時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

MOMATコレクション@東京国立近代美術館

www.momat.go.jp
工芸館との共通券で。
実は今週水曜から新しい展覧会があり、多くの方はそちらも兼ねて観に来る予定なのかもしれないが、思った以上にガラガラ。
コロナウィルスを恐れて、ではないと思う(工芸館はそこそこ入っていた、むしろ気持ち多いぐらいだった)。快適ではあるけどね。
というわけで、ざっと感想。


1室「ハイライト」。
入口に舟越保武「原の城」が立っててびっくりする。原城島原の乱のね)の亡霊の雑兵像なんだもん…。
で、菱田春草の「軸物としては絶筆」の「梅に雀」が。切ない…。
おおっとなったのは、ゲルハルト・リヒター「シルス・マリア」。リヒターは現代美術家なので作品によってはうーん、となるのもあるのだが、風景写真を絵にしたものは本当に綺麗で。


2室「光、色、情感 ―点描表現を中心に」。
正直、驚いた。点描の描き方をする日本人の洋画家がいらしたんだね。というか、太田喜二郎ってそうなんだ…。ちょっと前に展覧会やってたので名前だけは存じ上げていたのだが。
太田喜二郎「新緑の頃」「田植」、かなり好き。とても明るい画面で。
斎藤豊作「夕映の流」もとても穏やかで明るい絵で。
南薫造「六月の日」はちょっと独特だけど、植物の描き方は好き。


4室「インド・アジア スケッチ紀行」。
普段は版画のことが多いけど、今回は今村紫紅川端龍子のスケッチ。
川端龍子は「ヤップ島スケッチ 椰子の島」がざっくりしてるけど何だか好きで、「熱河スケッチ 普陀宗乗廟」はちょっとお洒落な街を描いてるみたい。「水牛」は牛の目がなんとも優しい。
今村紫紅は「蘭貢(ラングーン)所見」がエスニック系な風俗が出ていて好きで、「西湖(せいこ)孤山ノ塔」は単純に山が素敵。


6室「1943年 第2回大東亜戦争美術展」。
戦争絵って個人的には好きではないのだけど、橋本関雪「十二月八日の黄浦江上」がとても綺麗。日本画の筆致で本当に綺麗。
…綺麗に描きすぎじゃないか、と思うぐらいに。
…なんとも複雑。


9室「バウハウスの潮流」。
9室は写真作品の展示室。今回はバウハウス関連。
ヘルベルト・バイヤー「運搬橋、マルセイユ」と、石元泰博桂離宮を撮影した写真が気に入った。


10室は2つに分かれている。

まずは手前のスペース「バウハウス特集」。
オットー・リンディッヒのココアポットとティーセットがシンプルで好き。
後は村越道守「額面 栗鼠」、金工を絵みたいにしていておおお、となったり。
高村豊周「青銅花瓶」もシンプルで良かったり。高村豊周、実は工芸館にも作品があったりするんだけど、美術館の方が好きだったりする。
morina0321-2.hatenablog.com
morina0321-2.hatenablog.com
ちなみに高村豊周は高村光雲の息子、高村光太郎の弟。

そして10室は本来は日本画主体だよ、の、「春まつり」。
有名どころの川合玉堂「行く春」が展示されていたりするのだが、個人的には菊池芳文「小雨ふる吉野」と松林桂月「春宵花影図」が凄い素敵。
前者は屏風。雨で少しぼやける感じの桜が左隻。近くの桜の木と花が左下に少しだけある右隻は、遠景の山と、その山の満開の桜が望めるのもいい感じで。
後者は墨の濃淡だけで月と桜。夢幻のような。
跡見玉枝「桜花図巻」もとても綺麗。跡見玉枝は桜が得意な画家なのですな。


11室「見つめる眼、感じる自然」。
現代美術の作品、なのだが。個人的に結構いいぞ…。
児玉靖枝「ambient light ― sakura」の4作品、微かで儚さすら感じる桜。
秋岡美帆「よどみ」「そよぎ」「ながれ」の3作品は、恐らく同じ木々のぶれた写真をNECOプリントという技法で作品にしているのだが、違う緑がそれぞれなんとも不思議に良い感じで。
それが対角の壁に展示され、薄い桜色と緑で挟まれるような。
11室はたまに凄いツボが来るなあ…。


回り終わったら12時半過ぎ。
全く誰も並んでいなければ、近くのテーブルに誰も座って楽しんでいない、という状況のキッチンカーでお昼ご飯。
野菜カレー(英語でヴィーガンカレーってなってた。ルーも全部野菜から作ってるのかな)とコーヒーでお昼。美味しい。

続く。