時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

大倉集古館の春~新春を寿ぎ、春を待つ~


前回の場所と近所なのでふらりと。
大倉集古館所蔵の春らしい展示品諸々。
ざっくり並んでいるので、気になった作品を。

1階。
「長生殿蒔絵手箱」、デザインが格好いい。いくつも扇が重なり合ったデザイン。扇と扇の間の余白も個人的に好き。
宗達派「扇面流図屏風」は宗達派によくある扇面を並べた屏風。扇の図として素敵なのがいくつかあったなあ。
「龍頭」と「魌頭」は彫刻、というかどこかの寺院にあった像なんじゃないかなあ。
前者は「龍頭」となっているけれど、「贔屓」じゃないかと書かれていた。「贔屓」は「ひき」と読む。竜生九子という、竜が生んだ9匹の子、のひとつ。所謂「ひいき」の語源。なお、見た目は亀で、「重きを負うことを好む」ということで柱の下に彫られることが多いそうな(なので、柱の下の贔屓を引っ張ると柱が倒れる、ので「贔屓の引き倒し」なのだそうで…)。
で、後者は狴犴(へいかん)という、やはり竜生九子のひとつ。見た目は虎っぽい。訴訟を好むのだそうな。訴訟…?
ちなみに青銅器でおなじみ(?)の饕餮も竜生九子のひとつに含まれたりするらしい(ちなみに饕餮は飲食を好むとのこと)。
狩野探幽文殊菩薩雲龍・竹虎図」。余白も格好良ければ虎も龍も格好良く、そして文殊菩薩が美人!女性にも見える少年の姿。


2階。
狩野常信「梅鶯図」。梅の木を断ち切るような雲の構図がとても格好いい。
龍泉窯の「青磁香炉」。青磁の肌が文句なく綺麗。香炉なので金物部分もあるのだけど、そこにあしらわれた笹の葉の形も綺麗。
土佐光孚「四季風景図棚」。棚の上段の襖絵が美しい。棚自体の形はシンプルだけど、下の段の仕切り板も美しい。
木内半古「四君子象嵌重硯箱」。木地も素敵だし、白玉で象嵌された菊が格好いい。
尾形光琳画、尾形乾山作「銹絵寿老図六角図」。寿老人の絵がとても愉快そうで素敵。
作者銘なしの「郡鶴田園蒔絵硯箱」。明治の作なので蒔絵がとても細かくて綺麗。同じく銘がなかった「富士裾野図蒔絵文台」も同じ作者のだろうか。
横山大観「寒牡丹」。薄紫のシンプルな牡丹が美しい。「夜桜」の方が目玉なのかもしれないけど、個人的には「寒牡丹」の方が良いなあ。
小林古径「木菟図」。木菟も可愛いのだけど、月が美しい。そして夜の闇の濃さがなんともいえない…。


なかなかの目の保養展覧会。ありがとうございました。


この後はゆっくりと遅い昼食を頂き、次の会場へ向かった。
…Liveの前にミュージアム3つ回って、随分体力使ってませんかね…(遠い目)