時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年@国立新美術館

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やはりどうしてもこちらが頭に思い浮かぶのだけど(年齢を想起させるアレ)

今回はメトロポリタン美術館の所蔵する西洋絵画がこんにちは。美術館の改修工事があるからという理由で来日したのね。
それもあってか、日本初公開の絵画も多いし、有名どころの画家もあるし、著名な美術館からの展覧会だし、早めに行っておかないと行けないだろうなあ、と。
実際、この日は12:00より前の回は、既に2日前には定員に達していたし。


「1.信仰とルネサンス」。
今回は全体的に時代順展示なので、分かりやすいかな。
この章は15世紀から16世紀、ルネサンスというか宗教絵画というか。個人的には全く不勉強な時代ではあるのだけど。
気になったのはカルロ・クリヴェッリ「聖母子」。クリヴェッリは初期ルネサンスの画家。
とても細密で綺麗な描写をする。
あとはディーリック・パウツ「聖母子」かな。こちらは初期フランドル派。なんというか、凄いリアル。肌の感じとか。
ちなみに、この章、部屋が2つに分かれていて、順路は決まってなくて、好きに移動して見ていい、という感じの作り。


「2.絶対主義と啓蒙主義の時代」。
17世紀から18世紀、バロックからロココ、かな。
展覧会ポスターになってるジョルジュ・ド・ラ・トゥール「女占い師」はここに。占い師の占いに夢中になっている間に、周囲の取り巻き(グル)に宝飾品盗まれてるという。比喩的な意味もあるんだろうけど面白いよねえ。
個人的には、アンニーバレ・カラッチ「猫をからかう二人の子ども」で猫にザリガニ押し付けてる子供の無垢な残酷さも良いよね(え)

個人的な好きな絵。
バロックだと、ルーベンス「聖家族と聖フランチェスコ、聖アンナ、幼い洗礼者聖ヨハネ」。
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ルーベンスは割と好きなんだよね。これは聖アンナの表情が素敵。
ムリーリョ「聖母子」も素敵。慈愛の表情がなんともいえない。光の当たり方とか、洋服の柔らかそうな感じとか。
シモン・ヴーエ「ギターを弾く女性」の光の当たり方も格好いい。
あ、あと、サルヴァトール・ローザ「自画像」、イケメンだよね(そこかよ)。

バロックとは同時代だけど少しずれる、オランダの風景画も結構好きで。
ヤーコブ・ファン・ライスダール穀物畑」は割といいなあ…と思いながらどこかに何か引っかかったんだけど、前述のリヒテンシュタイン侯爵家の至宝展で拝見したサロモン・ファン・ロイスダールの甥になるのね(今回はライスダールと表示記されてたけど、ロイスダールと表記されることもあるみたい)。
で、ヤーコブ・ファン・ライスダールの弟子のメインデルト・ホッベマ「森の道」も好き。
アルベルト・カイプ「家庭教師と御者を伴うコルネリスとミヒール・ポンペ・ファン・メールデルフォールトの騎馬像」は、馬が可愛い。

また更にバロックとも違うのだけど、フランチェスコ・グアルディ「サン・マルコ湾から望むヴェネツィア」。
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以前のレポだとグァルディとなっているけれど、同じ画家。素敵なイタリアの都市の絵を描いていて、こちらも同じく素敵。ヴェドゥータ(都市景観画)と言うみたい。

ロココになると画面がより明るくなるのが分かるのが面白い。
ジャン・オノレ・フラゴナール「二人の姉妹」の服がふわっふわしてて可愛い。
ジョシュア・レノルズ「レディ・スミスと子どもたち」の子供(特に女の子二人)がとても愛らしかった。
エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「ラ・シャトル伯爵夫人」は、今回は凄い美人を描いているわけではないんだけど、なんだか妙に引き付けられるんだよね…。なんだろう。


「3.革命と人々のための芸術」。
19世紀。
いきなりターナーヴェネツィアサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」、クールベ「漁船」「水浴する若い女性」と怒涛のように。
「水浴する若い女性」は新古典主義のジャン=レオン・ジェロームピュグマリオンとガラテア」と並んでいたけど、大理石像から人間の肉体に変わっていく(脚の下部はまだ大理石!)ガラテアの描写、却って生々しくて凄い。
更にコロー「遠くに塔のある川の風景」まで並んでいて、ただ眼福。

その後は子供の絵が続く。
マネ「剣を持つ少年」は、マネの妻シュザンヌが、マネとの結婚前に生んだ息子さんがモデル。どうも父親はマネじゃないかと言われてるけど真相は不明、みたい(結婚を許されてなかったそうで)。表情が好きだし、服もかわいい。
一方、モネ「木馬に乗るジャン・モネ」、こちらはモネの幼い息子さん(長男)を描いた絵。モネ、「ラ・ジャポネーズ」もそうだけれど、御家族を描いた時は本当に美しいと思う。息子さんも木馬も本当に可愛くてねえ…。
で、ルノワ-ル「ヒナギクを持つ少女」と「海辺にて」。いずれも少女を描いているけれど、色彩が実は違う。「海辺にて」が1883年の頃の作品だけれど、この頃に印象派と一旦決別して、新古典主義に傾いてて。ちょっと暗い色彩になってる。「ヒナギクを持つ少女」は1889年。そこから吹っ切れて明るい色彩に戻ろうとしている感じ。この2点を並べたのはとても面白かった。

で、その後はその他の印象派とかポスト印象派へ。
セザンヌガルダンヌ」は個人的には嫌いじゃない家々の絵なんだけど、何よりシスレーヴィルヌーヴ=ラ=ガレンヌの橋」が眼福。特設ショップにポストカードがあったのも嬉しかった…。


有名どころもあるし(触れてないけどカラヴァッジョとかフェルメールもあるよ)、軽い気持ちで触れに行くのはいいんじゃないかなあ。
混みがちなので、事前予約はした方がいいかも。


さて、展示会の特設ショップだが。


書き手、「すみっゴぐらし」のとんかつの設定が非常に好きでしてね。いやあの薄倖な設定がね…。
そんなとんかつが、こんな綺麗なおべべ着せてもらってるんだよ!買うよ!(チョロすぎる)


続く。