時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

令和5年度文化庁首都圏伝統工芸技術作品展等開催事業「技を極める-伝統工芸が伝えるメッセージ」@旧近衛師団司令部庁舎

近衛師団司令部庁舎。
こう書くとまるで初めての場所のようだけれど、旧・東京国立近代美術館工芸館である。な、懐かしい…!今回の一番の目当てはこちらの来訪である。
なお、工芸館の施設は撤去されているので、トイレやロッカーは使用不可だった。



現代の重要無形文化財人間国宝)の方+それを引き継ぐ現代作家の展覧会。
展覧会自体も興味があるけれど、「この場所で」展覧会というのが個人的には大事。
しかも文化庁事業で入場無料、写真もOK…ふ、太っ腹…。5日間しか開催ないのがネックだが。


最初は竹細工、というか現在の竹細工工芸では有名な四代田辺竹雲斎。
「五大虚空」…うん、もう、現代アートだと思うのですよね、作品として。凄いなあ。

次は陶磁。
白磁の前田昭博。おっと、先日拝見したばかりじゃないですか。
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でもって有田焼の十四代今泉今右衛門、こちらも有名。
望月集は日本伝統工芸展で見覚えがある。華麗な花の絵付けの方だ。
で、存じ上げなかったのが津金日人夢。青磁作成されるんだね…。
前田・津金両名はシンプルに美しい白磁青磁
望月集は椿の文様の大皿。なんだろう、凄い良いバランスで描かれてるという感じ。
十四代今泉今右衛門「色絵薄墨墨はじき雪本鉢」は「色絵」という文字から想像もつかない、渋くて格好いい墨色から灰色のグラデーションの地に雪模様。本当に格好いい…。

次の部屋がラスト。大部屋にずらりと色々な工芸が。
まずは木工。須田賢司は有名で作品も日本伝統工芸展等で拝見している。
そしてもう一人が五十嵐誠。

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「栃造四脚抽斗」。か、可愛い…!木目も綺麗。

ガラス工芸は山本茜。もう少し正確に言うと、截金ガラス工芸作家。
今回の展覧会のポスターにもなっている「截金硝子器「雪降り積みて」」。ポスターで拝見するよりも生で拝見した方が良いかも。
あと、この作品って截金が埋まっているので、作品が光に当たってできる影もとても格好良かったりする。

人形。
ええと、この展示会場でかなり異質、でもって作者も一発で分かる中村弘峰。博多人形師。


いやあ目立つ目立つ。でも凄いよ、彩色等。
もう一人は人間国宝の秋山信子。作品は日本伝統工芸展で拝見しているかな。いや何度拝見しても素敵ではあるのだが。

金工。
ここのところ何度も御名前も展示作品も拝見している中川衛。
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もう一人は植田千香子。御名前はなんとなく分かるけれど…とちょっと調べたら、日本伝統工芸展では違う作風の作品を展示していたりしたので、作風が広いかもしれない。色々試していて面白いなあ。

漆工。
やはり著名な人間国宝室瀬和美と、こちらも個人的にはお馴染みになる浅井康弘(師弟でいらっしゃる)。

染織。
こちらもお馴染み森口邦彦と、琉球紅型でやはりこちらも有名な城間栄市。
ここ、大部屋の一部が和室設えになっていて、染織の展示はそこに展示されていて、雰囲気も凄く良かった。


最後の部屋は映像であったり、能登の震災の話だったり。
能登は工芸盛んだし、東京国立近代美術館工芸館も金沢に移転しているしね…。

思い入れのある場所で目の保養。ありがとうございました。


続く。