時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

年始の御挨拶(何が)今年最初の年間パスポートドヤァ。

とりあえずコーヒーでも飲みたいなあ、と思っていたら、キッチンカーがまだいた。クレープのキッチンカーだったので、クレープとコーヒーで外のベンチで休憩。
休憩してたらいきなり明るく。博物館の点灯を見届けてしまった…。

まずは法隆寺宝物館。4室の木工は江戸時代のものだったので軽く見るだけにして、6室。
書跡―日本の古経典―に「梵網経 下巻」。紺地金泥でとても綺麗。
染織―蜀江錦と繍仏裂―の1つは「蜀江錦」。中国・蜀で作成された錦の織物(日本で真似て作られたとも)。「蜀江錦綾幡」は実物と模造が。実物もよくここまで色が残っていたと思うけど、模造が本当に鮮やかでね。「蜀江錦幡残欠」も本当によく模様が残っている。「金銅装唐組垂飾」も本当に綺麗。
そしてもう1つは繍仏。刺繍で描かれた仏絵。2点出ていたけど、これも良く残っていて。凄く大切にされてきたんだろうなあ…。


で、東洋館に移動。展示が変わっている部屋は8室だけだったのでそちらへ。「生誕550年記念 文徴明とその時代」。
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文徴明は書も多いのだけど、絵もいくつか残してる。「蘭竹図軸」は結構好き。
あとは杜貫道賛(あくまでも賛)「離合山水図軸」と、徐渭「花卉雑画巻」が好きだなあ。


さて、本館。
新年なのでいけばなが飾られ、展示も正月物が増えている。いわゆる「博物館に初もうで」企画。
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まあ、とはいえ普通に2階から回っていく。

1室。まずは日本美術のあけぼの。
「踊る埴輪」とか「火焔型土器」とか飾ってきた最初のガラスケースには、「埴輪 鶏」。こんなのもあったのか。なかなかいいなあ。
「みみずく土偶」とか「埴輪 腰かける巫女」とか可愛らしいのがあったり、「香炉形土器」みたいな、なんだか得体の知れない生き物が口を大きく開けているようなのもあったり。
で、仏教の興隆には「如来立像」が。なんだか表情が非常に人間臭いのだが。

2室、国宝。正月は長谷川等伯「松林図屏風」。
いつもの通り、湿った冷ややかな空気を感じながら愛でる。

3室。
仏教の美術で「妙法蓮華経文句 巻第四 (唐紙経切)」や「蝶鳥下絵法華経断簡」の紙と表装にため息をつく。
宮廷の美術で「古今和歌集(元永本)下帖」(古今和歌集で最も最古の写本だそうな)の紙も美しく、「散らし書き書巻」はどこが散らし書きなのか、というぐらいに豪華な書の巻物で。

5室・6室。武士の装い。「鎧直垂 白地蜀江文錦」に反応(衣装なのでつい)。

7室。屏風と襖絵。狩野永敬「十二ヶ月花鳥図屏風」は割と好きかも。

8室、書画の展開。
書は分からないけど、烏丸光広「詠草」、霊元天皇「和歌懐紙「亀万年友」」は凄い素敵な表装。そして書は分からないけどいつもツボに入る本阿弥光悦「芥子下絵和歌巻」。紙に芥子の花をぽつぽつ描いて、その上から書くデザインセンスよ…。成島司直「芝園臥龍梅記並詩歌」は、書は分からないけど梅の絵がとても素敵。金の砂子散らすし。
絵の方は、お正月らしい狩野探幽「富士・三保・清見寺図」と英一蝶「富士山図」が素敵。
で、円山応挙「雪中老松図」。…あれ?
morina0321-2.hatenablog.com
なんか似たような屏風を数時間前に観たぞ、と。でも個人的には「雪中老松図」の方が好き。太い幹と枝と、そこに積もった雪と。

9室、能と歌舞伎。今回は「能のデザインに見る吉祥模様」。
「長絹 紫地扇牡丹菊模様」と「唐織 茶地松皮菱牡丹模様」が個人的に好き。牡丹多いな。まあ、舞台衣装だと映えた方がいいものな。

10室。
まずは江戸時代の衣装。お正月らしい白や紅の地に明るい文様の着物もあれば、縹の地で恰好いいもの、紫と白でちょっと大人っぽいもの、そして黒地で渋くて格好いい「小袖 黒紅綸子地草木鶴亀幾何学形模様」。眼福。
浮世絵は相変わらず鈴木春信・歌川広重が好きではあるのだけど、今回は葛飾北斎「摘草」も好き。北斎美人画も上手いというのもあるんだけど、遠くに見える帆船と、草を摘んでる内の一人の美人がその帆船を眺める、という構図がいいなあ。
で、気になったのは歌川広重「名所江戸百景・するがてふ」。


これ、今でいうと、左側が現在の日本橋三越、右側が三井本店。数時間前にいた三井記念美術館がある。で、絵で言う富士山の方向へ向かうと、東京駅。
…この道、実は三井記念美術館から東京駅に向かう道で、この日も東京国立博物館へ移動するのに歩いた道。なんだこのタイミング…。

特別1室・特別2室。「博物館に初もうで 子・鼠・ねずみ」。
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まずは絵。渡辺南岳「十二支図」でとても小さく描かれている鼠とか(今回特集じゃないの?)、葛飾北斎「麦藁細工の見世物」は十二支の額装が描かれているのだけど、どれも綺麗だったり、それより女性の人形の絵がとても美しかったり。鈴木春信「鼠、猫と遊ぶ娘と子供」は、可愛らしい上に、江戸時代は鼠って身近なペットだったんだなあ、と勉強にもなったり。
陶器だと「白磁宝珠に鼠形筆洗」とか水滴とかが可愛い。そして陶器でもう一つ、「鼠志野鶺鴒文鉢」が。要は鼠色の志野焼。恰好いい…!
鼠「色」としては、鼠色の着物も沢山。これが素敵なんだよなあ。袖の先とか裾にだけ模様を入れてるのとか、地は鼠色だけど模様は明るくて却って目立つのとか、ただの地が鼠色の着物かな、と思ったら、凄い細かく紋様入っている(けどぱっと見模様なしに見える)のとか。これは眼福。


ここから1階。12室、漆工。
新春ということで展示の「御所車蒔絵硯箱」が豪華。
個人的な好みは「橘千鳥蒔絵硯箱」「秋草御簾蒔絵沈箱」「垣秋草蒔絵歌書箱」辺り。
あと、「子日蒔絵棚」のデザインが凄い大胆。浮彫されてるのが星型に見えるんだけど、桔梗の花なのかな。実は伝・本阿弥光悦。違うかもしれないけど、でもデザインの大胆さがそう思わせるんだろうなあ…。

16室。
まずはアイヌ。アットゥシ(樹皮衣)・コザ笛・煙草入・提袋辺りが気になる。
一方、琉球。「紅型衣装 白地竹梅鶴模様」。これはとても綺麗。


で、本館17室からいきなり平成館の考古展示室へ移動。
実はいくつか展示が変わっていたのだが、なかなか行けずで。
まずは埴輪。女子の埴輪がどれも可愛い。やけにファッショナブルで杯を持っていたり、両手をあげていたり、右手をあげていたり。

これは「埴輪 右手を上げる女子」。のってるかーい(あ)

そして気になった「埴輪 盾」。…この、言われなきゃ盾と思わないオブジェ的なのが結構好き。
で、今年の正月から変わった、「古代の経塚ー岡山県安養寺経塚出土品」。「如意輪観音像絵瓦」の観音様の絵が、なかなか可愛らしく、ちょっと色気もあったり。


本館に戻って18室、近代の美術。
柴田是真「雪中の鷲」(今回は絵)は構図が面白い。
横山大観「松竹梅」あらこれは可愛らしい。
渡辺省亭「雪中群鶏」…ぶはあ…何これ…羽根の色とか鶏冠の色とか雪化粧した台車とか…好きすぎる…。
でもって、「光風霽月帖」。錚々たる画家の皆様が書き寄せた帖。…え、どれも凄いよ?個人的には和田英作「夏富士」、菊池契月「八幡伝説」、鏑木清方「澣衣」、橋本関雪「山寺夕照」…ふおお…。目次にそれぞれの画家が題を記載するのだけれど、それぞれ文字も個性があって。小林古径の文字が生真面目で、なんとも性格が出てていいなあ。
工芸だと、初代宮川香山「褐釉蟹貼付台付鉢」が凄いけどリアルすぎる蟹に軽くヒいたり(え)、板谷波山「天目茶碗」が素敵だったり(天目だけど黒釉じゃなくて褐釉だったり)、並河靖之「七宝菊唐草文瓶」は有難く拝んだり。


最後に、特別4室・5室。特別公開「高御座と御帳台」。
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昨年末の来訪の際に、看板だけ出てたね。
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実はこの展示だけ、無料で見られる。入場時にこれだけ見られるパスをもらって入る。
昨年10/22の「即位礼正殿の儀」の高御座(たかみくら)・御帳台(みちょうだい)と威儀物を展示する展示。で、これを観に来る人が結構いらっしゃって、下手すると1時間待ちで入るような代物になっていた。
書き手が入場したのは19時過ぎ、流石に待ちなしで入れる。まあ、金曜・土曜の夜間開館時間が一番狙い目だろう、と。
A5サイズのカラーのガイドブックも貰える。

まず特別4室に、天皇陛下が即位礼正殿の儀で上がる調度(というかほぼ建物)「高御座」と、皇后陛下が上がる調度「御帳台」。
高御座は蓋(きぬがさ、と読む。要は屋根)の頂に大きな鳥が1羽、更に八角形の蓋のそれぞれに小さな鳥が八羽。御帳台には蓋の頂に鳥が1羽のみ。頂の鳥は、ちょっと尾羽が違うので別の鳥なのだなあと思ったら、高御座は鳳凰で御帳台は鸞なのだそうで。鳳と凰とかでもないのか。

特別4室と5室を繋ぐ廊下には、即位礼正殿の儀の写真が。

そして5室には威儀物。弓だったり剣だったり。あまりこの辺は響かなかったのだが、文官・武官・女官の衣装展示が。綺麗だなあ…細部凝ってるなあ…。


大満足の正月展示だった。結局、16時過ぎに来て、退場が20時過ぎてた。