時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

企画展 うるしとともにーくらしの中の漆芸美@泉屋博古館東京

前の場所からは、日比谷線恵比寿駅から神谷町駅、そこから徒歩。この道なかなか使ったことがないので、新鮮。
…特に何かある道ではないのだけど(あ)


sen-oku.or.jp
泉屋博古館(本館&東京どちらも)所蔵の漆工作品展示。


第一展示室で「シーン1 宴のなかの漆芸美」。
この章のみ写真OK。
宴会用の椀、盆、膳、盃、後は外での宴会のための提重等。
ずらっと宴会用の道具(大人数宴会用なので沢山ある)が並んでいるのは壮観。
個人的には「扇面謡曲画蒔絵会席膳椀具から丸盆」が。椀は全て鳥が描かれてるんだけど、黒漆の丸盆に蒔絵で、謡曲=能の各演目のモティーフの絵柄の扇が描かれている。
この盆がとても素敵。でもって能の演目のあらすじもあって非常に分かりやすい。
…なんだけども。
この作品は黒漆で、15個あって、そのあらすじが全部書かれていて、そのあらすじと文字が光の具合で作品に反射して写真に写りこむ、という…。おおう…。
ええと、これは別の作品「京名所黒蒔絵食膳」なんだが。


泉屋博古館本館のスタッフさんも苦労されたようで…(遠い目)分かる…。
ちなみにこちらは下絵・今尾景年「金閣寺」。実は肉眼でも見づらい作品ではあるんだが、それでも美しさは伝わったよ。下絵・岸竹堂「醍醐寺」も良かった。
あと、「草花文葦手蒔絵盃」は朱漆なんだけど、落ち着いた色の朱漆が素敵な色。蒔絵で描かれている草花も格好いいんよねえ…。


第二展示室でまとめて「シーン2 茶会のなかの漆芸美」「シーン3 香りのなかの漆芸美」「シーン4 檜舞台のうえの漆芸美」。
「茶会」は茶道具関連。
「掛羅香合」が気になった。掛羅は袈裟を止める金具のことなのだそうな。漆塗は飛来一閑、蒔絵は中村宗哲…千家十職の合作…。
あとはこちらか。


酒井抱一デザインで原羊遊斎が作成した「椿蒔絵棗」。
「香り」は十種香箱。十種香箱は東京国立博物館でも拝見するし写真も撮ってるが、素敵なものが多いよね…。
今回の「吉野山蒔絵十種香箱」も「藤棚菊蒔絵十種香箱」も素敵。
「檜舞台」は能。それもあって面「猩々」や厚板も展示されていたり(後者は漆工の衣桁の展示も兼ねて)。
「能管 銘 薄雲」が格好いいなあとか、「青海波桜折枝蒔絵小鼓銅」の蒔絵が素敵だなあとか。


第三展示室は「シーン5 書斎の中の漆芸美」と「終章 うるしと友に-漆芸品を贈る」。
「書斎」は、筆菅(筆の軸)や文台・硯箱もあるけれど、鼻煙壺(びえんこ)もある。鼻煙壺=鼻煙草を嗅ぐ壺。たばこと塩の博物館で知ったのだけど、中国って鼻煙草の文化があるんだよね。
迎田秋悦「秋草蒔絵文台・硯箱」が美しかった。迎田秋悦は以前京都国立博物館で拝見してる。
morina0321-2.hatenablog.com
なお、迎田秋悦は浅井忠の指導を受けているそうで。わー。
「終章」は近代に作成されてやりとりされた漆芸品、なのかな。
「独楽塗香合」はとてもモダンで可愛い。


さて、今回の第四展示室(第三展示室やホールにも一部)はちょっと別展示。
「受贈記念 伊万里・染付大皿の美」。
瀬川竹生氏というコレクターの方から寄贈された染付の大皿の展示。
ただ…書き手はあまり染付も大皿も得意ではなく。さらっと拝見するだけになってしまった。


渋いけれどなかなかの目の保養展覧会。



さて、流石に疲れ果てて。


この日3件目のミュージアムカフェ。「東京で行きたいミュージアムカフェガイド」とかに載る感じのカフェ巡りになってしまった…。まあ、いずれも素敵なカフェなのでしょうがない。うん。
あと、夕方だったので、泉ガーデンの辺りがちょっとしたライトアップをやってて、なかなか風情があった。土日はこの辺り、人も多くないしね。