時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

もうひとつの19世紀―ブーグロー、ミレイとアカデミーの画家たち@国立西洋美術館

タイトルは企画展にしているけれど、国立西洋美術館の常設展をぐるりと。


まずは常設展の話から。
どの辺が変わっているのか、という通知は国立西洋美術館はリアルタイムでやっていないので、書き手もあまり気にせず拝見していたのだが。
あれ?写本コーナー、変わった?


大当たりだった(後日出ていた)。
流石にかなり風変わりな特集だったので分かった。写本に読者が手を加えている痕跡。X(旧twitter)に出ているのは、読者が色々書き込みをしている例。あれだよね、教科書にマーキングとか、落書きするみたいな(落書き言うな)。
その他にも、別の写本から図を切り取って貼りつけているものとか、挿絵部分に刺繍枠を縫い付けて飾りにしたりとか。
結構こういうのは出てくるらしい。
こちらも展示替え対象だったんだね。展示替えも関係なく楽しんでいたけれど。
あと、前回に伺った際の特別展。
morina0321-2.hatenablog.com
こちらの作品が数点常設に。ギュスターヴ・クールベ「もの思うジプシー女」やホアキン・ソローリャ「水飲み壺」とか。
あ、記事内で言及してなかったけれど、シャルル・コッテがあったんだよね。バンド・ノワールの。でも、スペイン旅行での作品「セゴビアの窪地」は暗さはないよ。
別の場所で展示されていた「行列」はバンド・ノワールっぽいけど。


さて、本題。

www.nmwa.go.jp
19世紀に揺らいだ「アカデミックの」画家たちがどう作品を描いていったか、というテーマらしい。
…うん、テーマはそうなんだろうけど。
なんというかその…美しい女性と可愛い子供てんこ盛り、なんだが…。
いや、個人的にはこの展覧会の宣伝で使われているウィリアム・アドルフ・ブーグロー「小川のほとり」が美しいし、更にジョン・エヴァレット・ミレイも出している、となっていたので来たのだけど、それでもこんなに美しい女性ばかりとは聞いてないよ…?という…。

www.instagram.com
というわけで、書き手のInstagramはこうなりましたとさ。
ブーグローの綺麗な女性ばかりになってしまった…。
1枚目はブーグローの「音楽」。楽器を奏でる構図には弱い。しかし、衣服つけずに楽器演奏はなんだろうね…。古代はそうなの?それとも需要的な意味合い?(あ)
2枚目もブーグローの「純潔」。子羊と赤子、というのは一応キリスト教的なのもあるらしいのだけど、解説に「宗教的象徴を一切排除している」って書かれてたりした。ええ…。
3枚目もブーグローの「姉弟」。母子像じゃなくて年が少し離れた姉と弟。
4枚目が「小川のほとり」。ブーグローは本当に美人をお描きになる。

で、5枚目は実は常設でもかなり拝見するミレイ「あひるの子」。こちらはファンシー・ピクチャーと呼ばれるジャンルになる。
やはり常設でかなり拝見していて今回展示対象だった「狼の巣穴」もそう。「狼の巣穴」はミレイの実のお子様たち(ミレイは子沢山)がモデル。
実はブーグローの「純潔」もそのジャンルとされる。こちらに載せていない「少女」もそう。
19世紀は上流階級から中流階級に鑑賞者が広がってきた時代で、美しい女性や美しい子供の絵がウケたのかもしれない。ミレイは子沢山だけに、お金も必要だっただろうし…。まあ、ラファエル前派から離れたのはそのせいかというと、まあ…うん…(遠い目)

彼ら以外に展示された画家の話を。
レオン・ボナ。「ド・ラ・パヌーズ子爵夫人の肖像」は常設で拝見した覚えがあるなあ。肖像画も2点出ていたけれど、個人的には「門のあるローマ風景」が素敵な風景画で好き。
ラファエル・コラン。日本の洋画に非常に影響を与えたことで有名ですな。ブーグローから教えを受けたこともあるのね。
「楽」は森の中で上半身はだけた女性。背中側からなのだが、まあ背中が美しい。光の当たり方も美しくて。
あと、コランは挿絵とか挿絵原画もいくつか出ていたけれど、やはり綺麗で良かったよ。
フレデリック・レイトンも挿絵用かな、「「ペルセポネの帰還」のための習作」。こちらはポーズが美しくて良い。

本当に目の保養だった。小企画展だから常設展のチケットで拝見できてしまうしね。


続く。