時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展@Bunkamura ザ・ミュージアム

渋谷は平日の午前中に行くに限ると思っている。本当に人混みが苦手…。

www.bunkamura.co.jp


なんか綺麗でキラキラしたものが観られたらいいなあ、という俗物的な。
ちなみにこの展覧会の宣伝で、展覧会主催のテレビ東京で特番もやってた。
www.tv-tokyo.co.jp
…そういえば音声ガイド、小泉孝太郎氏だったな…。確かにテレビ東京は色々と起用したがる…。

第1章「リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活」。侯爵家関連の肖像画と、貴族の生活の風俗画。
ここでおおおっと思ったのは子供の絵。
フリードリヒ・フォン・アマーリング「リヒテンシュタイン侯女カロリーネ、1歳半の肖像」「リヒテンシュタイン侯女ゾフィー、1歳半の肖像」がどちらもとても柔らかい感じで可愛らしい。
一方、ヨーゼフ・ノイゲンバウアー「リヒテンシュタイン侯フランツ1世、8歳の肖像」はとても綺麗で気品のある美少年。そりゃあ展覧会ポスターにも載せるよねえ…。

第2章「宗教画」。書き手があまり得意でないジャンル。
ルーベンスとかもあるんだけどね。どちらかというと、シモーネ・カンタリーニ「少年の洗礼者聖ヨハネ」とか、グイド・レーニ「読書する福音書記者聖ヨハネ」辺りがいいかなあ。後者は肌の感じが割と好きだった。

第3章「神話画・歴史画」。
ここはルーベンスが3点(工房策も含む)なんだけど、「ペルセウスアンドロメダ」は結構好きだ。アンドロメダの「命は助けられたけど、結婚相手決められたし…」的な困惑が見えるのがいいぞ(え)
そして実はこの章、半分は磁器。磁器に描かれている神話画・歴史画も特集している。個人的には絵の部分はともかく(絵皿だと言っているのに…)、細かい皿の縁の装飾とかがかなり好み。
絵皿の絵として一番いいと思ったのは「リュートを弾くクピド」(原画はロッソ・フィオレンティーノ)。これも展覧会ポスターにも載せてる。

第4章「磁器―西洋と東洋の出会い」。
まずは日本と中国の磁器がいくつかあって、その後に出てくるのが「東洋の時期に金属装飾を取り付けた」もの。西洋で流行ったそうなのだが…何故こんなにキンキラキンキラにしてしまったのか…。単独の磁器より装飾された磁器の本来の絵の方が良さそうなんだけど、金属装飾が邪魔でよく見てない…!(あ)特設サイトにある「青磁色絵鳳凰文金具付蓋物」は、金属装飾なしで見たかったよ本当。あまり金属装飾が過剰でなかった「染付花鳥文金具付壷」は結構良かったかな。
で、東洋磁器に触発されて生み出されたのがウィーン磁器工房。この辺はウィーン磁器工房の日本サイトを見るといいかも。
augarten-japan.com
今回の展覧会で展示されていたのは、初期のデュ・パキエ時代と、展覧会ではゾルゲンタール時代、ウィーン磁器工房のサイトではネオ・クラシカル時代となってる時代のもの。デュ・パキエ時代は描かれている花が綺麗。ゾルゲンタール時代のものは黒地or赤字に金の文様。これは恰好いい!
で、展示の最後には、陶器が纏わる静物画が。個人的に静物画は結構好きだし、展示作品はかなり好きだった。ヤン・ダーフィッツゾーン・デ・ヘーム「陶器、銀器、果物のある静物」とかいいね…ってヘーム?あれ?しかもこの色彩…と思ったら、国立西洋美術館の常設にある「果物籠のある静物」コルネリス・ド・ヘーム(国立西洋美術館だとこの記載)のお父様だったよ!*1
morina0321-2.hatenablog.com

第5章「ウィーンの磁器製作所」。
第4章にあったのは多分に東洋趣味があったものだったけれど、ここにあるのは西洋独自デザイン。
デュ・パキエ時代とゾルゲンタール時代があるけど、やっぱりゾルゲンタールの時代のデザインの方が好きだなあ。
あと、気になったのはトランブルーズ。カップと受け皿のセットで、受け皿に謎の飾りが。「当時のチョコレートをこぼさないようにする仕組み」え?なんで?チョコレートだとこぼれるの?と思ったら、「朝最初の食事としてベッドで飲む」ための仕組みだそうな。…そんなのチョコレートじゃなくても零れるよ(真顔)

第6章「風景画」。個人的に好みジャンル。
実はこれ、MXの「アートステージ」で軽く予習していた。
s.mxtv.jp
これで凄くいいなあ、と思ったヴァルトミュラー。「イシュル近くのヒュッテンエック高原からのハルシュタット湖の眺望」、意外とサイズが小さかった。でも画題は雄大。「ダッハシュタン山塊を望むアルタウスゼー湖の眺望」もいいぞ。
サロモン・ファン・ロイスダール「オランダの河川風景」とか、ウィレム・ファン・デ・フェルテ「岸辺の船」も好き。
そしてここにも、風景画を絵付けした陶器が。「木目文カップと受け皿」が本当に木目で面白かった。

第7章「花の静物画」ここは写真OK。
ヴァルトミュラー「磁器の花瓶の花、燭台、銀器」「赤と白のブドウと銀器」いいなあ。
フェルディナンド・キュス「バラとアンズのある静物」もいいよ。
あと、「黒ブドウのある花の静物」「白ブドウのある花の静物」にウィーン窯・帝国磁器製作所の文字が。…この絵、陶板か!凄いなあ…。

なかなか満足して最後のミュージアムショップ。
ポストカードはそんなに種類はない…のだが…ヴァルトミュラーが多いのはまあ分かるが、ウィレム・ファン・デ・フェルテ「岸辺の船」とフェルディナンド・キュス「バラとアンズのある静物」もあり、個人的にツボが多めのラインアップ。この辺人気あるのかなあ、といそいそと購入。

正直、こんなに絵で満足するとは思ってなかった。良かった。

なお、2つ先の展示会の前売り券を購入したりした。随分先なのは自分でも分かっているよ…!
もし行けなくても、大元の美術館にお金がいけばそれでいいしね。本当に心配している。
Bunkamuraの赤いチケット入れ、いいデザインでなかなか素敵なのも併せて記しておく。

続く。

*1:Wikipediaだとヤン・ダヴィス・デ・ヘームとなってるけど、綴り的にあってるみたい