時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ@国立新美術館

www.nact.jp

なるべく平日に行った方が混雑を避けられるかな、と思い。

テート美術館展。
morina0321-2.hatenablog.com
数年前も関連展覧会がありましたな。イギリスの美術館(「群」と言った方が正しいか)。
その中でも、「光」をどうとらえて描いたか、というスポットを当てた展覧会。
写真は半分ぐらいOK。


「チャプター1:精神的で崇高な光」。
18世紀~19世紀の、どちらかといえば神話的な光。
ここにターナーが入ってくる。…というのが、不思議に思う人も結構いるんじゃないかなあ。
morina0321-2.hatenablog.com
こちらを拝見しておいて良かったと思う。ターナーが後年そういうものを求めたってこと、うっすら分かったから。
しかし「光そのものを表現したい」はその頃の共通認識なのかね。ターナーもそうだけど、モネもそうだし。
あとはジョセフ・ライト・オブ・ダービー「トスカーナの海岸の灯台と月光」が綺麗だなあとか、
「噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め」」も凄くドラマチックだなあとか
(ダービー市のジョセフ・ライトさんなんだね、この名前)、
そしてジョン・マーティン「ポンペイヘルクラネウムの崩壊」もとても壮大で美しいし。


「チャプター2:自然の光」。
いきなりずらっと並ぶ、ジョン・コンスタブル原画&デイヴィット・ルーカス彫板「イングランドの風景」連作。そう、前述のコンスタブル展はテート所蔵だった。
白黒のメゾチントなのだけど、「この空はきっと薄曇りなんだろうなあ」とか、そんなことも想像してしまう素敵な連作。
で、「ハムステッド・ヒースのブランチ・ヒル・ポンド、土手に腰掛ける少年」や「ハリッジ灯台」などの油彩も展示されていて、大変良い。
ジョン・リネル「風景(風車)」も素敵な風景画。
で、こちらが展示されていた辺りは通路みたいになっていて、ここから大広間。
いきなり出てきたのがジョン・エヴァレット・ミレイ「露に濡れたハリエニシダ」。これは驚いた。ジョン・エヴァレット・ミレイ、人物画しか拝見したことなくて、風景画も描くのか…となったので。そしてとても光が美しい。
でもって存じ上げなかったジョン・ヤング=ハンター「私の妻の庭」。ジョン・ヤング=ハンターはちらっとラファエル前派の影響も受けてるのかな。ええと、庭と妻はわかるとして…孔雀が3匹…?飼ってるの?でも庭も、その孔雀もとても綺麗である。
でもってまたもや存じ上げないジョン・ブレッド「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」。ジョン・ブレッドもラファエル前派とは近しい位置にいたらしい。とはいえ、ラファエル前派とは随分毛色が違う(ジョン・ヤング=ハンターの方が分かる)。雲の間から射す光に照らされる海。光が当たるところがくっきりと色が違う。なかなか素敵な絵ではある。実は展覧会のポスターの1つにも選ばれていた。評判いいらしい。
で。「自然の光」で忘れちゃいけない印象派
印象派はフランスでは、となるけれど、まあモネはともかく、シスレーはイギリス人(フランス生まれではあるが)だし、ピサロもイギリスとは縁があったので、まあ…。シスレーピサロを拝見できるのは、ありがたいし(本音)。
ただ、イギリスでも印象派の動きはあったそうで、その一人がフィリップ・ウィルソン・スティーア。「浜辺の人々、ウォルバーズウィック」は確かに印象派の描き方である。


「チャプター3:室内の光」。
室内画、ということでヴィルヘルム・ハマスホイ。…デンマークの画家も保有しているのですな。大変ありがたいけれども。「室内、床に映る陽光」と「室内」。前者は人が描かれてない、後者は妻の後ろ姿。相変わらずで安心する。
で、ウィリアム・ローゼンスタイン「母と子」。こちらはとても微笑ましい、母が子供を膝の上に載せている図。モデルは自分の妻と子供で、お子様は娘さんに見えるけど息子さん。この息子さん、美術史家(ジョン・ローゼンスタイン)になって、テート美術館の初代館長になるのだとか。ちなみに先日終了してしまった「ぶらぶら美術館」で聴いた話。


「チャプター4:光の効果」。
光を科学的にとらえる、ということで、ターナーの講義の資料がずらずらっと出ていたり。
あとは写真作品がかなり出ていた。そうだよな、写真は「光を科学的にとらえ」ている原理だものね。
このチャプター、写真がNGだったりしたので、割とすっと通り過ぎてしまった。


「チャプター5:色と光」。
この辺は…現代美術になっちゃうなあ。
オプティカル・アートになるのかな、ブリジット・ライリー「ナタラージャ」、とても明るい色彩が整然と並んでいる。
でもってペー・ホワイト「ぶら下がったかけら」。沢山の色とりどりの紙が天井から糸で吊られてぶら下がっている。色自体はとても綺麗だけど、これ設置大変だろうなあ…となった。
あと、写真NGだったのだけど、マーク・ロスコ「黒の上の薄い赤」は赤い地に黒の長方形が2つ。なんか妙に印象には残った。


「チャプター6:光の再構成」。
電気的な光とか、デジタルとか使っての再構成。
ジュリアン・オピーの3作は「8つの風景」というシリーズらしい。風景写真をコンピュータで加工して、実際の風景を単純化している、らしい。言われなきゃ分からない、変に整然とした風景。
デイヴィッド・バチェラーの「ブリック・レーンのスペクトル2」はライトボックスを一直線に積んで塔のようにしてる。目立つ。「私が愛するキングス・クロス駅、私を愛するキングス・クロス駅8」は、ポップなカラーの四角に車輪がついてる。
ピーター・セッジリー「カラーサークル3」は、光の円をプログラムで一定時間で色を変えていくもの。

「チャプター7:広大な光」。
一番最後に展示されていたのは、オラファー・エリアソン「星くずの素粒子」。
ミラーボール的な球体(もう少し繊細だけど)がゆっくり回っていて、天井や床に反射する光が星のよう。


現代美術はよくわからないけれど、それ以前にかなり個人的には好みであった。


ランチはカフェテリア・カレにて展覧会特別メニュー。


これは…マーク・ロスコ「黒の上の薄い赤」モティーフ!分かりやすい。
ブラックオリーブは店員さんから「よく混ぜてくださいね」と御忠告頂く。確かにしょっぱい。
あと、奥の方に写っているプリン、国立新美術館のロゴとマークが入ってたので思わず購入してしまった。味は…プリン(そりゃそうだ)。


続く。