時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

特別展「きもの KIMONO」@東京国立博物館平成館

www.tnm.jp

久々の遠出はこちらに。
前々から休みを決めていたら、丁度初日だったので慌てて予約したよ…。

書き手は凄い着物好き、というわけではない、と思う。好きなら自分で着るだろうし(そこ?)ただ、本館8室や10室で気が付けば着物を撮影している人間なので(東洋館5室や13室も好き)綺麗な布は好き。というわけで眼福展覧会。
音声ガイド借りないので印象のみで書く。

先に残念な話。今回、メトロポリタン美術館ボストン美術館の所蔵品が出る予定だったんだけど、このご時世で展示見合わせ。
ここから浮世絵が出るはずだったんだけどね。個人的には鈴木春信がそれで「来日」できずで本当に残念。

第1章「モードの誕生」。
安土桃山時代から江戸時代初期(寛永期)ぐらい。今の着物の原型ができたぐらいなので、眼福というよりはお勉強モード。
江戸時代の小袖「染分綸子地松皮菱段草花模様」が地が茶色で地味だけど柄が豪華。

第2章「京モード 江戸モード」。
江戸時代の着物。ここが一番長いセクション。そしてこの辺、ひとによって好みが分かれそう。
書き手は多分、割とシンプルな図案が好き。余白があった方がいいタイプ。あと、江戸時代結構流行った「文字入り」着物がどうにも好きになれなくてね…。
島原太夫の着物(と頭飾り諸々)も出ているので、それも楽しいよ。えらい着物だけど。
いいな、と思ったのは、黒が主体で格好いい小袖「白綸子地梅舟模様」(名前だけだと黒い着物って分からないなこれ)、小袖「紺平絹地菊障子模様」、小袖「茶縮緬吉原細見模様」、振袖「紺紗綾地波折鶴模様」みたいな濃い色の地のものとか、小袖「白紗綾地雲取風景模様」の白地に紫がさっと入ってるものとか、小袖「杢目縮緬地薊蝶模様」の、白地に紫が覗いている面白い地とか。
後はそれぞれのコーナーでトピックスにしたいのが2つ。
まずは「光琳模様-「光林」ブランドの流行」。光琳尾形光琳。今回の目玉だと思う、小袖「白綾地秋草模様」、通称「冬木小袖」(材木商・冬木家のが最初の所有者)。実は修理プロジェクトが動いていて、今回が修理前の最後のお披露目。
cpcp.nich.go.jp
そしてこんな企画も。
www.crypton.co.jp
流石に初音ミクコラボグッズは買わなかったけど、寄付はしてきた。好みストライクゾーンだったし。
そしてこのコーナー、もう1つ目玉がある。何故かすっごいさらっと流されたんだけど。
小袖「藍縮緬地燕子花八橋模様」。着物としても大変好み。現在は松坂屋コレクション。旧所有者・岡田三郎助の名前が解説にある。
…え、ちょっと待って。
www.polamuseum.or.jp
この着物じゃないのかこれ。絵自体は「あやめの衣」だけど、図柄このまんまだよ。オレンジの部分が八橋模様だもの。
→ライターさんが書かれていたので裏がとれました。ありがとうございます。


えええええ、なんでこんなのしれっと出してるの…。そもそも絵よりも先に元の着物見ちゃったよ…(絵もそのうち実物を拝見したく…)
閑話休題。個人的に好みのコーナーだったのが「「いき」の美-町家のよそおい」。シンプル着物の数々。
小袖「青緑縮緬地芋環箏模様」、振袖「鼠羽二重地短冊花模様」辺りがとても好み。
振袖「鼠壁縮緬地波に千鳥裾模様」はシンプル+豪快図柄。格好良く着たいよねーこういうの。

第3章「男の美学」。
男性着物。ということはシンプルなものがどーんと!という期待は軽く裏切られた気はする(え)
安土桃山時代の陣羽織はまあいいとして、後は若衆用とか、派手な下着着る「つう」の美学とか、国芳風火消半纏とかで。派手…ですなあ。
個人的には「男性のお洒落小物」にあった、原遊羊斎の印籠とかザボン煙草入とかが気になった。ザボンを加工するのは割と普通にあった発想なんだなあ。明治神宮ミュージアムで拝見したのを思い出す。
morina0321-2.hatenablog.com

第4章「モダニズムきもの」。
明治以降の着物。
個人的には「大正・昭和時代のコーディネイト」のずらっと並んだ着物が結構素敵だったなあ、と。もっと現代に近くなるとこう、モダン過ぎてついていけなくなるので…。
銘仙も色々出てたなあ。銘仙の柄はモダン過ぎてぴんとこなかったけど、銘仙を作った発想自体は好き。
銘仙のポスター原画の美人図で鏑木清方も出ていたんだけど、個人的にはこれは好みじゃなかったかも。北野恒富のが好きかな。高畠華宵の屏風「移り行く姿」の方が個人的にはツボだったなあ。高畠華宵を観に行くなら弥生美術館の方が、とは思わなくもないけど。

第5章「KIMONOの現在」。
以前触れた森口邦彦(くにの字が違うけど変換できないのでこちらで)が何点か。
morina0321-2.hatenablog.com
友禅訪問着「緑陰」は結構好き。
後は土屋順紀の紋紗着物「月下渓韻」「薔薇の精」辺りが好き。
あ、岡本太郎デザインはもう岡本太郎以外ないな、という図柄で。好きとか嫌いとかじゃなく凄いなあ…。

体力が最近の引きこもりのせいでなくなっている、というのもあるんだけど、時間をかけて観ていた。目の保養。

あ、平成館で展覧会ということで、「鶴屋吉信」販売してた。流石にメニューは絞っていたけれど。
和菓子を頂いて、続く。