時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち@横浜美術館

artexhibition.jp

夜間開館、あまり時間がないけど突入。

オランジュリー美術館はパリの美術館。ここのコレクションはポール・ギョームという画商のものが大部分。正確には、ポール・ギョームの奥様であるドメニカが、ポール・ギョームの死後に再婚相手と寄贈したので、「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」(前の名前が再婚相手)という。

「パリの」12人の画家たちに絞った展示、という感じだが、実はモネとシスレー、そしてキース・ヴァン・ドンゲンは1作品ずつしかない。シスレー「モンビュイソンからルヴシエンヌへの道」は観て良かったと思う絵だからいいんだが。モディリアーニも3作品と少な目。なので、モネとかシスレー辺りをもう少し見たい、というのであればコート―ルド美術館展の方がいい(セザンヌはそこそこ点数が出ていたので、こちらでもいいかも)。
morina0321-2.hatenablog.com

ただし、印象派の中でも、ルノワールが見たい方はこちらをお勧めする。結構な点数が出ているのと、ルノワールは健康的な女性を描いた方がいい気がするのと。展覧会のキービジュアル「ピアノを弾く少女たち」はいいよねえ。静物画だけど「桃」の色合いも凄い素敵。
あと、面白いのは「花」。これ、パリの劇場の桟敷席に置かれている花束を描いてる。コート―ルド美術館展のルノワール「桟敷席」と関連してるモティーフ。
ルノワールはドメニカが好きだった、というのがあるみたい。

あとはアンリ・ルソーとかアンリ・マティスアンドレ・ドラン、シャイム・スーティンが好きな人はいいかな。
ピカソは「ばら色の時代」の絵が多くて、「アフリカ彫刻の時代」に差し掛かる絵が出ているので、そちら向け。キュビズム系の絵は、ポールは買ってたけどドメニカが処分してしまったのだとか。
…うん、実は。この展覧会、ドメニカにあまり好意的でない情報も結構出してる。アンドレ・ドラン「大きな帽子を被るポール・ギヨーム夫人の肖像」の解釈とか、あまりいいイメージでない。どうもポールの死去後、色々黒い話があったらしい。真相は分からない。ただ。個人コレクションなんだから、そりゃあ好みの絵は集めるし好みじゃない絵は手放すんじゃないの?とは思うのだが。コレクションを維持するだけでもお金はかかるし…。
実は、マリー・ローランサン「ポール・ギヨーム夫人の肖像」が出ている。展覧会のキービジュアルの1つで、丁度ルノワール「ピアノを弾く少女たち」の真裏にある(横はなんだったっけ、1つはスーティンだった)。

この絵は好意的なように見える。マリー・ローランサンは女性同士だから、何か通じ合っていたのかもしれない。時代的にも進歩的な女性は風当たりがきつそうだし…。

あ、個人的に、アンドレ・ドラン「座っている画家の姪」とマリー・ローランサン「マドモアゼル・シャネルの肖像」が好み。後者は勿論あのココ・シャネルを描いていて、本人に渡そうとしたらシャネルに拒絶されて、マリー・ローランサンが「田舎娘!」と罵ったという素敵な(あ)エピソード付き。個人的にはかなり好きな絵で、ポストカード買ったぐらい。何が嫌だったんだシャネル…。

個人的にはまずまず楽しめたかな。続く。