時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地@アーティゾン美術館

www.artizon.museum

というわけで初めてのアーティゾン美術館である。元ブリジストン美術館。たまに展覧会にコレクションをお目にかけるのだが、ブジリストン美術館時代も含めて伺ったことがなかった。

京橋駅から、と書かれているが、JR東京駅からでも八重洲中央口から真っ直ぐ歩いて行けばいいので、とても楽。

ちなみにアーティゾン美術館は入場事前日時指定制で、当日その場に行っても入場できない可能性があるのでお気をつけて。
なお、書き手は最初に予約した時に、メールが届かなくて困って問い合わせた(問い合わせたら即座に帰ってきてありがたかったが)。
逆に土日祝行く人は、事前指定で予約しておけばスムーズに入れるのでは、とも思う。

ビルには1階から入って(ミュージアムカフェは1階)、2階に上がるとロッカー(ちょっと小さ目)とミュージアムショップ、展覧会の入り口は3階(金属探知機あり)、4階~6階が展覧会の展示室。
写真は基本OK(駄目なものは駄目とマークがついているらしいが、今回はなかったように思う)。

Part1「アートをひろげる」。
コレクションの中からより抜いた作品のようで。6階全部。半分ぐらいは20世紀の美術なのだが、その辺が苦手なアカウントは結局印象派とかに流れる。
個人的にはピサロ「菜園」とシスレー「サン=マメス六月の朝」並べてくれてありがとうとか、ドガは「レオポール・ルヴェールの肖像」もそうだけど、踊り子じゃない絵の方が好きだなあとか、ゴーガン「乾草」は色彩抑えてて好きだなあとか、カイユボット「ピアノを弾く若い男」とかアンリ・ファンタン=ラトゥール「静物(花、果実、ワイングラスとティーカップ)」とか素敵だなあとか。
あと、藤島武二を結構所有してるんだね。「黒扇」は流石の美しい女性の肖像画、「屋島よりの遠望」はとにかく海の色が綺麗な風景画。

Part2「アートをさぐる」。ここはテーマ分けをしている。5階と4階。

2-1「装飾」。
藤島武二天平の面影」が。「黒扇」は外国女性だったけれどこちらは和風美人…ふう…。
モーリス・ドニバッカス祭」もなんか結構面白いな。ドニはいかにもナビ派な色彩ではあるけど。
ゴーガン「馬の頭部のある静物」も結構好きだ。ゴーガンはこういう方が個人的に好みなのもあるんだけど、団扇を描いてたりして、ジャポネスクが流行した時代の絵なんだろうなあ。
ギュスターヴ・モロー「化粧」も結構ツボに。服の色彩が凄い。
そしてここには何故か器の数々が。景徳鎮、エミール・ガレのガラス花瓶、イランのラスター鉢…個人的にはラスター鉢なんでツボ中のツボ。

2-2「古典」。裸婦多し。
ルノワール「水浴の女」とか、マネのチョークでの素描「裸婦」とかを気にしつつ。

2-3「原始」。
いまいちこのカテゴリ分けが分かりづらいような気も…。
ゴーガン「ポン=タヴェン付近の風景」は「乾草」と色彩が近い絵だなあ。
黒田清輝「ブレハの少女」が凄く印象に残る。洋行時代=初期の絵なんだけど、荒いタッチが却っていい感じ。

2-4「異界」。
ルドンとかシャガールとかテーマで分かりやすい作家がちらほら。が、「この世のものではない感じ」という意味なのだろう、レンブラント「聖書あるいは物語に取材した夜の情景」もここに。小品だけど、レンブラントの光と闇が顕著で素敵だ。
ボナール「灯火」も、もしかしたらレンブラントに近いのかな。勿論表現方法はボナールだけど、光の下の異世界風的な。
そしてモネ「睡蓮」がここに1つ。分かるような分からないような。

4階に降りて。
2-5「聖俗」。彫像多め。
レリーフ断片「アヌビス神礼拝図」のヒエログリフが素敵だなあとか、「ハヤブサ神像」とか「聖猫」とか、何故かエジプトものに惹かれる。
そして、俗の方なんだろうな、のピカソ「道化師」が。アーティゾン美術館所蔵だったか!
morina0321-2.hatenablog.com
そしてここに何故かブーダン「トルーヴィル近郊の浜」が。俗のバカンス的な意味なのかな。いや、ブーダン好きだからいいけど。相変わらず空と海が綺麗だ…。

2-6「記憶」。風景だったり自画像だったり。
風景だとアントニー・ヤンスゾーン・ファン・デル・クロース「レイスウェイク城」とか、モネ「アルジャントゥイユの洪水」とか。
自らのお子様を描いている、となると、岸田劉生「麗子坐像」とかモリゾ「バルコニーの女と子ども」とか。前者、麗子が他と比較したらかなり可愛く描かれてていいよ。後者は自分とお子様(ジェリー・マネ)なのだと。なんか…凄くいいんだよね…。

2-7「幸福」。
…いまいちどういう区分なのか分からん…。
藤島武二「チョチャラ」は美人だし、アーティゾン美術館には結構多い青木繁「わだつみのいろこの宮」もなんだか良い雰囲気で。
このお二方がそれぞれ海を描いてるのも面白い。「浪(大洗)」と「海景(布良の海)」。
で、もう一つ気になったのは岸田劉生「南瓜を持てる女」。なんだろう、凄い存在感があるんだよね…。

展覧会の構成はともあれ、面白いコレクションだった。これから先にも色々展覧会は予定されているので、楽しみではある。立地的にも行きやすいし。
新しい建物なので随所に工夫も。恰好いいデザインの椅子とか、4階と5階のデッキビューの椅子にコンセントがついていたりとか。

これは4階から3階の展覧会受付、の上の部分と、4階から3階に降りるエスカレーター。恰好いい。

一方こちらは4階にあるクリスチャン・ダニエル・ラウホ「勝利の女神」なのだが、これを美術館の柱とガラス張りの壁をバックに、外のビル景色を借景して写すとえらい恰好いい(撮影者比)。
あ、あと、6階にはアーティゾン美術館の建物説明もあるよ。

続く。