時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

開館20周年記念展 中川 衛 美しき金工とデザイン@パナソニック汐留美術館

まずは少し遅めのお昼を。


新橋にある愛媛・香川のアンテナショップの2階のレストランで、香川のオリーブ牛の肉じゃがに、愛媛でとれたお刺身(この日はハマチとタイ)の定食。美味しい。


で、本題。
panasonic.co.jp
人間国宝の金工作家・中川衛の展覧会。
実は中川衛、最初に就職したのが松下電工で、その縁もあっての開催。

「第1章 工業デザインの精神」。
ここは中川衛が作家になる前の展示。
金沢美術工芸大時代の課題、松下電工での仕事のデザイン画、松下電工を退社して金沢に戻った(御家族の都合だったようで)後に勤務している石川県工業試験場時代のデザイン等。
松下電工では美容製品のデザインの部署だったようで、デザイン画と、参考としてその後製造されたシェーバーやドライヤーが展示されていた。同じく参考として展示されていたラジオの形が可愛かったなあ。あと、ターンテーブルが展示されていて、何やら思い出したりしている(なに)
石川県工業試験場時代のデザインは漆器作品が多かったかな。


「第2章 象嵌のわざと美」。
中川衛の金工作品は象嵌を使用している。模様を入れるところを彫って、そこに別の金属をはめ込む形式。金沢で江戸時代から発展したのは「加賀象嵌」と呼ばれてる。
なので、最初は江戸~明治時代の加賀象嵌が展示されている。二代山川孝次「赤銅銀象嵌嵌盃」、可愛かったなあ。
で、更に中川衛の師に当たる高橋介州の作品が。海野清に師事されてた方なのね。とびっきり可愛いのが「加賀象嵌埴輪馬置物」。埴輪馬な時点で可愛いのだけど、模様がそこまでぎっしりでなくて、ちゃんと余白があるのが好き。
で、その後に、中川衛御本人の作品である。ぎっしりと。…ぎっしりと。約50点、どどんと展示されている…。圧倒…。
まず、器の形も様々。オーソドックスなものから、かなり変わった形のものまで。
象嵌で作る意匠は、結構抽象化というか、デザイン化されているというか。
自然が意匠なこともあれば、コンクリートのビルの窓を基底にしたデザインもあって、結構貪欲にデザインしている感じを受けた。
ただ、これだけ沢山あると、1つ1つ覚えられないなあ…という感じではある。


その先。第2章が終わる前に。
「第3章 国境と世代とジャンルを超えて」のうちの、次世代の作家の作品が。
ここが写真OKゾーン。



色々な作家の色々な金工作品があって…正直、かなりカオス。
一応象嵌作品が多い、んだけども。これは象嵌というのか…?というのもあり。
その中に中川衛の作品も混在して展示してあったり。

www.instagram.com
中川衛の作品として「象嵌孔雀伏香炉」を載せてるけど、「象嵌朧銀花器「NY. 7:00 o'clock」」がビルモティーフで、こちらも面白い。上手く写真撮れてなかったけど(あ)
で、もう1つInstagramに載せたのが、水代達史「Camouoflage -彩-」。何がカモフラージュなのか…お分かりですかね。作者のスタンスの作品のようだけど。


で、また第2章にちょこっと戻って、中川衛が象嵌技法で作成した建築作品とか、プロダクトデザイン…要は実用できそうな工芸品とか、あとは象嵌の道具の展示もあった。
プロダクトデザインにあったワインオープナーは面白い形してたなあ。使い勝手が良いかは分からないけど。


で、再び第3章。
海外で研修に行った際の報告書や、デザイン参考のために持ち帰った諸外国の銀製品が少しあって、その後には「広がるコラボレーション」。
レディ・ガガにも作成したヒールレスシューズで有名な舘鼻則孝とのコラボ作品で、ヒールレスシューズに中川衛の象嵌作品の金具で飾られている作品。「波と遊ぶ」は写真もOKだったりした。
で、出口のところに、今度は羽を広げた「象嵌朧銀孔雀伏香炉」(Instagramの羽が広がった方)も。こちらも写真OK。ありがたい…。


工芸好きなら面白い展覧会であった。


あ、そうそう、パナソニック留美術館なのでルオー・ギャラリーも覗いた。
新収蔵作品の「クマエの巫女」、静かに佇んでいる感じが結構好み。
あと、「キリストと漁夫たち」とか「秋の夜景」とか、複数の人が、なんとなくゆったりと生活している情景は嫌いじゃないなあ…。


さて、ちょっと寄り道。


奈良まほろば館の併設のカフェで、日本酒飲み比べセット。
お酒もさることながら、おつまみも美味しい。柿でチーズ挟んだのとかも美味しかった…。
で、奈良漬も美味しかったので購入して帰宅。