時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

美男におわす@埼玉県立近代美術館

北浦和駅には別趣味の用件で結構行くのだけど、西口は初めて。
大きな駅が周囲にあって商業系(大宮駅、浦和駅)もエンタメ系(さいたま新都心)もそちらで、住宅地とか文教地区とか、そんな感じで、結構落ち着く。駅前は食事系のお店多そうだけど。
埼玉県立近代美術館は県営の北浦和公園内にある。県営だけど、駅のすぐそばってこともあって、そこまで広い公園ではないのかな(大宮公園に比べればの話)。市民の憩いの場みたいに使われてて、個人的にも悪くないなあと眺めていた。
埼玉県立近代美術館の建物自体は結構スタイリッシュな感じがした。黒川紀章作品なのね。

pref.spec.ed.jp


正直、この展覧会タイトルで伺おうかちょっと悩んだんだけど(え)タイトルは「美男に「おわす」」(美男でいらっしゃる)の意だそうだけど、「美男「匂わす」」でも取り方は自由、とのこと。要はイケメンパラダイス展覧会、と(だめな取り方してる)。
まあ、個人的な来訪動機は実は展示作品ではあったんだけども。
前後期制で、展示が結構変わる様子。


第一章「伝説の美少年」。歴史上で美形と扱われた人物とか、仏像というか童士像とか。
最初は谷文晁「稚児文殊像」から(後期は別の絵になるかと)。
いきなりビッグネームきたなあ、と思っていたら。


お目当てを間髪入れず叩きこまれて興奮する書き手。
今回、入江明日香が出品ということで来たようなもので。そして今回、一部写真OKなのだが、入江明日香の3作品は全て写真OK。これは予想してなかった…。
写真の「L'Alpha et l'Omega」は結構新しい作品で(2020年初頭の松坂屋名古屋店が初出でしたかね)、こちらで拝めるとは…。格好いい(けど一筋縄で表現できない)武者絵の六曲一双の屏風だけれど、細かく愛らしい人やキャラクターの武者が随所に…。作者独特の世界観。
あと2点は以前下記で拝見した「四天王」のうち、イケメンな「持国天」と美童の「廣目天」。
morina0321-2.hatenablog.com
いずれの作品も丸沼芸術の森所有(朝霞市)、というか、入江明日香のアトリエがこちらになるのかな。
ちなみに入江明日香作品は通期展示とのこと。

ええと、書き手がいきなり出オチレベルでエネルギーを使い果たしたのだけれど、他の作品だと、モティーフが天草四郎源義経平敦盛…とまあ出てくるよね、という。
名古屋山三郎は存じ上げなかった。戦国時代の「天下三美少年」の一人なんですな。
個人的には敦盛モティーフの今村紫紅「笛」が気になった。緑の着物の美しさと、繊細な表情と。
あ、山岸凉子の「日出処の天子」のカラー原画がこちらに。「日出処の天子」、読んだことないけど気にはなっている漫画ではある。


第二章「愛しい男」。ええと…稚児・小姓・若衆とか、大正デカダンスとか耽美系とか…。
個人的には若衆文化に無知なので、普通に勉強になるなあ、という。振袖着るのは存じ上げてたけど、前髪があるとかないとか野郎帽子とか、へええ、と。
ここに鈴木春信「寺小姓と上臈」があったり。
そして、先日存分に堪能した、高畠華宵。大正デカダンスに分類されるのかな。
morina0321-2.hatenablog.com
勿論、弥生美術館からお借りしている作品群で、殆ど先日の展覧会で拝見しているのだが、肉筆の掛け軸「うららか」は初めて拝見したかな。上が袖と胴に市松模様が入った着物、下が縞模様の入った袴で、相変わらずお着物が素敵で。
で、現代の耽美系として展示されていたのが魔夜峰央。「パタリロ」と「翔んで埼玉」かな。
あ、そうそう、前述の春信もそうなんだけど、今回、島根県立美術館所蔵の作品が結構ある。
実はこの展覧会、島根県立石見美術館で以前「美少女の美術史」という展覧会を実施していて、石見美術館が「次は男性で」と提案したものに埼玉県立近代美術館が賛同して開催されたのだそうで(埼玉県立近代美術館のニュースに書かれてた)。
なので、この展覧会は島根県立石見美術館へ巡回するし、島根県立美術館所蔵の作品もお借りしやすかったのだろうと思う。島根県立石見美術館所蔵の作品も1作品(作者不詳の風流踊の群像を描いた「舞踏図屏風」)もあった。
島根県立美術館島根県立石見美術館の展覧会情報はたまに流れてくるのだけれど、結構気になる展示をなさっていて(後者は「民藝」系展覧会を開催中)、なんとなく気にかかってはいる。


第三章「魅せる男」。歌舞伎役者モノ。
この辺りは書き手が全く詳しくないんだけど、新版画で役者絵を手がけている作家もいらっしゃるんだね。鳥居清忠(五代目)とか山村耕花とか。前者は鏑木清方にも師事しているとのことで。それは美人画を拝見したいものだけど(あ)


第四章「戦う男」。
歌川豊国(三代)・歌川国芳月岡芳年と武士というか義士モノがいくつも。個人的には芳年はやや血が多めの義士の絵よりは、美人画が好きなんだけどね…。
高畠華宵はここにも作品があったけれど、伊藤彦造「阿修羅天狗」が気にかかった。華宵と同じようにペン画の挿絵画家。作品はちょっと前の少女漫画の美青年という風で。弥生美術館所蔵なのも分かる気がする…。
で、この章、一番最後にテレビアニメシリーズ「聖闘士星矢」のOPとEDの映像(と一部画像と設定資料)が。…展覧会のノリがよくわからなくなってきた…。ちなみにアニメはあまり見てない(原作は雑誌で途中まで読んでいる(年齢バレが…)はず)けど、青銅で選ぶならドラゴンかなー(え)


第5章「わたしの「美男」、あなたの「美男」」。現代作品と言って良いかな。
とりあえず、コーナー最初にずらっと並ぶ「JUNE」と「風と木の詩」の原画。竹宮惠子、お名前は拝見するけど割と縁遠いかな。
で、丁度対角によしながふみ「大奥」の複製原画が展示されていたのだが、正直「風と木の詩」の対角なら「きのう何食べた?」の原画を飾ってジルベール並べればいいのにとか(知ってる人しか分からないネタ)(展示会の趣旨が変わるからやめなさい)あ、「きのう何食べた?」はドラマで拝見しております。
閑話休題。現代作品なので、絵画だけじゃなくて彫刻・立体作品や、写真もあったり。展覧会のポスターになっている川井徳寛「共生関係~自動幸福~」もこちらに。
写真OKのものも多かったけれど、個人的にはツボは少な目だったかなあ…。現代作品は頭で解釈しなきゃいけないものが多いので、難しいんだよね…。


あんまりイケメン自体には興味のない(問題発言)書き手だけれど、まあこれはこれで面白い切り口の展覧会ではありましたよ。
売店で入江明日香グッズ沢山あったし…(財布の紐が緩む)


続く。