時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

住友財団修復助成30年記念 文化財よ、永遠に@泉屋博古館分館

今回の展覧会で出ているのは「修復されたもの」。どのように修復したかを1つずつ丁寧に説明してある展覧会。
そういうちょっとお勉強系なせいか、少々お安め。

この展覧会、4館で開催されている。住友財団の企画なので、住友系の美術館である泉屋博古館の本館(京都)、分館、そして九州国立博物館東京国立博物館
とはいえ別に全部制覇するつもりもなく、ここに来たのは「見たいものがあったから」であり。

なお、前後期展示ありだけど、今回は後期展示。

修復については別途それぞれ調べて頂ければ(え)NHK日曜美術館」でやったのが一番参考になったよ。個人的には絶対あんなの無理…。

というわけで、作品として気になったものを箇条書きで。

  • 仏画十二神将像」。確か酉神だったかな、傍に描かれている女性が美人だった(え)鎌倉時代の絵に描かれている女性を美人だと思ったので、よっぽど鮮やかに描かれて(そして修復された)んだと思う。書き手にかかるとこんな感想だけど重文。
  • 朝鮮の絵画(高麗仏画)、徐九方「水月観音像(楊柳観音像)」。これは泉屋博古館所有なんだけど、画家も判明してるし、高麗仏画として有名みたい。そして何より美しいぞ…。思わずポストカード買っちゃったよ。重文。
  • 「葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱」。東慶寺所有。東慶寺というと縁切寺。元々は尼寺。…これは…いつぞや東京国立博物館で見た「IHS」!?(展覧会写真参照)なんで東慶寺イエズス会、南蛮もののが伝わってるんだ…。重文。

東慶寺はこちら参考
morina0321-2.hatenablog.com
東京国立博物館で見た類似の漆工についてはこちら参照
morina0321-2.hatenablog.com

  • 円山応挙「淀川両岸図巻」。これはちょっと面白い構成で、巻物の上と下が岸で、真ん中に川が流れている絵なんだが、岸が向かい合ってるように描かれてる。なので、巻物の上から見ても下から見ても、傍の岸は必ず川の方が天になってる。普通は巻物の上が全部天みたいな描き方するよね。
  • 曽山幸彦「弓術ノ図」。所有者は「東京大学大学院工学系研究科建築家専攻」。うぃきったら、曽山幸彦が東京大学工学部の前身で助教授を務めてた(元々前身が美術も担当していたっぽい)。とても凛々しく格好いい絵。曽山幸彦が早世なので寡作なのが残念。
  • 木島櫻谷「かりくら」。今回のお目当てはこちら。人物中心の絵なのは存じ上げていたので、どうかな…と思っていたらなんの。馬の鬣の線(そして馬が何だかとても表情が可愛い)、鹿の毛皮、刀身の虎の毛皮、荒れた枯野…いやもう、修復してくれてありがとう本当に。修復情報を見ると、そもそも表装されてなかったらしいんだよね。櫻谷文庫所蔵なのに、どうしてまたそんな状態だったんだ…。ポストカード購入。

思った以上に展示物がなかなか面白い展覧会だった。
続く。