)