時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

入江明日香展 -浮世絵が結ぶ、江戸と現代-@那珂川町馬頭広重美術館

とても悩んだ。本当に悩んだ。
最寄り駅が家から遠い、は、まあいいの。というか、宇都宮駅から数駅だし本数もそこそこだし。
最寄り駅からバス1時間弱(!)、しかも日に数本ってのが問題でね…?



頑張りました。

那珂川町馬頭広重美術館。
美術館…なのか…。随分平べったい形をしておられる。

というか、この入口の感じ…どことなく根津美術館の入口っぽい感じ。
那珂川町馬頭広重美術館、根津美術館と同じく隈研吾設計。


www.hiroshige.bato.tochigi.jp

入江明日香の個展は何度か伺っているが、今回は馬頭広重美術館所蔵の浮世絵との比較とか関連とか。
同じ版画というのもあるけれど、浮世絵オマージュしている作品もございますしね。
前後期制。書き手が伺ったのは前期。


写真全てOK。…全てOK…!?(たどり着いてから知って、大いにびびる)


最初は小部屋といった感。
「時空を超える広重ブルー」。
ええ、まあ、馬頭「広重」美術館なんだからそりゃあそうなんだけど、歌川広重と入江明日香を並べるのはその…書き手の天国でしかないんだけど…?色彩が…色彩が凄い…。
入江明日香の六曲の屏風形式「江戸薄墨大桜」はこちらで拝見した時に拝見した記憶がある。
morina0321-2.hatenablog.com

珍しく一部を載せる。美しい…。
歌川広重は肉筆画「冨士十二景 両国橋下・甲斐大月原」まで出ていてひえええと。
とても儚げな幽霊(?)的に描かれている月岡芳年「月百姿 夕顔巻」(源氏物語の夕顔、植物の夕顔も添えて)とパキっとした色彩の小林清親「武蔵百景之内 鉄砲洲高橋佃島遠景」も同じ部屋に。

そこからは大広間に。
最初は歌川国芳・三代歌川豊国(国貞)の「小倉擬百人一首」が。実は広重も合同で書いているシリーズらしいのだけど、今回は国芳・国貞の描いている分。意味を込めてるものなので考えると楽しい、のかも。

続くは入江明日香「四季草花図」「秋草花図」は掛軸形式…というか…描き表装…!表装の部分まで凄い美しいんだが…。
次は二曲の屏風形式、「東京」と「Paris」。別作品だけど「二曲一双」扱いなんだろうなあ。現実の地名で東京タワーとエッフェル塔…が異世界に取り囲まれてるという。
続くは先日拝見した「黒雲妖炎龍図」。
morina0321-2.hatenablog.com
でもって横浜で拝見した四天王がここに!「多聞天」様のお写真が撮れる…!(落ち着け)

で、また国芳作品を挟む。
「武勇准源氏 夕顔 武蔵坊弁慶」は、「源氏物語」で夕顔の君が五条に住んでいたから、五条大橋の弁慶と牛若丸の出会いを描いている、という、随分遠回りした絵に。

そしてここからは、歌川広重東海道五拾三次」シリーズと、入江明日香がライフワークにしようとしている「平成 東海道五拾三次」シリーズを並べて展示しているコーナー。
…もう令和だけど平成でいくみたいですが(あ)
勿論、広重の原画リスペクトもある。
例えば、「日本橋」は右下の橋の欄干の下にいる犬2匹を、「平成」でも描いていたり。
が、「平成」は…飛脚もぼて振りもいるけど、洋装の男性やら女性やらも歩いているし、どこかの承認みたいな二人がスマホ持ってたり。か、カオス。
このシリーズが現在「日本橋」から「神奈川」まで4作品。…53、行けますかね(遠い目)

こちらで拝見した「L'Alpha et l'Omega」も出ていた。
morina0321-2.hatenablog.com
この日、あまりお客さんがいらっしゃらなかった(部屋に5人もいなかったんじゃ…)ので、前回よりもより細部まで拝見する。六曲一双で50枚近く写真撮ってたり(何してるんだ)。
いや本当に細部で細かいから…。

さて、また昔の浮世絵の作品が。
…んん…?なんかとても線が細くて色の付け方も美しい…?
作者は尾形月耕。初めて拝見するかもしれない(少なくとも今まで言及はしていない)。明治時代の日本画家。Wikipediaによると、菊池容斎に私淑(確かにこの細い線はそうかも…)、(まだ尾形月耕を名乗ってない時代に)濤川惣助に見出されて陶磁の下絵を描いてる、水野年方と新聞挿絵の双璧…なんだその個人的なツボの辺りの傍にいる経歴…。
その経歴がとても説得力のある作品がずらっと。眼福…。
しかも、尾形月耕が描いた「美人花競」シリーズの「藤娘」、入江明日香が、この題材で作品作成…!?
入江明日香の描く「藤娘」そのものは、洋装と言って良いかと思うけれど、コラボ作品としてリスペクトな描き方で。うわあああああ(壊)
藤娘の題材自体も好みだしね…。

最後は、入江明日香のミクストメディアの作品と、その作品ができた後に作成するエスキース、という一対の作品。
エスキースって作品作成する前に作成するものだけど、それ自体が一対になってるのが作品に。
作品はカラーだけれど、エスキースはモノトーン。これはこれで格好いい…。

で、これで終わりかと思ったら。
高島屋のディスプレイで出ていた「勧進帳」のパネル表示…!

とりあえず幸せだったので、展覧会の図録と、画集も購入しましたとさ。

グッズはそこまで購入してないけど、缶バッチを少々。



問題は、その後のバスが3時間なかったったことかな(遠い目)
とりあえず美術館併設のギャラリー&カフェにお邪魔して、おそばを頂く。ギャラリー兼ねていて、その時は沖縄のやちむんを多く展示していて(元々やちむん推しではあるのかな)目でも楽しい。

それでも時間は潰せないので、すぐ傍の那珂川町郷土資料館へ。
www.nasufudoki.com
旅行先(日帰りだけど)の歴史を知るのは面白い。書き手は歴史を学んでいたくせに日本史が全然分からない人なので(世界史だった)本当に知らないことばかり。
この辺りは砂金とかたばことかが産業の1つだったんだなあ、とか(そういうの知るの好き)。
土地柄、那須与一は関連していて、日本画の「那須与一図」の複製が出ていたのだが、作者が小堀安雄。小堀、ということは…と調べたら、やはり小堀鞆音の息子さん…!色の使い方が小堀鞆音っぽいんだよねえ、また。
ちなみに小堀鞆音、現在の佐野市辺りの生まれだそうで。栃木の人なんだな…。
あと、個人的にちょっとアガったのは「クラインの壺」。こちらをガラスで初めて実物化したのが、那珂川町出身のガラス技術者・大野貢(みつぎ)なのだそうで。
クラインの壺、知識としては存じ上げていたけど、生で拝見することになるとは…。
大野貢はその他にも日光東照宮ジオラマをガラスで作成していたりしていた。


後は馬頭の町をぶらりとしたりして、なんとか時間を潰して帰宅。
遠くに伺ったらそのまま異世界に飛び込んだような展覧会、とても楽しかった。


おまけ。


宇都宮駅で出くわしたもの。なかなか拝見できないのでおっと。
宇都宮駅では駅ホームから、例の宇都宮ライトレールも拝見したりした。




余談。
馬頭広重美術館、最寄り駅の1つである氏家駅でバスを待つ間、どうしようかと思っていたら。


Hondaのレーシングカーとバイク展示が行われておりました。
別ブログでもモータースポーツには明るくないのだけれど、メカを見るのはそんなに嫌いじゃないよ。
なかなか拝見できないものなので、ありがたく。