時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

リニューアル・オープン記念展 ⅠART in LIFE, LIFE and BEAUTY@サントリー美術館

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サントリー美術館が無事にリニューアルオープン。所蔵品を一斉に見られるってなかなかないし、趣味良さそうだし、と思って来訪。
なお、今回殆ど写真OK。太っ腹だなあ、でも撮影そんなにするかしら、と思ったら、150枚近く撮影してた(半分ぐらいは作品名とはいえ)。どの口が撮らないって言った?

あ、そうそう、今は大事であろう混雑情報。
サントリー美術館は事前にネットでチケットが購入できるけど、特に日時指定はなくて大丈夫。平日なら問題ないと思う。せいぜい1展示室に二桁人数いないぐらいだったので。あんなにじっくりゆっくり観られていいんだろうか、というぐらいの。

第1章1節「装い:浮線綾螺鈿蒔絵手箱と化粧道具」。
タイトルにある「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」は国宝。それだけじゃない蒔絵の品々どどどどどん。
そして化粧道具一式も豪華だなあ、と思いながら進むと。

櫛が美しく整列(左半分しか撮ってないけど、右半分は簪と笄)。なかなか華やかな壮観。一つ一つも個性があって素敵。象牙やギヤマン(ガラス)製もあるの。
個人的にはこちらも好き。

紅板(紅を入れる入れ物)。小さいけど細工がどれも凝ってて美しい。
興味深いのは「押形櫛ひながた」。櫛の拓本。「拓」は魚拓の「拓」と言えばお分かりか。これに意匠の解説を入れてる、カタログ本。カタログ本は江戸時代は模写で作ったりするけど、所謂「櫛拓」をとってとは…。

第1章2節「装い:美人画と着物」。
サントリー美術館売りの「舞踏図」が見られるのはここ。
あとは浮世絵とか。歌川国貞と歌川広重のタッグ作品(人物国貞、風景広重)の「双筆五十三次」とか、月岡芳年「風俗三十二相」2作品とか。「風俗三十二相」は山種美術館でいくつか拝見したね。
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で、なんか美しい着物の女性がいらっしゃるのですが…?とびっくりしたのが、鏑木清方「春雪」。…え、いいの、これ写真撮影して。浮世絵も全部?ひゃあ…。
※写真NGは2点ぐらいしかなかった(現代作家のものなので作者の意向なのでしょうな)。
個人的には、明治時代の吉原の浮世絵とか(背景が西洋風!)、束髪図解とか、興味深いのもあったなあ。
美しい着物も出ていた。「浅葱紋絽地流水花束模様小袖」は展覧会展示構成に写真があるよ。
あと、この節では「誰が袖図屏風」の再現とか面白いこともやってる。それはそれでお勉強になったかな、なんだけど、再現用の品々が面白い。「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」がしれっと置いてあるけど、これ、バックギャモンだよね。ウィキペディア見たら、伝来したけど日本では特にウケなかったみたいで。凄い貴重なものなのでは…。
なお、この節は前期後期で随分展示が変わる予定。後期にも鏑木清方の別の絵が出るのだけど、来てくださいってことかな…。

第1章3節「装い:鎧兜と戦のいで立ち」。
鎧コーナー。個人的には「碁石頭切付縫延二枚胴具足」の方が好き。狐耳兜(多分違う)。
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あと、この辺りから野口哲哉の作品が出てくる。野口哲哉の作品は最近話題になってて拝見している方もいらっしゃるのかな。ミニチュア武者を造る方。書き手は今回が初めての拝見。

第2章1節「祝祭・宴:祝いの調度」。
第2章1節は4階(美術館入口の階)と3階(美術館出口の階)で分かれている。
4階は狩野探幽「桐鳳凰図屏風」が目玉なのかな。しれっと有名どころを…。
個人的には3階展示のが好き。蒔絵手箱の類とか、切子の盃台・三ツ組盃とか(江戸時代のガラス製品が残ってるの凄いね…)。柴田是真「五節句蒔絵手箱」は綺麗な上に面白いことやってる。是真っぽいなあ。
あと、これはずるい展示。

賀茂競馬図屏風」を興味深そうに拝見している武者の方々。悔しい、笑っちゃったよ…。
個人的には野口哲哉の「ビッド・マン」シリーズが好き。

第2章2節「祝祭・宴:宴の屏風と酒のうつわ」。
「酒のうつわ」を収集するのは、流石酒造会社ってなりますな。
ガラスで重箱・急須を造ったり、ガラス製品なら薩摩切子の「藍色被栓付瓶」がとても綺麗だったし、結構好きな京焼があったり、初期伊万里の「染付吹墨文大徳利」の吹墨文が綺麗だったり。

第3章1節「異国趣味:南蛮屏風と初期洋風画」。
これ、現代作家さんも入っていらっしゃるので微妙なんだけど、桃山・江戸時代の「南蛮屏風」はとても変な感じがして楽しい。やまと画に「南蛮さん」が描かれてるだけでも。なかなかそういうのって美術館では見ることないしね(どちらかというと歴史系の博物館かなと)。

第3章2節「異国趣味:異国趣味の意匠(デザイン)」。
いきなり出てきたよ「IHS」(イエズス会)!
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展示構成にある「朱漆塗螺鈿沈銀六角湯桶」「縞螺鈿蒔絵茶箱」も綺麗なんだけど、「ウンスンカルタ蒔絵短冊箱」「菊鶉螺鈿蒔絵ゲーム箱」とか、なかなか見ないものも。


いやあ、予想以上に眼福で楽しかった!是非後期も観たいところ。