時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

この日は総合文化展(常設展)のみ。
メンバーズパス再購入。あ、前回のメンバーズパスは(長期休館があったので)延長措置がとられてたけど、既に期間外だった。正直、元はとってるぐらい通ってるので全く問題ないんだけど。
というか、メンバーズパス、2000円でいいの?今、総合文化展の入館って1回1000円かかるんだけど。2回行けば元とれちゃうよ…。

ちなみに、メンバーズパスがあってもネットで事前予約可能。11/7時点で、「友の会会員等各種無料入館対象の方」を選択すればOK。実は総合文化展のみだと、時間帯がかなりざっくりの予約になる。午前と午後(夜間会館がある金・土は+夕方)。なので、総合文化展だけでも確実に入るのであれば、予約してから行った方がその場での手間はかからないんじゃないかな。「直接窓口にお越しになった場合、事前予約の予定枚数に空きがあれば、そのまま窓口にてご予約いただけます。」ではあるけど。なお、今の特別展も多分、直接で大丈夫じゃないかな…(こそ)

というわけで、気になったところを。
まずは本館から。

本館8階。
「暮らしの調度―安土桃山・江戸」。
今回の衣装物は武家火事装束。町火消じゃなくて、武家に当番制で回ってくるのだそうで。これがとても格好いい。「緋羅紗地注連縄模様」の鮮やかな赤と、頭巾も。

これは頭巾。注連縄のデザインが格好いいとは…。他にも、「紺麻地波兎雨龍模様」は女性用なんだけど、これも女性って感じでなくて格好いい…。

あと、孔雀を撮影してしまう病はなんとかしたい(撮っておいて何を)。ちなみに京焼の「色絵孔雀香合」。陶器は青木木米「染付一輪梅香合」も素敵だった。
一方、「書画の展開―安土桃山~江戸」。
「四季草花図屏風」が個人的に素敵だなあと。「「伊年」印」。俵屋宗達の工房作ということかな。
住吉広尚と板谷桂舟(広隆)が一幅づつ描いている「源氏物語図 紅葉賀・乙女」は、着物が端正で華やかなのが好き。
狩野探幽「草花写生図巻 秋」は写生ながらも見どころが多かったり、酒井抱一「夏秋草図屏風」はやっぱり素敵なんだが、それ以上に写真OKでびっくりしたり。

本館9室「能と歌舞伎」。
今回は「能「紅葉狩」に見る面・装束」。「紅葉狩」自体が華やかな女性絡みだからか、唐物がとにかく華やか。その中にあった「摺箔 淡浅葱地鱗模様」…これはどう見ても蛇の鱗系の…。三角模様が並ぶので綺麗といえば綺麗なんだけど。

本館10室「浮世絵と衣装―江戸」。
衣装はもうどれも素敵だったけど、美しい草花模様の衣装が多い中で、「小袖 紺木綿地璃寛縞模様」みたいなビビッドな縞物があると格好良さが倍増。
浮世絵は、相変わらず歌川広重が多くて嬉しい。「名所江戸百景・浅草田甫 酉の町詣」は、新吉原(火事があった後に移転した吉原、田甫にあったそうで)の窓から猫が覗いている構図も好き(もしかしたら猫じゃなくて、「ひと」を描きたかったのかもとか)。あと、葛飾北斎百人一首宇破か縁説・参儀等」は幾何学っぽい画面構成が格好いいなと。

本館18室「近代の美術」。
別に更新があったという感じではなかったので、ただの通り道にしていたのだが。先日故障してた展示棚が稼働しているのに気付いた(先日のレポートは下記)。
morina0321-2.hatenablog.com
先日よりあった着物展示でもお名前があった、喜多川平朗の上代有文羅の復元が緋色でとても目立つし美しい。更に古賀フミ「佐賀錦紗綾形地花菱文帯「瑞花」」がとても煌びやかで。目の保養。


さて、本館18室を通り道にして平成館へ。
企画展示室の「令和元年度新収品展」。
池田蕉園「髪」が一番の収穫かな。こちらは東京国立博物館Youtubeで解説もしてた。

【令和元年度新収品展】沖松研究員が語る 池田蕉園と「髪」
そして解説を聞いて「8年紆余曲折があって」に遠い目をしたりして(あ)
あとはエジプトの「セティ2世銘入浮彫断片」(要はヒエログリフの石碑)があったり、黒田清輝の絵があったり。黒田清輝の絵は「西洋婦人像」が好き。
で、ついでに考古展示室もぶらりと。江戸の玩具として土製面打(今で言うメンコ)と土人形が出ていたのが興味深い。これも考古のジャンルになるのね。


そこから法隆寺宝物館へ。
6室の染織がまた変わっていた。今回は文様があるものが結構な残り方をしていて、凄いなあ、と。緋氈は厚さがあるから残りやすいのかな、とも思ったり。


で、お昼をキッチンカーで頂いた(結構がっつりだったチキン丼)後、東洋館へ。相変わらず5階から。

東洋館10室。
「朝鮮時代の美術」で、綺麗な屏風が。屏風を飾っている赤地の布の刺繍が素敵。

東洋館8室。
「中国書画精華―古典の魅力―」、後期展示。ただ、前期よりはあまり好みではなかったかな…。「放犢図軸」と「離合山水図軸」は好みだけど。

東洋館5室。
「中国の染織」は「名物裂III 「間道・錦」」。
間道は縞模様。これが格好いい!渋い配色からカラフルなものまで。これは書き手が楽しい。
錦物も色々あって興味深い。「蝦夷錦陣羽織 縹地牡丹鳳凰龍模様」は、中国の錦がアイヌ経由で渡ってきた蝦夷錦を陣羽織にしていて、とても派手で格好いい。どこかの舞台衣装と言われても不思議じゃない感じ。
一方、「中国の陶磁」には、何故か金属の光沢が出ているものが。「銀五花形皿」とか「銀鍍金梅花文輪花形杯」とか。「鍍金」だからメッキなんだろうけど。
でもって、「中国 墳墓の世界」。
副葬品で生活に関わるもののミニチュアを「死後の世界で困らないように」埋めることはよくあるけれど、その中でおっとなったのは「灰陶豚圏」(「子持豚」もセット)。広場に豚がいて、隅に作られてる小屋は人間のトイレで、要は人間の排泄物を餌にするというシステムで。そ、そこまで細かく作らなくても…。

東洋館4室。「中国文明のはじまり」。
今回おや、と思ったのは「封泥」。木簡や竹簡や荷物を紐で縛ったところにつける、開封防止(開封されると分かってしまう)のもの、要は「封蝋」を泥で作ってる。前漢時代のものみたい。
→追記。東京国立博物館Youtubeで解説があったのでリンク。

【オンライン月例講演会】2月「中国古代の封泥 ハンコ行政のはじまり」谷特任研究員
更に今回は初期の貨幣と、貨幣を作る型「石笵」が出ていて、なかなか興味深い。
その中に「熨斗」が。「のし」じゃなくて「うっと」と読む。熨斗自体は熱した炭を入れて、その熱で布の皺を伸ばす、要は古代のアイロン(日本だと「火熨斗=ひのし」)。で、何故か、この熨斗は炭を入れる部分の底に、貨幣が鋳込まれている。「蓄財のまじないか、もしくは貨幣をこっそり鋳造」(説明ママ)…後者だと、要は贋金…?

東洋館13室。
今回の「アジアの染織」は「カシミヤ・ショール」。
インドなのでペイズリー柄があるので、個人的にはものによって好き嫌いあり、という。ペイズリー柄が目立たないつくりのものが割と好き。
後は「プルカリ」と銘記された幾何学模様の布。パンジャーブ地方の刺繍布のことだそう(現地発音だと「フルカリ」だとか)。これは格好良かった。
で、衣服物も。「コート 金茶色繻子地花唐草文様刺繍」は本当にとにかく刺繍が凄くて豪華。「緑地縞織袖無しコート」はどちらかといえば渋くて素敵。どちらも男性物なのね。後者は女性のワンピースかと思った。
そしてもう一つの面白衣服展示は「パージャーマー」。インドのズボンのこと。「パジャマ」の語源をまさか見ることになるとは…。
あ、今回珍しく写真禁止のものがあるので御注意。あまりこの展示ではないのでびっくりした。
で、13室は普段は「アジアの民族文化」があるんだけど、今回はその展示がなく、「インドの細密画」が拡大していた。
あまり細密画には詳しくないのだけど、今回ジャイナ教の経典「カルパ・スートラ」の一部が展示されていたのが気になった。
morina0321-2.hatenablog.com
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国立西洋美術館での写本装飾展示で見たものにちょっと似ている。装飾されていて挿絵が入って。


さて、今回は東京国立博物館の景色を撮影している。庭園まで歩いたというのもあるけれど。
いくつか載せて締め括り。