時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

特別展 大蒔絵展-漆と金の千年物語@三井記念美術館

久々に東京駅日本橋口から向かったら、なんか新しいビルができてた(1年前ぐらいにはあったらしい)。
tokyotorch.mec.co.jp
暫く歩いてなかったんだなあ…。
それもそのはず、三井記念美術館に最後行ったの、2年前だって。まあ、三井記念美術館の展示、なかなかに渋いからなあ…。
ビル自体も美味しそうな飲食店が入っていたので、ちょっと気になりつつ。



というわけで、やっぱり結構渋い、まあその中では煌びやかであろう展覧会。
MOA美術館・三井記念美術館徳川美術館の3館共同展なのだそうで、MOA美術館では終了、徳川美術館は来年実施とのこと。
前後期制(ただし、展示期間はもうちょっと細かく分かれていたり)。伺ったのは後期。
会期終了も近いこともあるのか、結構人が入っているような…というか…蒔絵の展示だからか、こう…人の流れが割と溜まり気味だったかも。まあ、細かく見たい気持ちは分かる。


展示室1は2章分の展示が。
「第1章 源氏物語絵巻と王朝の美」と「第2章 神々と仏の荘厳」。
ええと、いきなり初っ端にあったのが第1章の「石山切」だったのだが。
まあ…銀泥で絵を入れていたりするから、蒔絵の走りといえばそうなのかなあ。あ、勿論個人的にはウハウハである。
2点出ているのだけど、片方は藍鼠色と紫の紙を破れ継ぎ(この継いだデザイン自体が滅茶苦茶格好いい)した紙で、金砂子が撒かれていて、銀泥で鳥や薄や楓が描かれている、という。素晴らしい…。展示室1のような格好いい場所に配置されてるのもいい…。
第1章で他だと、「葉月物語絵巻」が出ていたのだが、これストーリーが散逸してしまって分からないんだそうで(タイトルも逸失してて仮でつけてるらしい)。
第2章から蒔絵作品も出てくる。
「秋草蒔絵手箱」は春日大社のものか。デザインが好きかも。あと、内容品も展示されていて、蒔絵ではないけど小皿の白釉が気になったりした。
「澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃」の燕子花が細かいなあ。
と言いつつ、「妙法蓮華経巻第八(平基親願経)」が紺紙金字でおおおっと。描かれている舞楽の衣装も綺麗。


展示室2は「第3章 鎌倉の手箱」が。
とはいえ、「浮線綾螺鈿蒔絵手箱」は多分拝見したことあるんじゃないかな。サントリー美術館所蔵だし。
螺鈿が美しい。


展示室3には「第6章 江戸蒔絵の諸相」と、茶室に「第4章 東山文化-蒔絵と文学意匠」。
「第4章 東山文化-蒔絵と文学意匠」は能関連だったのだけど、面「孫次郎(ヲモカゲ)」は綺麗で、「紅白段草花虫籠模様唐織」は鮮やかだったなあ。


展示室4には「第3章 鎌倉の手箱」の続きと、「第4章 東山文化-蒔絵と文学意匠」「第5章 桃山期の蒔絵-黄金と南蛮」、でもって「第6章 江戸蒔絵の諸相」の「6-1 初音の調度」。
「菊慈童蒔絵手箱」の菊の配置とか、「松梅蒔絵手箱」の内箱の梅の花のデザイン(ぷっくりと可愛い)とか、「枇杷に栗鼠蒔絵大鼓胴」のリスがデザイン化されてて単純の線で面白いとか、「秋草蒔絵折敷」のデザインが好きだなあとか、幸阿弥長重「綾杉地獅子牡丹蒔絵十種香箱」のデザイン格好いいなあとか。
ああ、そうそう、「第5章 桃山期の蒔絵-黄金と南蛮」はイエズス会関連が出ていた。
東慶寺の「IHS葡萄蒔絵螺鈿聖餅箱]もあったね。


展示室5は「第6章 江戸蒔絵の諸相」の
「6-2 琳派の美」と「6-3 江戸の名工」。
「6-2 琳派の美」は後期は本阿弥光悦が多かったのだけど、工芸より、紙に描いたものがいいような気がする。「花卉摺絵新古今集和歌巻」も「鹿下絵新古今集和歌巻 断簡」も。後者は鹿が可愛くてねえ…。
「6-3 江戸の名工」はどれもこれもなかなか素敵で。この辺りから好きな感じになっていくのかなあ。時代が下れば技術が上がるので、それはそうなんだろうけど。


展示室6の小さい部屋は「第6章 江戸蒔絵の諸相」の「6-4 掌のなかの蒔絵-広がる需要層」。
溪斎英泉の浮世絵と、印籠と櫛・笄。
印籠は…個人的には印籠よりも、それについてる根付の方が気になった。琥珀だったり彫りが凝っていたり。
櫛・笄、酒井抱一下絵で原羊遊斎作。なんというか、原羊遊斎はデザイン本当に上手いと思うの…。格好いいなあ。


展示室7は、「第6章 江戸蒔絵の諸相」の「6-3 江戸の名工」「6-4 掌のなかの蒔絵-広がる需要層」「6-5 長崎と輸出用漆器」、「第7章 近代の蒔絵-伝統様式」「第8章 現代の蒔絵-人間国宝」。
…「第6章」、ここで原羊遊斎と酒井抱一をつぎ込んでくるのはどういうことか。いちいち素敵である。酒井抱一の絵「藤蓮楓図」もあるのが色々ずるい。
「6-5 長崎と輸出用漆器」は半分東京国立博物館から持ってきているので拝見したこともあるのだが、京都国立博物館から持ってきた「楼閣山水遊楽図蒔絵ナイフ立て」は面白い。ナイフ立てというもの自体が。
「第7章 近代の蒔絵-伝統様式」は明治時代。
柴田是真・三浦乾也「夕顔蒔絵板戸」を根津美術館から借りてきた。ありがとうございます…!池田泰真、川之辺一朝、小川松民、白山松哉…おおお…。
赤塚自得が素敵なのは存じ上げていたが、「牛背童子蒔絵硯箱」の抒情的な感じもいいなあ。
「第8章 現代の蒔絵-人間国宝」は現代作家なので、結構奇抜な作品が多い。
室瀬和美「蒔絵螺鈿丸筥「秋奏」」はオルゴール仕立てだし。


蒔絵が好きな方にはいい展覧会だと思う。満足。


三井記念美術館の近所で和菓子でも食べようか、と思ったら混んでいたので。


東京駅の構内「CITYSHOP」で、彩りの良いちゃんぽんうどんを。うどん屋さんじゃなくて、野菜を食べようコンセプトのお店だとか。


続く。