時々、さんざめく

とるに足りないニワカ趣味話(旅行、美術、酒etc)

企画展 繍と織 華麗なる日本染織の世界@根津美術館

久々にこんにちは。
www.nezu-muse.or.jp

書き手が好きそうな布系展覧会。
まあ、こういう時に来ないと、根津美術館の渋い趣味だとなかなかねえ…。


最初は上代染織。奈良時代の7、8世紀のもの。
東京国立博物館法隆寺宝物館の6室で並んでいそうな品々。この時代のものは「よく残ってるなあ…」というのが先に来る。
「紫地草花文刺繍」は文様のところだけうまい具合に残って、ワッペンみたいになって可愛かった。これグッズにして売ればいいのに。
「濃茶地鳥襷文臈纈平絹」は千鳥文様っぽいのが素敵。
あとは上代裂の手鑑(スクラップ)、「残霞帖」が素敵で。こう収集した方は趣味がいいな…。

次に仏教染織。
経帙という、経典の巻物を包む竹ひごに布を張ったものがあるんだけど、「神護寺経 経帙」はそれ自体が綺麗。
あとは「打敷 紫綸子地菊に菱繁向い鶴模様」は女性の小袖から仕立て直したっぽいんだけど、これが鹿の子ぎっしりで。これ絶対高級なやつ…!

続いて能装束。能装束なので基本的には派手。
「唐織 紅薄縹段鉄線唐草模様」のデザインは好きかな。
あと、衣服じゃないけど、「折枝散蒔絵衣桁」は漆工の衣服を掛ける家具で、こちらの作者が柴田敬哉。柴田是真の孫!経歴もなくしれっと展示されてた…。

最後は小袖。
デザイン的に一番格好いなあと思ったのは「振袖 黒綸子地桐鳳凰模様」かな。
あと、「単衣 紫絽地御簾に猫草花模様」。御簾に猫…源氏物語の若菜上…。


良い感じの目の保養。
しかし、お客さん結構いらっしゃいましたな…。


それだけだと物足りないので、常設の方も。
展示室5の絵画展示は「中国の故事と人物」。
山田道安「布袋図」はおおらかで良い感じ。
祖栄「潘閬図」は載ってる馬がなんか可愛い顔してるな、と思ったら、実は馬じゃなくてロバで、これは職を辞して地方に下る、要は左遷の図なのですな。ちょっと悲しい。
脱俗とか清貧の意味もあるらしいので、時代によってはもてはやされたかもしれない。
しかし、そろそろ現代ではそくわない話ではあるよな。才能あるんだから、ちゃんと才能使って人間の世に寄与した方がよっぽど聖人ですよ、なに一人で勝手に世俗から離れて責任逃れしてるの、という(あ)

展示室6の茶道具展示は「寿茶会-来福を願う-」、この時期っぽい茶動画集められているのかと。
素敵な茶道具が沢山あるのだけど、今回は一角に設定されている茶室っぽい設えの中に展示されている、絵。
冷泉為恭「小松引図」。…もっと間近で見たい…!とじたばた(茶室設えが全部ガラス張りになっていて、飾られている場所が正面からは遠い)。



さて、一通り拝見した後。


上手いこと入り込めたNezu Cafeで早めのお昼。しかもありがたいことに窓際。
そして、写真の奥の方、お分かりだろうか。
まだ1月だけど、紅梅もうかなり咲いちゃってる…(わざわざ木の傍まで拝見しに行った)




続く。