時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

奈良旅行3・所蔵名作展 近代日本の洋画・日本画@中野美術館

和文華館を出て、駅とは逆の方向へ少し歩いて、左折して坂を上って。

この小じんまりとした美術館が、中野美術館。林業の実業家の中野皖司氏が開館したそうで。

今回は所蔵名作展なのでコレクション展かな。

入口入ったところのすぐの部屋が、洋画展示室。サイトの写真を見ると、天井凝ってるんだね…。林業に従事しているからか、木の天井で。
で、まずは日本画家の洋画が。
コレクションとしては、須田国太郎とか鳥海青児は結構集めているみたいで。…またそれは…画面暗めな…(あ)
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須田国太郎が明るい絵を描いてたの、この展覧会しか覚えがないよ…。暗い画面でもいい絵は勿論あるんだけども。
中野美術館は浅井忠も集めているそうなので、そちら中心の方が個人的には良かったなあ…。

そういうわけで、洋画展示室で少し暗い気持ちになりつつ、1つ階下へ。この美術館、坂の上にあるのだけれど、入口が2階という構造。
そして階段を下ったところに、枠で区切られている窓が一面に並ぶラウンジが。
晴れてたら太陽の光が降り注ぎそうな、素敵な造り。
そして目の前には、大きな池が。そしてその先には丘と、その上に立つなまこ壁の建物。大和文華館だ。
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実は大和文華館のバルコニーから見た「川らしきもの」も、目の前に見える池の一部だった。蛙股池という、灌漑用のため池なのだそうな(一説には日本最古だとか)。
いい景観だなあ…。
書き手が観た頃は丁度雨脚が強くなり、池の水面に同心円がいくつも。その中に、水鳥の群れが遊んでいた。
暫く愛でる。

さて、横には日本画展示室。
木の天井にも気づくぐらい、木の割合が多い。椅子も木の切り株の上に座布団が置かれているもので(木の切り株椅子は、ラウンジにもあった)。なかなかいい感じの展示室。
一部が茶室になっていて、茶室の床の間に今回は小林古径「富士」。端正な富士の絵が素敵でいいなあ…。
展示室内に飾られている高村光雲西王母」もいいんだよ。指の感じとかも凄いの。
で、日本画で中心なのは、まずは村上華岳。恐らく何度か絵は見ているが、そこまで印象には残っていなかった。が。
「山科写生」の薄いけどいい感じの色使いがいいなあ、とか、「墨椿」「幽山雲烟」は墨のぼやかしている具合がとても良くて。で、「踊れる少女」がとても可愛い。
そして、もう一つの中心が、入江波光。
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東京国立近代美術館の1室ハイライトで惹かれた、あの画家。
ざっと描いているようでも、妙に雰囲気の素敵な「追羽子」。
淡い色彩でなんともいい感じの「草刈りで帰る女」。
そして、朝焼けの光の色と、それに溶けたような草原の色がなんともいえない「朝に遊ぶ子」。
結構マイナーな画家(画壇を離れて京都市立美術工芸学校(現・京都市立芸術大学)の教授とか、古仏模写とかなさってる方なので)らしいのだけれど、個人的にはいいなあ…。
「踊れる少女」「追羽子」「朝に遊ぶ子」はポストカードが作られていたので、購入。

近所にあったら、ラウンジと入江波光目当てで足繁く通っていたかもしれないなあ…。

出て駅に戻る頃に、ひときわ甲高い声。
何かの猛禽類らしき影が、池に真っ直ぐ降下していくのが見えた。
丁度池の辺りは垣根で見えなかったが、自然の営みを感じる音。

続く。