時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立近代美術館 70周年記念展 重要文化財の秘密

www.momat.go.jp

東京国立博物館で国宝展をやっていたが、こちらは重文(重要文化財)の美術作品にスポットを当てている。
少々悩んだものの、東京国立近代美術館に行くのも久々だし、というわけでこんにちは。


少々悩んだ理由の1つは、国宝展があれだけ混んだので、そもそもチケット取るのにどんなものかと。
これは心配なく(平日ということもあっただろうけど)前日夜にチケット確保。
流石に会場内はそこそこ混んではいた。


更に悩んだ理由の1つ。
今回、東京国立近代美術館所蔵の作品が多いこと。…要は、コレクション(常設)展で結構拝見してるんだよね…(あ)
まあ、東京国立近代美術館に伺うのも結構久々なので。


会場は4セクションに分かれている。日本画・洋画・彫刻・工芸。
6割ぐらい写真OKなのは、結構太っ腹かもしれない。
日本画に関しては(恐らく保存の理由もあって)かなり細かく展示替えがあって、これはどれを拝見するかを事前に悩む必要があったかも。個人的には「自分が行ける時に出会えればいいかな」ではあったが。
洋画は数点入れ替わり、彫刻と工芸は通期。


日本画
セクション最初は狩野芳崖不動明王図」。
なんとも美しい衣の色彩とか、背景の感じとか、これは美しいなあ…。東京藝術大所所蔵。
ちなみに途中から同じ芳崖の「悲母観音」が出るらしい。
morina0321-2.hatenablog.com
以前藝大の方で拝見してひっくり返ったアレ。GW期間にかぶるので、目玉の1つにしているんだろうなあ…。

なお、今回通期で目玉の1つが横山大観「生々流転」。
morina0321-2.hatenablog.com
ちょっと前にも話をしたけれど。並んでベルトコンベアー式に拝見していく形。
…しかしとんでもなく長い作品。これをちゃんと構成した横山大観は凄いんだなあ。
個人的には巻物系であれば、今村紫紅「熱国之巻」の方が好きなんだけど。東南アジアの風景とそこに住まう人間、という絵なのだけど、個人的に生活風景が好きなんだよね。
あと、横山大観だと東京国立博物館所蔵で以前一部拝見した「瀟湘八景」が全て出ていて、そちらは結構好き。自然風景だけかと思ったら、結構人間の生活風景も描かれている。

あとは拝見したことある絵も多かったかな。
菱田春草王昭君」とか、鏑木清方「築地明石町」「新富町」「浜町河岸」の三部作とか。いや、何度拝見しても美しいけれども。
菱田春草は「賢首菩薩」も出ていた。以前拝見したかもしれないけれど、色の柔らかさが好き。


洋画。
原田直次郎「騎龍観音」があって妙な安心感。東京国立近代美術館のハイライトによく展示されている絵。
更に高橋由一「鮭」が。何度も拝見しているけれどじっくり拝見。写真も撮れるし。
浅井忠「春畝」「収穫」が拝見できたのは嬉しい。前者は東京国立博物館所蔵なんだけど、多分拝見したことないよな…。拙ブログ検索して出てこないとなると、今まで当たってないのか。
写真はNGだったのだけど、とても美しかったのは、山本芳翠「裸婦」。
bunka.nii.ac.jp
あ、文化遺産オンラインで拝見できるじゃないか!(重要文化財だものね…)芳翠は虎だけでなく女性も美しく描く方なのですな…。
洋画も拝見した絵は多め。アーティゾン美術館でかなり拝見する藤島武二天平の面影」青木繁「わだつみのいろこの宮」、東京国立近代美術館岸田劉生「道路と土手と塀(切通之写真)」等。でも好きだから何度でも。


彫刻。
そんなに点数が出ているわけではないけど、高村光雲「老猿」(東京国立博物館の本館18室でよく拝見する)以外は初めて。
萩原守衛「北條虎吉像」も静かに迫力があっていいなあと思ったり、朝倉文夫「墓守」もとても格好いい。朝倉彫塑館は一度ぐらい伺いたいなあ…。
で、新海竹太郎「ゆあみ」。裸体像かと思ったら手拭い一枚を身体の前にかけてる、という、まあその頃の世相があるからねえ…。でもとても美しい。東京国立近代美術館蔵なんだけど、今まで拝見したことなかったなあ。
新海竹太郎は、旧近衛師団司令部庁舎(旧東京国立近代美術館工芸館)の横にある「北白川宮能久親王騎馬像」の作者でもある。あれも素敵だものね。


工芸。
全て拝見したことがあるという。何せ、殆ど東京国立博物館所蔵、それ以外は東京国立近代美術館工芸館で拝見した鈴木長吉「十二の鷹」に、泉屋博古館東京所蔵の板谷波山「葆光彩磁珍果文花瓶」。先日拝見してるよ…。
morina0321-2.hatenablog.com
まあ、濤川惣助「七宝富嶽図額」はいつ拝見しても素敵だけれども。



といわけで、割とさらっと見終わってしまった。
展示数も少な目だったし、結構人が集まってしまう作品も多かったしね。
重要文化財の秘密」ということで、どうしてこの作品がこの時期に重文認定?という話もあって、多分その辺は学芸員さんが凄く力を入れているのだけど…作品が良いとそういうのが薄れちゃうかもしれないなあ、とは思ったりも。


続く。