時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

東京国立博物館

年末の御挨拶に(え)
…というか。新年になると展示が変わってしまうため、その前に行っておきたくて。

実は新年まで、本館1階が全て閉室。この状況も珍しい。だから、回るのは本館2階と東洋館のみ。
…で、なんでこんなに時間かかってるのか(あ)

というわけで、まずは本館。

  • 2室、国宝。「法華経一品経 勧持品」。経典だけど紙も絵もとても豪華で華麗。国宝だから豪華とも限らないのだが、これは本当に凄かった…。写真撮影NG。だよねえ、これだけのもの、劣化させたくないもの…。
  • 3室、仏教の美術。「紺紙銀字華厳経 巻第九断簡(二月堂焼経)」。紺紙自体が好きだし、奈良時代の紺紙銀字経は殆ど残っていないらしい。しかもこれが東大寺二月堂の火災で経典の天地(巻物の上下のことね)が焼けてるから「二月堂焼経」というそうな。何この色々詰め込まれてる感。そして隣には日蓮の消息が。表装美しい。
  • 同じく3室、宮廷の美術。「鶴草紙」が紙も挿絵もとても豪華で鮮やか…と思ったら江戸時代のものなのか。道理で色が残ってるわけだ。宮廷の美術のコーナー自体は平安から室町ぐらいの時代が対象のはずなのだが…まあいいか。「鶴草紙」は鶴の恩返し、とはまたちょっと違う話っぽい。鶴が恩返しに女性になって奥様になるのは一緒なんだけど、女性はちゃんと鶴だと言ってるし、その後の展開がちょっと違う。で、反対側にはずらっと並ぶ「石山切」。これは元々「西本願寺本三十六人集」といって、三十六歌仙の和歌の装飾写本(を西本願寺が所蔵してたもの)。そのうちの、紀貫之と女性歌人の伊勢の写本を、分割して売って資金にしたものを、元々本願寺があった摂津石山の地名をとって石山切と命名されたそうで。写本を分割…どこかで聞いた話だなあと思ったら、やっぱり分割を提案したのが益田鈍翁か!佐竹本三十六歌仙絵巻と同じことしたんだな…。置いといて、勿論その後ちゃんと表装されたので、元々の写本の紙がとにかく凝りまくってる上に、美しく表装が施されたので、それはまあ美しい石山切の数々で。…まあ、結果オーライな気がしなくもないけども。
  • 同じく3室、禅と水墨画。楊月「四季山水図屏風」がなんだか素敵。あと、宗遠応世「白衣観音図」が気になった。なんだろう。
  • 4室、茶の美術。灰器(茶の湯で杯を捨てる道具)とか白濁釉手付鉢とか灰釉酒呑とか黄瀬戸酒呑とか粉引徳利とか、色の淡泊なのがなんだか素敵。
  • 5室・6室、武士の装い。朱筋溜塗打刀が凄い目立つ。真っ赤な鞘。
  • 8室、書画の展開。どちらかといえば書の方なのだが、慈雲「達磨図自画賛」、凄いデザインチックの達磨図になってる。画はやまと絵特集。住吉如慶が絵を描いている伊勢物語絵巻がとても美しい。絵も美しければ紙も素晴らしかった…。土佐光起「清少納言図」、板谷桂舟「源氏物語図 胡蝶」、更に冷泉為恭。とても色彩が鮮やか。かといえば、田中訥言「十二ヶ月風俗図屏風」はかなり変わった、温かみのある画風だった。
  • 10室の浮世絵はいつもの歌川広重を楽しんだり。
  • 特別2室の特集は「近世日本と外国文化」。キリスト教関連のものが多かったり、「花鳥蒔絵螺鈿櫃」のような漆製品の輸出物もあったり、だったのだが。ヨアン・ブラウ「地球図」は大型の世界地図。これが細かいしデザインも結構格好いい…。あと、「西洋銭譜」って西洋のお金の図鑑作ってる人がいた。今も昔もマニアはいるのか。

でもって、東洋館。

  • 10室、朝鮮時代の美術。南啓宇「花蝶図軸」がとても綺麗。蝶の名手なのですな。螺鈿細工が何点か出ていたのだが、一番好みだったのは「螺鈿尺」。物差しが螺鈿。綺麗。
  • 8室。中国の書画は「中国書画精華―日本における愛好の歴史」後半。顧安「翠竹図軸」伝・管道昇「墨竹画巻」の竹の絵が素敵だなあ…って管道昇て女性画家なのか。そして伝・陳容「五龍図巻」、龍が迫力あってとても恰好いい…。あと、平石如砥「白衣観音図軸」があったのだが、これって本館3室の宗遠応世「白衣観音図」とセットで出してるのかな。
  • 5室、まずは中国の染織。飾りものだったので、綺麗だなあと思いつつ、纏足靴もあったりして、デザイン綺麗だけど履かされるのはしんどいよなあ、と思いつつ。
  • 同じく5室、中国の陶磁。天目茶碗特集。曜変天目みたいなのは出てなくても、色々模様が出ているものが多くて、なんだか可愛い。天目でないものだと、柿釉金彩蝶牡丹文碗。元々は金箔の蝶模様だったらしいのだけど、剥落してしまっている。想像すると非常に綺麗な金箔だっただろうな、と。柿釉の地がいい色なんだよねえ。
  • で、現在3室が使えないので5室に代替展示している西域の美術。地蔵菩薩立像幡、とても色彩が綺麗。
  • 13室、アジアの染織はアジア遊牧民の染織。全体的に赤多くてカラフルだし、模様が幾何学チックで複雑だし、(毛織物が主なので)もふもふしてるし、大好き。至福。
  • 同じく13室、アジアの民族文化。今回は南太平洋の暮らしの道具。ここにも布が。これは樹皮布(タパ)。アジア遊牧民の染織がカラフルで、こちらは地味な色合い。日常着なのかな。イモ用杵とか、ココナッツおろし器の刃とか、こちらの文化って感じだなあ。

というわけで今年の東京国立博物館はこれでおしまい。
来年というか、次はこれを観に行くことになる…のかなあ。もう飾ってあったよ。

混んでるらしいのが気になるが…。