時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

ミュシャ展~運命の女たち~@そごう美術館

www.sogo-seibu.jp

今年のミュシャ関連展覧会3つ目。
morina0321-2.hatenablog.com
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今回のは、ミュシャの生家の御近所に住んでいた、チマル博士という方とその後代々続けたコレクション、なのだそうで。
で、女性を描くことが多いというのもあるのか、ミュシャにまつわる女性の話を軸にしている。

最初に写真撮影OKな、有名どころのポスターの複製と、関わった女性たちの概要説明があるのだが。
「初恋の女性」「幼馴染」「仕事の依頼人」「パリ時代の恋人」「妻」「パトロンの娘」「自分の娘」「友人の娘」…あれ?女性関係、随分大人しい…(あ)

第一章「幼少期」…と言ってももうティーンエージャーではあったんだが。
「初恋の女性」ユリンカのイニシャルをモティーフに作ったデザイン画「J」。本当にデザイン画なのだけど、これ結構いいなあ。ちょっとした小物のグッズでも作れば良かったのにね。
このユリンカさん、後々の絵にもちらほら出てきたりするのだそうな。どうも若くして亡くなってしまったとかで、心に残っていたのもあるのかもしれない。
で、素描画がいくつか。ここで「幼馴染」の「テレガ・トラプル」の素描も。既に絵が綺麗。

第二章「パリ時代」。
ここの分量がとにかく多い。才能を見出された時代だしね。
絵やポスターもあるけれど、雑誌や本の表紙に挿絵、及びその原画もたくさん。更にカレンダー、ポストカード、絵皿、楽譜の挿絵(挿絵なんて入れるものなのか)、お菓子の箱(ゴーフルの箱のラベル可愛い!)、モエ・エ・シャンドン社(あのシャンパンの会社。ポスター描いてたのは有名)がレストラン経営していた時のメニュー、有価証券(!?)等。手広いなあ。
ちょっと非現実的な妙齢の女性の絵が多いのは多い(し、多分求められてた)のだけど、本の挿絵だと色々男女謎の生き物を描いていたり、カレンダーになってた「人の一生:幼少期、青年期、熟年期、老年期」は男性の一生だったし(非現実的な女性が付属してた(恐らく時間の女神的な何か)とはいえ)、素描「老女」「ろうそくの下での読書」みたいな老女の絵もあったり。
あと、ホームデコ社の連作装飾パネルは、非現実じゃなくて現実の女性(たまに男性も)が生活している絵だったり。これは初めて見た。殆ど現存してない貴重な作品らしい。
ポスターは有名どころも結構あったんだが、今回初めてかな、となったのは、「ウェイバリー自転車」(どことなく退廃的っぽい女性を描いてて、全然自転車を広告してないミュシャらしい感じ)「ジュレ・フレールの香水、シルヴァニスエッセンス」(香水会社のポスター、凄い可愛い)。後者はグッズ化していて、ポストカードは勿論買ったんだけど、この絵がプリントされたゴンチャロフのチョコレート缶が…!(別会場のだけれどこちら)
event.hokkaido-np.co.jp
いやあ、良く買わなかったな。耐えたよ。物を増やしてはならぬ…。
ポスターといえば、ミュシャといえばやっぱり出てくる「仕事の依頼人サラ・ベルナールの有名どころはずらっと並んでいたけど、「遠い国の姫君」のこのタイプのポスターは初めて見たかも。素敵。
で、「パリ時代の恋人」ベルト・ド・ラランドは雑誌表紙に描かれていた。写真もあったよ。ああ、そうそう、ミュシャ本人も含めて関係者の写真もいくつかあるんだよね。これで「妻」マリエ・ヒティロヴァー(ミュシャが講師をしていた画塾の生徒さんだったそうな)の写真もあり。
写真で一番驚いたのは、ゴーギャンミュシャの写真があったこと。親交あったんだ!

第三章「アメリカ時代」。
アメリカに招かれて展覧会や講師をやって、パトロン見つけて資金を集めたのだそうな。
作品数としては少な目。その中にあったのは「サヴォン・ミュシャ」。石鹸のブランドになったそうな。画期的なことだったらしいよ。
で、「パトロンの娘」ジョゼフィン・クレイン・ブラッドレーをモデルで描いてたポスターが「スラヴィア保険会社」。たぶん前も見た事ある。

第四章「故郷への帰還」。
チェコに帰って「スラヴ叙事詩」を描く頃。
なので、関連作品が多い。こういう群像系の絵、実は若い頃の作品で数点あったので、これが「スラヴ叙事詩」の大元なのかなあ、とは思ったりした。
素描が多い中、「友人の娘」を描いた油彩画「エリシュカ」が。服が民族衣装。可愛いなあ。
で、スラヴ叙事詩展覧会のポスター、今回の展覧会でも使われている絵のモデルが、「自分の娘」ヤロスラヴァ。モデルになった写真も残っていて展示されている。

いくつかちょっと保存状態のよくない作品もあったものの、ミュシャの一生の作品を順に見ていく切り口も、それはそれで面白かったかな。
女性を絡めているのも、その一部として。