時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

水のかたち―《源平合戦図》から千住博の「滝」まで―@山種美術館

前回の近所なので、歩いて。
www.yamatane-museum.jp

数年前に、似たタイトルの展覧会してたなあ、と思い出した。
morina0321-2.hatenablog.com
その辺りと作品かぶるかな、と予想しながらも拝見。

最初は以前も拝見した奥村土牛「鳴門」。
この絵、素敵だよねえ。最初に配置するの、分かるなあ…。

で、そこからセクション「雨と霧 -大気の中の水」。
歌川広重の浮世絵がまずあって、個人的にはまず目の保養だなあ、となっていたら。
さっと振る雨と、余白たっぷりの中に散る楓がとても美しい、川端玉章「雨中楓之図」。
雨の表現がとても素敵な川合玉堂「水声雨声」。
雨でけぶる風景がたまらない菱田春草「雨後」。
水墨画だけどとても格好良い横山操「越路十景のうち、親不知夜雨」。
金の地で、影のように橋を描いていてとても幻想的な平山郁夫「ロンドン霧のタワァ・ブリッジ」。
…これだけでも十分満足できるよ…。

続いて「川 -流れる水」セクションは、個人的にはちょっとツボから離れてたかな。

次の「滝 -ダイナミックな水」。
千住博ウォーターフォール」「フォーリンぐカラーズ」は以前も拝見しているけれど、やはり格好いいなあと思ったりはする。
奥村土牛那智」はセザンヌを思わせる、と解説にあって、ああ、それはなんとなくわかるなあ、となったり。日本画としては結構前衛的な気もする。

次の「海 -躍動する水」。
川端龍子は「黒潮」が出たか。以前拝見している、トビウオばんばんのやつ(言い方)。斬新だよねえ。
で、歌川広重の浮世絵をまた挟んで、次にあるのが黒田清輝「湘南の海水浴」…って油彩!洋画!山種美術館って洋画もお持ちだったの…?
絵の内容自体も、小品だけど黒田清輝の群像の描き方という感じで、結構好き。
で、石川響「東海日月」。
morina0321-2.hatenablog.com
石川響は前回の山種美術館で拝見した別の作品でも、おお?となった画家。
今回も、空と海が夕陽の色を滲ませていて、とても複雑な感じになっていて、更に白い月が昇っていて。やはり好きだなあ…。
でもって加山又造「波濤」。17年振りの展示だそうなのだが、とてもダイナミックで格好いい。
で、その丁度向かい側で展示しているのが、石田武鳴門海峡」。こちらも16年振りの展示だそうで。
石田武はそれはそれは美しい桜の絵を描く画家なのだが…いや、これは…美しい…。この海の色は…いいなあ…。桜だけじゃない画家なのですな…。

次は「雪 -氷の結晶」。
随所に歌川広重の浮世絵があって、とても個人的にはありがたい。
一番印象に残ったのは川崎小虎「雪の街灯」。こちらも19年振りの展示だそうで。
なんというか、とてもあたたかい感じがするんだよね。雪の絵なのに。川崎小虎の絵はあたたかな幻想、という感じがする。どの絵でも。

さて、最後は実は水とは関係ない特集展示「日本画に描かれた源平の世界」。まあ、今年はホットな題材ではある。
第1室と第2室(照明を落としている小部屋)で展示している。
小堀鞆音「那須宗隆射扇図」は、扇を射とうとする那須宗隆那須与一)が騎乗したまま海に入っているので、水に関連していると言えなくもない。こちらは那須宗隆を後ろから見ている構図が面白い。
個人的には冷泉為恭「小督仲国図」が好き。冷泉為恭のやまと絵は品があっていいなあ…。


いやあ…予想以上に好みの展示だった…。
山種美術館、まだまだ色々お持ちなのだなあ…。


さて、山種美術館なので、恒例の和菓子タイム。


…いや、本当に思った以上に和菓子でお茶、という見た目でなくなってしまった。錦玉羹(ワイン風味)なんだよね。
千住博「フォーリングカラーズ」モティーフの「水の音」。
柔らかいゼリーっぽい見た目だけど、錦玉羹なので固くて、切る時にびっくりするよ。


目にも口にも美味しく楽しんだ。